MGC M93R オート9
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今でこそ、アニメや映画などに登場する「架空の銃」がエアガン化されることも珍しくないが、MGCのオート9はその先駆け的な存在だったといえる。
MGCの伝説的なガスガンであるベレッタM93Rにロングスタビライザーと大型グリップ、カスタムリアサイトなどを搭載しているが、基本的にはメカもスライド固定式ガスガンを踏襲し、本シリーズのカスタムバリエーションといった位置付けだ。
これだけ全長が長いので、ロングバレル化されているようにも見えるが、インナーバレルはノーマルと同じ。したがって、実射性能も基本的にはノーマルのままだ。
映画「ロボコップ」との正式なタイアップというわけではなかったので、ロゴマークなどは入れることができなかったが、劇場公開から僅か8か月という期間でモデルアップされ、パッケージにはイラコバ氏によるアクション映画のキャラクター達のイラストが描かれるなど、旬なモデルであることをアピールしていた。
思うにMGCは、こういったSFチックな銃に対する情熱度はそれほど高くないメーカーだった。ある意味では硬派ともいえるが、映画のプロップガンは派手なブローバックが印象的だっただけに、可動部分の少ないスライド固定式でオート9を再現したのは、やはり少々強引だったのだろう。
もしかするとMGCは、新規製作のパーツが少ないオート9なら少ない投資で製品化できる、と考えたのかもしれない。しかし、そういった思惑が透けて見える製品というのは、えてして大ヒットにはつながらないものだ。
映画「ロボコップ」で一躍有名になったオート9。大型のスタビライザーが特徴的だが、スライドやフレーム自体はM93Rそのものであり、製品化しやすかったと思われる。特にM93RのパイオニアだったMGCとしては、避けて通ることはできなかったはずだ。この個体ではスタビライザーの固定ピンが紛失している。
先端に飛び出しているマズルパーツはアウターバレルではなく単なるキャップ。スチール製でリアルだが、インナーバレルはスタビライザーの半分ほどの長さしかなく、おそらくノーマルのまま。
リアサイト上部には「OCP-POLICE, 001-A9」の刻印がある。以前に本コーナーで紹介したWA製フルオート9と見くらべてみると面白い。
スライドのロッキング部分はM93Rそのままで、今にも動き出しそうな造形だがもちろんダミー.。MGCはこういうところの再現が昔から本当に上手かった。
スタビライザーを下から見たところ。ABS製で内部は空洞部分が多いため、見た目に反してかなり軽い。
スライド固定式なので、フレーム上のパーツで動くのはトリガー、ハンマー、セフティー、マガジンキャッチのみ。M93Rなら折り畳みフォアグリップの動作があるのだが、もちろんオート9にはない。
マグウェル機能付きの延長されたグリップ。マガジンの挿入はやりやすいが、形状や表面処理など、全体的なディティールはやや荒々しさが見える。
マガジンは従来の亜鉛ダイキャスト製から、スチールプレス製となった38連タイプが付属。
M93Rのマガジンはかなりバリエーションが多く、リキッドチャージマガジンの歴史そのものといっても過言ではない。キャリコやCz75にも搭載された改良型バルブを踏襲。このスッキリとしたデザインが完成するまでには、長きにわたる試行錯誤があったはずだ。
DATA
発売年 | 1988年10月13日 |
発売時価格 | ¥9,500 |
全長 | 実測 355mm |
重量 | 実測 810g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 38発 |
平均初速 | 57.8m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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