MGC キャリコ M-1000
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
このコーナーでは以前にトイテックのキャリコを紹介したが、今回はその競作となったMGCのガスガンだ。
トイテックのモデル名は実銃通りM-100だったが、こちらはなんとその10倍(?)のM-1000である。
これには1000発のBB弾が装填できるという意味が込められていたそうだが、実際の装弾数は約800発程度なので、厳密には整合性に欠けているとも言える。
だが、1980年代後半はまだまだ大らかな時代だったし、エアガンブームが右肩上がりだった頃を感じさせるような、なかなか勢いのあるネーミングではないだろうか。
発射機構はセミオートオンリーで、M93Rから続くトリガー連動のバレル後退式メカニズムだ。
内部はスライド固定式のガスハンドガンと基本的に同じで、ひとつのメカを様々なモデルに応用して発展させるのは、モデルガン時代からMGCのお家芸だった。
大容量のマガジンは自重落下式だが、ジョウゴのように自然に落ちて行くわけではなく、内部に設けられたベルトコンベアーによって、BB弾がある程度強制的にチャンバーへと運ばれる。
意外だったのは、ローパワーのイメージが強かったMGCガスガンの中でも、キャリコは比較的初速値が高かった事だ。
やはり、サバゲーブームの中でセミオートオンリーというのはいまひとつ訴求力が弱く、ある程度のパワーが必要だったのだろう。
特に、トイッテクの方はフルオートに3点バーストまでついていたわけだが、対するMGCはシンプルなメカで故障しにくい、というのも大きな魅力のひとつだった。
左側面に貼られた星条旗のステッカーがMGCとトイテックを見分けるポイントだ。これは米国在住の銃器フォトグラファー、永田市郎氏所有の実銃を採寸した際、貼ってあったステッカーごと再現したためと言われている。
全長730mm(ストック折畳時)と、トイテックの750mmにくらべると若干短く、全体的なボリュームも小さく感じる。この個体には珍しい純正のバイポッドが装着されている。(固定ネジのみ既製品)
リアサイトは左右の調整が可能。セミオートモデルだけに照準調整ができるのはありがたい。
フロントまわりはトイテックと区別がつきにくいほどよく似ているが、どちらも実銃を忠実に再現した結果だと思われる。
セミオートオンリーなのでセレクターはファイアとセフティの2ポジションのみ。
マガジン後部のフタを開けてBB弾をジャラジャラと入れるデザイン。
実銃では.22LRの刻印部分が.25BBとなっている。MGCらしい、実にシャレのきいたアレンジだ。
以前紹介したトイテックと見比べてみると面白い。リアル路線ではなく、あくまでも雰囲気重視というのがMGCのスタイルだった。
折りたたみストックはスチールプレス製。トイテックよりも価格が安いぶん、作りには若干チープさが目立つ。
ガスはグリップ下からリキッドチャージするか、ガスボンベを直結するかのふた通りが選べた。
見やすく理解しやすいマニュアル。22口径の各種マシンガンをイラストで並べているところがいかにもMGCらしい。
DATA
発売年 | 1987年7月31日 |
発売時価格 | ¥11,000 |
全長 | 実測 854mm/730mm(ストック折畳時) |
重量 | 実測 1075g(バイポッド込) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 800発 |
平均初速 | 71.6m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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