MGC H&K P7M13
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
かつて隆盛を誇ったトガンメーカーが活動を停止する直前の製品というのは、ある意味でそのメーカーの集大成だったともいえるわけで、以前紹介したJACのステアーAUGしかり、ハドソンのジェリコ941しかり、そしてこのMGC H&K P7M13も、いま見ても本当に素晴らしいエアガンだ。
MGCがガスブローバックガンとして、グロック17の次に選んだモデルがこのP7M13だ。
スライド、フレームはもちろん、グリップパネルまでHW材で作られていたため、コンパクトな外観とはアンバランスなほどの重量感。厚いスチールプレス製のスクイズコッカーや、実銃と見まごうばかりの複雑なプレス加工によって成形されたマガジン。それらはすべて、エアガンとして他の追随を許さないほどに高度な再現レベルだった。
しかし、発射システム自体は新しいものではなく、グロック17同様のアフターシュートブローバックだった。後にABS製の軽量スライドモデルが追加され、最終的にはハイパーブロウバックという名称でプレシュート化もされた。
MGCのトイガンというのは、撃って遊べるオモチャとして割り切った設計の物がヒットする傾向にあり、必要以上にリアルさを追求した製品は商業的に失敗する場合が多かったように思う。皮肉なことに、このH&K P7M13もそのモデル選択と、高すぎる完成度ゆえヒットにはつながらず、不遇の名作だったといえるかもしれない。
実銃としてもかなりユニークな存在であるP7M13。MGCの製品はその存在感をあますところなく再現した傑作だった。ダブルカアラムマガジンのM13をモデルアップしたのは、マガジンのガス容量をかせぐためだったと思われる。
ヒケのないフラットな平面とエッジの立った素晴らしい造形のスライド前面ビュー。インナーバレルはライフリング溝の入ったサイクロンバレルだったが、その効果には最後まで疑問符がついた。
ブ厚いスチール板のプレスで成形されたスクイズコッカー。MGCでは単純にセフティーとスライドリリースとしての役目のみだったが、この再現度の高さはさすがMGCといったところだ。
実銃ではスクイズコッカーを握り込むことでストライカーがコッキングされる仕組みだが、ガスガンの場合それは関係ない。しかし、「カッキン」という独特の操作感はかなり実感があり、ギミックとしてはとても面白い。
ブローバックエンジンは同社製グロックからつながるアフターシュートシステムで、ピストンロッドがスライドを押し下げる仕組み。1994年には「ハイパーブロウバック」というプレシュート版も発売された。
ダミーながら別パーツのエキストラクターなど全体的な外観はリアルなだけに、エジェクションポートから見える内部メカニズムが少々興ざめだ。
20もの複雑な工程を経てプレス加工されたというマガジン。ジャーマングレーの塗装といい、実にリアルな外観。
プラスチック製のガンケースに収納して販売されるという、当時としてはかなり豪華な仕様だった。
モデルガン時代からMGCのマニュアルは詳細で、イラコバさんのイラストともあいまって読んで楽しい物だったが、MGCの晩年期ともいえる頃のマニュアルはある意味で集大成のような感がある。
manual.pdf (1.3MB)
DATA
発売年 | 1992年11月中旬 1993年3月中旬 (シューマッハカスタム) 1993年7月中旬 (スーパーステンレスシルバーHW) 1994年4月中旬 (シューマッハカスタムABS ハイパーブロウバック) |
発売時価格 | ¥17,500 ¥19,800 (シューマッハカスタム) ¥15,500 (ブラックABSモデル) ¥19,000 (スーパーステンレスシルバーHW) ¥17,500 (シューマッハカスタムABS ハイパーブロウバック) |
全長 | 実測 174mm |
重量 | 実測 849g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 15発+1 |
平均初速 | 54.3m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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