東京マルイ ルガーP08
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するのは、プルコッキングエアーハンドガンの革命児とも言えるマルイのルガーP08だ。エアガンの歴史を創成期から振り返ってみると、特にハンドガンの場合、実銃に似せた薬莢を使うケース式の製品が多かった。そこに登場したのがケースレス方式のマルイ ルガーP08というわけだが、あらゆるハンドガンの中で他の追随を許さないほどに良く当たり、場合によっては長物をも凌駕する命中精度に、当時のエアガンファンはドギモを抜かれたのである。
その秘密は、ケースレスにしたことだけではなく、アルミ製のインナーバレルを装備していたことや、バレル長とピストンスプリングのバランスが取れていたこと、高品質なチャンバーパッキンを使用していたことなどが考えられるが、今では当たり前のこうした要素も当時としては革新的だった。さらに、1,900円という低価格も衝撃だ。外観のリアルさを保ったまま、必要のない部分は大幅にコストダウンすることで実現した価格だが、この思い切りの良さこそが大ヒットにつながった理由なのだ。エアガンは当たってナンボ、撃って遊ぶ物、というユーザーの潜在的な要望にうまく応えた結果、エアガンブームの底上げと拡張に貢献したと言えるだろう。
現在はラインナップから外されているが、今も続くマルイエアーハンドガンシリーズのルーツとして、末永くエアガンファンの記憶に残る1丁である。
当時、どこかバランスのくずれたフォルムのハンドガンが多かった中で、このリアルな外観は衝撃的だった。金型がよく磨かれているためか、表面のツヤが美しい。
東京マルイ初の完成品エアソフトガン。本製品以前にマルイは7mmつづみ弾仕様のスプリングガンを発売しており、外観は踏襲されている。
リアルなトグルアクションが再現されている。動きもスムースでコッキングにストレスはない。
テーパーのかかったバレルと溝の入ったフロントサイト。Vノッチリアサイトとの組み合せで実銃通りの仕様だった。
当時、精度が高いと評判だったアルミ製のインナーバレル。1,900円の製品としては確かに豪華だったと言える。
プルーフマークも入っており、外観において最大限のリアルさを目指していたことがわかる。
モナカ構造でトリガープレートとテイクダウレバーはダミー。トリガープルが軽く、キレが良いのも実射性能を高める要素となった。
正確なチェッカリングと絶妙な色味、まるで木製と見まごうような雰囲気のグリップパネル。こういった部分からもマルイの高い技術力がうかがえる。
ワリバシマガジンにはリップがなく、全弾撃ち終える前に引き抜くと残弾がすべて飛び出してしまう。残念な点ではあるが、1,900円という低価格を実現するために必要なコストダウンだった。
シンプルなパッケージ。上箱には銃の右側面が描かれ、箱を開けると左側面が見えるという演出が素晴らしい。なお、2001年12月に本モデルの金型を流用したバリエーションとして『バイオハザード コードベロニカ』とコラボした「アッシュフォード ゴールドルガー」が二丁セットで限定発売されている。
DATA
発売年 | 1985年12月14日 |
発売時価格 | ¥1,900 |
全長 | 実測 215mm |
重量 | 実測 310g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プルコッキングエアー |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 16発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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