レプリカ ワルサーPPK
写真&解説 YAS
解説
レプリカはかつて上野にあったマルシン製品の卸売り業者で、後に自社ブランドでいくつかの製品を販売したが、製造はマルシンが行っていた。
1988年から発売された本シリーズ ガスガンは、ブローニング1910、コルト25オート、モーゼルHSc、ワルサーPPK、レミントン デリンジャーと人気の小型~中型拳銃が次々と発売され、お手頃価格のコレクションモデルでありながら、なかなかの性能と言うこともあり、シリーズでヒット作となった。
ワルサーPPKは1930年代にドイツ、ワルサー社が開発した.32ACP弾、.380ACP弾を使用する中型ピストルで、ドイツ私服警官やドイツ軍将校の銃として使用された。
戦後は映画『007』シリーズでジェームス・ボンドの愛銃としてスクリーンに登場、日本では60年代、70年代のスパイ映画ブームもあってモデルガンが多く作られた。その後80年代以降のエアガンブームにおいてもその人気は衰えず、モデルアップの筆頭候補にあがるモデルだった。
モナカ式ではあるものの、各部の造形は意外と出来が良い。つや消しブラック塗装や刻印にホワイトが入っているのは前の持ち主が入れたものだろう。スライド形状はマルシン製モデルガン同様の初期型、刻印は.32ACP版となっている。
ブラックのスタンダードモデルのほかに、メタルフィニッシュやニッケルフィニッシュのメッキバージョンも同時発売された。
インナーバレルは真鍮製で、トリガーに連動して後退するバレル後座式。スライドが動かないフィクスドタイプのガスガンで、エジェクションポートやエキストラクターはモールド。レプリカやASGKの刻印以外にもナンバーや検品刻印などもある。
トリガーは軸回転ではなく、ストレートプル構造となっていて、トリガープルはやや重め。
スライド左のセーフティレバーをオンにするとトリガーがロックされる。ハンマーとマガジンキャッチはダミーで動かない。リアサイトは反り上がった形状でUノッチ。
チェッカーグリップにはWALTHERのバナーが入る。グリップボトムには金属製のランヤードリングがある。
マガジンは割りばしタイプ。リップがなく、フォロアーは底部でロックされ、マガジンを本体へ装填するとロックが解除される仕組み。グリップ底面のガス注入孔はマガジンバンパーで隠れるようになっている。
グリップパネルは取り外すことができる。内部にはガスタンクが見える。
残念ながら本個体はトリガーを引いてもシアが切れずに実射することはできなかったが、シリーズ共通の真鍮製インナーバレルや安定したハンマー&バルブメカニズムもあって弾道性能は良好だった。
マルゼンのPPKと比べると全長が5mmほど短い。この写真のマルゼンPPKは2024年製のガスブローバックモデルだが、1988年暮れ、マルゼンとレプリカはワルサーPPK/sとPPKの競作となっている。価格帯が違うのでしかたないが、マルゼン製PPK/sと比べると少々見劣りするのは否めない。
シックな紺色のパッケージ。
パッケージの内側は鮮やかなオレンジ。低価格帯のガスガンながら高級感の演出が上手い。ただ後に本シリーズはブリスターパックでの販売となってしまう。
図説付きの扱い方や分解方法も掲載されている取説。マニュアルPDF (2.5MB)
DATA
発売年 | 1988年年末 |
発売時価格 | ¥2,500 (スタンダード / ブラック) ¥3,200 (メタルフィニッシュ) ¥3,200 (ニッケルフィニッシュ) |
全長 | 実測 150mm |
重量 | 実測 238g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 8発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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