ハドソン ジェリコ941
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ハドソン産業は、1960年代前半からモデルガンの製造をはじめた老舗トイガンメーカーだ。残念ながら2009年にトイガン部門から撤退してしまったが、そのラインナップは一貫して独自性の高い物ばかりだった。ジェリコ941という、国内ではあまり知られていなかったハンドガンをモデルアップしたのも、ハドソンならではだといえる。ジェリコのトイガンとしては、これが現在に至るまで唯一の製品だ。
ブローバックエンジンにはマルゼンのアドバンスシュートシステムを採用、そこに独自のBVS(バタフライバルブシステム)という切り替えバルブを搭載していた。純然たるモデルガンメーカーだったハドソンとしては、一から設計するよりも他社とライセンス契約をした方が良いと判断したのだろう。しかし、エアガン製造のノウハウがまだ完全ではなかったためか、実際の製品にはあまり調子の良くない個体も少なからず含まれていたようだ。後に改良され、実射性能はかなり上がったが、それでもエアガンファンが求めるレベルには最後まで達する事はなかった。
モデルガンメーカーらしいリアルな外観は今なお色あせておらず、全体的な仕上げの良さなどはハドソン製トイガンの真骨頂とも言えるものだっただけに、市場から消えてしまった事がおおいに悔やまれる1丁だ。
イスラエルIMI製のハンドガンとしてはデザートイーグルが有名だが、後にジェリコの改良版がベビーイーグルと呼ばれるようになった。
刻印。
フレーム前方のフルレングスダストカバーが印象的だが、ルーツをたどればチェコの名銃CZ75にたどり着く。
刻印。
セフティがスライド側面にあり、コック&ロックは出来ないが、自動拳銃としての安全性はその方がはるかに高い。
アウターバレルはロッキングこそないものの、ショートリコイル風に後退する。ダミーのライフリングも角のないポリゴナルを模しているという懲りよう。
パーティングラインは機械加工によってキレイに消され、面出しがされている。
グリップ背面の造形も機械加工によるもので、美しいクロームメッキと相まってまるで金属のようだ。
シボ加工とマークまで細やかに再現されたグリップ。デザートイーグルの物とデザインがよく似ている。
チャンバーには.41アクションエキスプレスの口径表示。9mmパラとリム径が同じため、実銃ではバレルやマガジンなどを交換するだけで両方のカートリッジが使用できる。
端正で仕上げの良いマガジンだが、残念な事にガス漏れが続出、エアガンファンの評判はあまり良くなかった。
シンプルなパッケージ。ハドソンオリジナルの機構であるBVSの文字が誇らしげだ。
親切丁寧で分かりやすいマニュアル。モデルガン時代のハドソンは分解図の紙1枚だけというのが当たり前だった事を思うと、これは格段の進歩だったといえる。
manual.pdf (3MB)
DATA
発売年 | 2003年3月上旬 |
発売時価格 | ¥18,500(ブラックモデル) ¥19,500(フレームシルバーモデル) ¥21,500(シルバーモデル) |
全長 | 実測 208mm |
重量 | 実測 765g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 24発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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