マルシン S&W M586 .357マグナム
写真&解説 YAS
解説
S&W M586はS&W社が1980年に発売したLフレームリボルバーで、M19のKフレームより大きく、M29のNフレームより小さいこの.357マグナムリボルバーは、日本ではドラマ『あぶない刑事』の舘ひろし演じるタカが使用する銃として人気を博した。
あぶ刑事は映画シリーズも人気となり、なんと、2024年5月に最新作『帰ってきた あぶない刑事』も公開される。
マルシンからは1987年発売のM29の次期モデルとしてM586のモデルアップが発表されていたが、当初予定されていたケースレス機構をやめ、カートリッジ式に変更されたため、発売が遅れに遅れ、M36、ミリタリー&ポリス、SAAに続くガスリボルバー第五弾として、1989年初夏にようやくスタンダード、メタルフィニッシュのM586、少し遅れてシルバーモデルのM686が発売された。
現在もM586/686はマルシンのガスリボルバーにラインアップされており、基本設計を変えずに、Xカートリッジ化され、HW樹脂バリエーションも含め、SMITH&WESSON社公認モデルとして販売され続けている。
バレルレングスはタカが使用するモデルとおなじ、4インチをモデルアップ。まだマルシンがASGKに加盟していた時のモデルなのでフレームにはASGKの刻印がみられる。
メタルフィニッシュ仕上げのメッキは経年変化でケースハードゥンのような玉虫色に変色しているが、深みのある黒鉄色が渋い。
フルラグバレルのマズルにはバレルカラーが差し込まれており、リアルとは言えないが、.357マグナムらしい迫力はある。フロントサイトはレッドインサートが入る。
ハンマーは金属製、ノーズは引き込み式。リアサイトはフルアジャスタブル。リアサイト下のサイドプレートにネジがあるのはマルシンガスガンのデフォルメ仕様だ。
シングル、ダブルアクション射撃が可能で、トリガープルはシングルで740g、ダブルで2.3kgほど。とても滑らかなトリガーフィーリングだ。
スイングアウト。実銃同様にカウンターボアードの無いシリンダー。M29やM36と同じくシリンダーストップが無く、フォーシングコーンが可動してシリンダー前面に密着し、シリンダーを固定、ガスのロスを防ぐ仕組みだ。ハンマー後ろにはガスガン用の安全装置スイッチがある。
樹脂製のグリップ内にガスタンクがあり、ガス注入口が底面にある。トリガーガード外側は綺麗にパーティングラインが処理されている。あぶない刑事のタカ仕様にデイビス社製ラバーグリップに交換するユーザーは多かった。現行モデルではデイビスタイプのラバーグリップが標準装備されている。
スクウェアバットのグリップということもあり、M36より大きめのガスタンク。
カートリッジは茶色の樹脂製で、リム側でBB弾を保持するタイプ。リム部分に刻印はなく、.38splよりも少し太く作られている。当時の樹脂カートは経年劣化で割れやすく、リムの部分が欠けてしまっているカートもある。
実射は0.16g弾で行った。命中精度は5m先のターゲットにやや山なりに飛び、A4サイズ用紙に何とかヒットするかといったところ。0.2g弾での初速は46m/sほどだった。
パッケージにはS&Wの記載が入り、357MAGNUMや4inch、メタルタイプの表記がある。ASGKの認証シールも貼られている。
当時はリボルバーに取り付けるピストルスコープも人気があり、マルシンも本シリーズ用に3,800円で発売していた。
取説にはマルシンが当時発売していたアクセサリーパーツなども掲載している。当時の取説には分解方法が記載されているものが多かった。マニュアル.PDF (4.58MB)
DATA
発売年 | 1989年初夏 |
発売時価格 | ¥8,500 (スタンダード) ¥9,500 (メタルフィニッシュ) ¥9,500 (M686) |
全長 | 実測 245mm |
重量 | 実測 450g ※カート含む |
バレル長 | mm |
発射方式 | ライブカート ガスリボルバー |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 45.75m/s (0.2g、22.7℃、HFC134a) |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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