レプリカ ブローニング 1910
写真&解説 YAS
解説
レプリカはかつて上野にあったマルシン製品の卸売り業者で、当時はマルシンと共同で雑誌広告を展開するなどしていた。1988年には自社ブランドのポケットガスガンシリーズを発売、その製品製造はマルシンが行っていた。
レプリカの本シリーズはシンプルな後座式固定スライドガスガンで、ブローニング1910、コルト25オート、ワルサーPPK、モーゼルHSc、レミントン デリンジャーが発売され、スタンダードモデルで2500円からという低価格もあって大人気となった。
仕上げもブラック以外にニッケルシルバーやメタルフィニッシュなどのカラーバリエーションも発売され、ヘビーウェイト樹脂版や、ブリスターパッケージになって1990年代中頃まで発売され続けた。
さらにはコルトガバメントやワルサーP88といった大型ピストルの固定スライドガスガンも発売されたのは、このポケットガスガンシリーズがあったおかげだ。
現在で言うとこのクラスは東京マルイのコンパクトキャリーガンシリーズに相当するだろう。マルイのシリーズは現代的な最新モデルばかりだが、こういったクラシカルなモデルも一定の需要があるはずと思うのは筆者だけだろうか。
カラーはこのニッケルフィニッシュのほか、メタルフィニッシュとブラックカラーのスタンダードの3色が展開された。
マズルはシルバーメッキのダイキャスト製で小さなフロントサイトが一体となっている。マズルギリギリまで真鍮製のインナーバレルがあり、トリガーを引くとインナーバレルが後退してBB弾をチャンバーへ押し込むバレル後座式を採用している。
リアサイトも携帯性を追求した小さなもので、スライド上部からはみ出さないように設計されている。
トリガーは金属製、フレーム左側にあるセフティレバーも金属製で実銃ではスライドストップを兼ねた構造だ。グリップセフティはモールドのダミーとなっている。
携帯性を高めるために丸みを帯びたシルエットが実に美しい。筆者の大好きなピストルのひとつだ。
フレームは左右張り合わせのモナカ式構造なのでパーティングラインこそ見えるものの、張り合わせ用ネジ頭の見えない設計は現在の目で見ても素晴らしい。
エジェクションポートには9mmの刻印。エキストラクターのモールドもエントリーモデルとは思えないリアルさ。スライド側面にはASGKとメーカー刻印。フレームには198802とあり、1988年の開発だということがわかる。当時のエアガンには開発年が刻印されていることがあり、年代を割り出す手がかりになることがある。
FN ブローニング M1910は本来.32ACP弾(7.62mm)の中型オートだが、.380ACP弾(9mmショート)を使用するバージョンも製造された。信頼性も高く、戦前には日本国内へも輸入され、コルト32オートと共に旧日本軍の将校用のピストルとして使われていた。
マガジンはリップの無いワリバシタイプ。フォロアーを引くとボトムでロックし、6mmBB弾を10発装填できる。本体にマガジンを差し込むとフォロアーのロックが解除され弾が装填される仕組みのため、予備マガジンを持つ前提ではなく、マガジン装填時に不意にBB弾をぶちまけてしまうこともしばしば。マグキャッチはなく、マグバンパーをつまんで出し入れする。
付属のBB弾はブルーのマルシン製。重量は0.16gで、当時は高精度と謳われていたが、パーティングラインがはっきりと見え、現代の基準からするとその精度の違いは明らかだ。
実射はマルイの0.2gバイオBB弾で行った。トリガープルは3.9kgと重めの数値だが、癖がなく引きやすい。初速は40m/s前後と10禁エアガンより少しパワーがある程度。ホップアップ機構もないので5mの距離でもドロップ気味に弾が飛ぶが、それでも10cm程度に集弾した。このクラスとしてはかなり命中精度は高いほうだろう。
パッケージはコンパクトピストルだけあって小さいがカラー印刷された豪華なものだ。これで2500円(メッキ版は3200円)だというのだから驚きだ。1994年にはブリスターパッケージに変更された。
図説入りで丁寧な取扱説明書。当時は分解方法まで解説された製品も少なくなかった。マニュアル.PDF (660KB)
DATA
発売年 | 1988年夏 |
発売時価格 | ¥2,500 (スタンダード) ¥3,200 (メタルフィニッシュ) ¥3,200 (ニッケルフィニッシュ) |
全長 | 実測 152mm |
重量 | 実測 230g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | スライド固定ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 38.9m/s (0.151J、0.2g、22度) |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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