マルシン S&W ミリタリー&ポリス 5インチモデル
写真&解説 YAS
解説
S&WのM&Pと言えば、いまでこそポリマーフレームオートだが、もとはといえばS&Wのベストセラーリボルバー、「ミリタリー&ポリス」として知られた愛称だ。
1899年に初期型が登場してから、民間市場で人気となり、第二次大戦中にアメリカ軍はM1911A1の供給不足により、.45口径のM1917や、このミリタリー&ポリスを軍用として配備した。戦後はM10のモデル名が与えられ、30か国以上の軍や警察で広く採用され、オートマチックが主流となった現在でも販売されている.38 Spl弾のリボルバーだ。
今回紹介するミリタリー&ポリスは、マルシンが80年代に全5機種を発売したガスリボルバーシリーズの第三弾となるモデルだ。
ライブカート式のガスリボルバーで、グリップ内にガスタンクを内蔵し、当時としてはリアルな外観を再現、密着可動式のフォーシングコーンによる完成度の高いメカニズムと相まって、本シリーズのいくつかの機種は現在でも基本構造を変えることなく金属製のXカートリッジ化などでアップデートされ続けている。
外観は武骨な軍用リボルバースタイル。軍や警察に長らく採用され続けてきた。
マルシンでは4インチと5インチバレルの2つをラインアップ。4インチバレルはアメリカ海軍が、5インチバレルは主にイギリス軍がレンドリースで使用、イギリス軍モデルは.38-200で弾種が少し異なる。重い.45口径リボルバーより、海軍や海兵隊のパイロットには.38口径が好まれたそうだ。
こちらは4インチモデル。オプションの木製グリップが装着されている。
根元がテーパーのかかったスラリと伸びた5インチバレル。バレル右側には.38 S&W SPECIAL CTGと刻印がある。マズルにはカラーが差し込まれており、シリンダーに密着するフォーシングコーンの動きと連動して真鍮製インナーバレルが前後する構造だ。フロントサイトは半円形で、前オーナーによるものか金属調のウェザリングがされている。
リアサイトはフレーム上部の溝に収まった簡素なものだ。金属製のハンマー後にはエアガン独自のセーフティレバーがある。
ハンマー&トリガーメカはシングル、ダブルアクション可能で、ハンマーノーズは引き込み式。
サイドプレートには刻印等はないが、ガスガン特有のデフォルメもあまり違和感がない。
金属製トリガーには細かいグルーブが入る。シリンダーストップがないのもSAAを除く本シリーズ共通仕様だ。トリガープルはシングルで200g、ダブルで1.9kgでとてもスムーズ。
スイングアウトしてエジェクターでカートを取り出す。
エアガンなのでシリンダーは貫通しているが、先端側が少し絞られている。
スムースタイプの樹脂製グリップはやや幅広に感じるが、いかにも戦中のビクトリーモデルの雰囲気。グリップ底部にはランヤードリングも装備され、その後ろにガスの注入バルブがある。
樹脂製カートリッジは.38SPL弾仕様だが、チーフスペシャルのカートとはサイズの互換性が無く、弾頭形状も異なる。径は実弾とほぼ同サイズ。真鍮製のカートも発売された。BB弾はリム側のパッキンに込める。
5インチモデルは残念ながらガス漏れで実射できなかった。4インチモデルの初速は44m/sとカート式としてはまずまず。0.2g弾を使用して距離4mではやや下目に着弾したが、集弾性は7cmと、これもカート式リボルバーとしては悪くない結果だった。シングルアクションのトリガープルがとても軽く誤射してしまいそうなくらいだ。
手にしてみると重量325gなので、かなり軽く感じるが、クラシックスタイルのリボルバーの味わいがあり、所有感は高い。
パッケージにはマルシンが当時加入していたASGKの認定シールが貼られている。またミリポリ専用の革製ホルスターも3500円で発売された。
4インチモデルのパッケージ。こちらにもASGKの認定シールが貼られている。
取説にはマルシンが当時発売していたアクセサリーパーツや、分解方法も記載されている。
マニュアル.PDF (4.32MB)
DATA
発売年 | 1988年5月上旬 |
発売時価格 | ¥6,300 (4"/5"共) |
全長 | 実測 258mm(5") / 232mm(4") |
重量 | 実測 325g(5") / 318g(4") ※樹脂カート含む |
バレル長 | mm |
発射方式 | ライブカート ガスリボルバー |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 44.34m/s (0.2g、24℃、HFC134a、4"モデル) |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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