マルゼン ルガー ミニ14
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
読んで時のごとく、M14ライフルのミニ版ともいえるのがスタームルガーミニ14だ。口径7.62mmのM14に対し、ミニ14は5.56mm。全体的にふたまわりほど小さくして、扱いやすくなった民間用のセミオートマチックライフルである。古いガンファンなら、アメリカのTVドラマ「特攻野郎Aチーム」のハンニバル大佐が撃ちまくっていた、折り畳みストック版AC556K風のミニ14を思い出すかもしれない。
エアガンの場合、実銃が大きかろうと小さかろうと発射するのは6mmBB弾なので、ルーツとなったM14をモデルアップした方が良さそうな気もするが、大型の製品は金型も大きくなるため、製造コストが跳ね上がる。また、当時のトイガン市場には東京CMC製ミニ14のモデルガンが存在していた。参考となる現物が入手しやすく、マルゼンとしても作りやすかったのかもしれない。
発射機構はカートリッジ式のエアコッキングガンで、KG9から脈々と続くマルゼンのお家芸とも言える発射方式だ。残念なのはKG9と共用のピストルカートリッジを使用することで、せっかくのライフルなのに存在感がいまひとつという感は否めない。
もちろんこれは、KG9ユーザーとの利便性をはかったり、銃そのものの作動性能を上げるために必要な措置だったと思われる。実際、装填と排莢はスムースでジャムもなく、マルゼンが培って来たノウハウが存分に活かされているのは間違いないだろう。
ただ、レシーバー上部の機構上、空カートリッジ紛失防止のためのカートキャッチャーを装着しにくいのが欠点だった。装弾数も少なく、サイズ的にも中途半端で、サバイバルゲーマーにとっては、メインウェポンをコンパクトなKG9からミニ14に切り替えるだけの理由が見つからなかったようだ。
結局、自社のメガヒット作であるKG9やミニUZIを超えることはできず、また次期モデルのイングラムM10A1Sがすぐ後に発売されたこともあり、市場から静かに姿を消して行ったミニ14。エアガンとしては、現在に至るまで唯一の製品だっただけに残念である。
マルゼンのミニ14は、最初にサバゲーでの取り回しを考慮したレピータータイプが発売された。ポンプアクションによる連射機能で、サバイバルゲームでの使い勝手を高めた。木製ストックが標準装備され、高級感のある仕上がりだ。
続いて固定式の木製ストックを装備したライフルタイプがバリエーションとして発売された。フロントサイトはカスタムパーツが取り付けられている。
以前紹介したサンプロのマズライトにはこのアウターバレルが流用されていた。フラッシュハイダーは再現されておらず、フロントサイトはシンプルなブレードタイプでインナーバレルはアルミ製。
リアサイトは上下左右に調節可能、セフティはトリガーガード前にあるスライド式だ。
スタームルガーの刻印が完璧にコピーされている。今なら問題になるだろうが、当時はこれが当たり前だったのだ。
この製品のウリでもあるロータリーボルト。エアガンの実射性能とはまったく関係ないが、こうしたどこかモデルガン的な要素があるのは興味深い。
マガジンはシングルカアラムの10連発。KG9と共用のピストルカートリッジを使用するため、マガジン内部で前後幅が狭くなっている。
レピータータイプのパッケージ。「TO BE ENJOY COMPETITION」と書いてあることから、対外的にはサバゲーではなくあくまでも競技用という位置づけだったとこが伺える。
取扱い説明書。BB弾をカートリッジの奥まで入れると発射しないことがある、というようなことが書かれている。装弾数が10発と少なく、サバイバルゲーマーには不評だったのも理解できる。
マニュアル.PDF (2MB)
DATA
発売年 | 1985年12月 (レピータータイプ) 1986年夏 (ライフルタイプ) |
発売時価格 | ¥12,800 (レピータータイプ) |
全長 | 実測 937mm(ライフルタイプ) 653mm(レピータータイプ) |
重量 | 実測 1,670g(ライフルタイプ) 1,332g(レピータータイプ) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 47.6m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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