コクサイ こると まーくふぉー しりーず'70 がばめんと もでる
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
コルトガバメントのエアガンとしては、それまでいくつか存在していた製品に比べ、リアルさの点で他メーカー群を一気に引き離したと言えるのがコクサイのプル式エアコッキングガンだ。正式な商品名は「こると まーくふぉー しりーず70 がばめんと もでる」ということになるようだが、それではちょっと話が進めずらいので、一般的なカタカナでガバメントと表記したい。
ブッシュ式エアコッキングの製品が多かった当時、まず、プル式コッキングというのが新鮮だった。オートマチックピストルである以上、やはりスライドを押し込むより、「後ろに引く」という動作のほうがよりリアル感があり、実際の連射も速かった。
くわえて、ケースレスであることもガンファンに受ける要因だったと思う。サバゲーブームが盛り上がりをみせていた時代なので、もはやカートリッジはジャマ者扱いされつつあったのだ。
しかし、肝心の命中精度がかなり悪く、空き缶を撃つようなプリンキングでさえ使えないほどのレベルだった。さらに、ピストンスプリングが異様に強いためか、フレーム後部が割れる故障が続出。それでも、リアルなガバメントを世に送り出した功績は大きく、ヒット作となったようだ。
どうも昔のコクサイ製エアガンは耐久性に難があったと言わざるを得ないが、同シリーズのラーマオムニやSIG P220と同様、エアガンの一時代を支えた名作だったことは間違いない。
シリーズ'70のフォルムがかなり正確に再現されている。当時、エアガンとしては画期的ともいえる再現度の高さだったが、いま見てもじゅうぶん通用するほどのリアルさではないだろうか。
インナーバレルはプラ製。強いピストンスプリングのプレッシャーを受けるためか、バレルブッシングが実銃に比べかなり大きく厚くなっているのが少々残念。
スライド後部にはピストン後部を支える金属パーツが露出し、それを固定するためのピン穴がスライド側面にあるが、エキストラクターやスライドの噛み合わせなど、モールドの線でなんとか再現しようという工夫が見て取れる。
マガジンキャッチの構造はほぼ実銃通り。これは長いトイガンガバメントの歴史上、スズキ、MGC GM5(どちらもモデルガン)についで3番目、エアガンとしてははじめての再現となった。
スライドをコッキングして戻すと、マガジン最上部のBB弾がリフターに入り、90度(4分の1回転)持ち上がってチャンバーへと運ばれる。その後ノズルによって押し込まれ、発射準備完了が完了する。
マガジンボトムに露出しているツマミをひねって外すと、中からチューブラーマガジンが取り出せる。
マガジンの構造。リップは金属製で、1発だけBB弾をくわえて回転しリフターに挿入するという、なかなか凝った仕組み。
すべてひらがなで書かれているというなんとも不可解なパッケージ。トイガン業界でも老舗だったコクサイのイメージを、根底から覆すようなインパクトがあったのは確かだ。
80年代らしい、めちゃんこファンシー(笑)なイラストで解説されているマニュアル。
マニュアル.PDF (1MB)
DATA
発売年 | 1985年11月 |
発売時価格 | ¥5,800 ¥7,000 (カスタムモデル [シルバー] ) |
全長 | 実測 217mm |
重量 | 実測 360g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 11発 |
平均初速 | 48.5m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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