カナマル コルト ガバメント 第2次大戦記念モデル
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
カナマルの製品はチャーターアームズ.44ブルドッグに次いで今回が2回目だ。
ブルドッグのときも触れたが、カナマル(カナマル商事)とは、かつて東京の錦糸町にあった玩具問屋である。ジョークショップという小売店も経営していて、古くからモデルガンやエアガンを数多く扱っていた。
そのカナマルが、オリジナル商品として最初に発売したエアガンがこのコルトガバメント第2次大戦記念モデルだ。ただし、完全な新規製作ではなく、コクサイのエアコッキングガンをベースにしたカスタムモデルとしてのリリースだった。また、このシリーズには他にもマルシンのエアコッキングM1カービンをベースにした第2次大戦記念モデルもあった。
具体的なカスタム箇所としては、スライドの刻印(プリント)、真鍮製ハンマー、グリップスクリュー、金メッキされたサムセフティ、スライドストップ、トリガー、マガジンキャッチ、USメダリオン入りの木製グリップ、さらにマガジンにも真鍮製パーツが追加され、下から給弾する機構が改善されてコクサイよりもリアルになっている。
エアガンとしての発射機構はノーマルのままなので、基本的には以前紹介したコクサイのコルトガバメントと性能は同じだ。しかし、真鍮製パーツの多用によって重量はかなり増えており、心地よい持ち重りが感じられる。
カナマルはこの後、前述のチャーターアームズ.44ブルドッグや、レミントンダブルデリンジャーなどのエアガンを続々と発売する。しかし、それらの企画設計や製造はKTWがおこなっており、カナマルは最後までエアガンの製造には関わらなかった。流通と販売だけを手掛けたメーカーとして、今なおオールドガンファンの記憶に残るブランドなのだ。
1980年代にはMGCもGM2ベースの第2次大戦記念モデルを発売していたが、本エアガンが世に出た頃には、すでに第2次大戦記念モデル自体が時代遅れといった感は否めなかった。しかし、こうしたクラシカルなカスタムを好むガンファンが一定数以上存在したのは確かで、当時のエアガンブームは、様々なユーザー層に対応する余裕があったということだ。
マズルまわりはノーマルのまま。6mm口径のインナーバレルはABS製だが、むしろアウターとの違和感を感じさせずイイ雰囲気だ。
金メッキされたパーツ類と真鍮製のハンマー、ウォールナットの木製グリップにUSメダリオンと、各カスタムパーツのクオリティはなかなかのもの。
ノーマルではハッキリと残っていたパーティングラインが見事に消されている。これは1丁ずつ手作業のため、大変手間のかかる加工なのだ。
内部メカニズムはノーマルと同じで、マガジン最上部のBB弾をチャンバーまでリフターが運ぶ仕組み。
大幅に改造されたマガジン。以前紹介したノーマルと比べてみてほしい。装填が上からになりリアルになった。
ノーマルパッケージの紙箱に商品名のシールが貼られている。
当時のカナマル商事広告。東京マルイのルガーP08のカスタム真鍮パーツや、オリジナルブランド"ウルフ"のBB弾、電動式リアクションターゲットなども販売していた。また、サンエイのゴーグル&フェイスガードやオレンジ軽量BB弾も取り扱っていた。
DATA
発売年 | 1986年10月 |
発売時価格 | ¥19,800 |
全長 | 実測 217mm |
重量 | 実測 445g |
バレル長 | カタログ値 65mm アルミ製 |
発射方式 | プル式コッキングエアー |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 11発 |
平均初速 | 47.5m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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