トイテック キャリコアサルトM-100 スーパーモデル
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ガンファンに人気のある機種というのはある程度限られるため、トイガン業界ではしばしば競作が生まれる事も多い。
昔ならM16A1やベレッタM92F、今ならM4カービンがそうだろう。
そんな中、それまで日本ではほぼ無名であったにもかかわらず、いきなり競作となってしまったのが、キャリコM-100だ。
発売したのはMGCとトイテックで、老舗に対抗したトイテックは新進気鋭のメーカだった事もあり、当時はかなりの話題作となった。
実銃は22LRを使うセミオート、らせん状にカートリッジが並ぶヘリカルフィードマガジンと呼ばれる筒型弾倉を使い、100発という大容量がウリだった。
当然、エアガンでもその大容量マガジンが活かされ、トイテックでは実銃の10倍、なんと1000発ものBB弾を収納する事が出来たのだ。
BB弾はマガジン上部からジャラジャラと流し込むスタイルで、後部のゼンマイを巻き上げ、後ろから少しずつ押し出す形で給弾される。
発射モードも、セミ、フル、3点バーストと、完全に実銃を超越した仕様になっており、サバゲーでは最強ウェポンとなる可能性を秘めていた。
しかし、1991年に東京マルイが電動ガンを発売した事で、外部ソース式のガスガンは急速に勢いを失ってしまう。
不遇の名銃とも言うべきか、もう少し早く世に出ていれば、と悔やまれるエアガンである事は間違いない。
本個体は1988年12月に発売されたスーパーキャリコ(スーパーモデル)で、銃身長が初期モデルより20%長い440mmとなっている。
ひと昔前のスペースレーザーガンのような独創的デザイン。グリップの上、銃の右半分はすべてマガジンだ。
三角形のフロントサイトベースとチューリップハイダーのようなマズル付近のデザインは、やはりM16を意識しているはず。
トイテックではキャリコピストルもバリエーションに加えていた。このサイズで1000連発は最強だった。
ベレッタM93Rにも似たフロントグリップ。アウターバレルは金属製。
グリップ下部に外部ソースのホースをつなぐ。メーカーからトリプルブースターなども発売されたが、フロンガス缶だけでは気化が追いつかず、エアタンクを使うゲーマーも多かった。
マガジン上部の穴からBB弾を流し込み、後方にある円形のノブを回してBB弾を押し出すように給弾する。
セレクターはこの位置でセフティオン。ここからセミ、バースト、フルと切り替わる。
一見、M16風だが、よく見るとかなり独創的なデザインのフロントまわり。フロントサイトは可動式で微調整が可能。インナーバレルは当時としてはタイトな内径6.1mmの真鍮製バレル。
実銃のメーカー、アメリカンイダストリーズの刻印は本物ソックリ。折りたたまれたストックはマガジン下に収納。
ストックを開いた状態。実銃通りなので仕方ないのだが、あまり構えやすいデザインではない。
トイテックのマニュアルは親切丁寧で、細かく分かりやすい解説が特徴だった。発売から半年でスーパーキャリコが発売され、事実上のバージョンアップとなった。
マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1988年6月 キャリコM-100 フルオート1000 1988年10月 キャリコピストルM-100P スワットモデル 1988年12月10日 スーパーキャリコ |
発売時価格 | ¥13,500 (本体) / ¥18,000 (フルセット) 初回出荷時 ¥15,800 (本体) / ¥19,800 (フルセット) ¥14,800 (本体) / ¥19,800 (フルセット) キャリコピストル ¥22,000 (本体) / ¥26,500 (フルセット) スーパーキャリコ |
全長 | 実測 902mm / 750mm(ストック折畳時) |
重量 | 実測 1,480g |
バレル長 | 440mm カタログ値 |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 1,000発 |
平均初速 | - |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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