コクサイ ラーマ オムニ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ラーマ(リャマ)社はスペインの老舗銃器メーカーだ。日本ではじめてトイガン化されたのは昭和40年代前半頃、東京CMCという、今はなきモデルガンメーカーが製作したガバメント型オートの金属製モデルガンだった。それから約20年の時を経て、再び世に出たラーマのトイガンがコクサイのラーマ オムニということになる。
発射形式はケースレスのプル式エアコッキングで、コクサイ製品としてはコルトガバメントに次ぐ2作目だ。当時、エアコッキングガンのほとんどがワリバシタイプの細いマガジンと全体的に華奢な作りの製品が多かった中で、コクサイのシリーズは明らかに他と一線を画すリアル路線であり、価格も倍以上の開きがあった。
ラーマオムニも幅広サイズ(フルサイズと呼ぶには若干小さかったが)のマガジンを備え、金属製パーツの多用による重量感はさすがモデルガンメーカーの製品といったところだ。中でも特筆すべきはデコッキングメカで、エアコッキングガンでありながらセフティレバーの操作でハンマーを安全にダウンさせられる製品は他にはないセールスポイントだった。
しかし、パワーを稼ぐためかなり強いピストンスプリングが入っており、結果的にユーザーが望むレベルの命中精度が出せず、さらに故障も多かったためヒットにはつながらなかった。ただし、今もってラーマのトイガンはこの製品が最後なので、その意味では貴重なモデルだったと言えるかもしれない。
過去に一度月刊Gunで紹介されたことがあるだけで、日本のガンファンにはほとんど知られていなかったラーマ オムニ。コクサイがなぜこの銃をモデルアップしたのかは知る由もないが、有名な銃ばかりだった当時の日本のトイガンシーンに一石を投じたことは確かだ。
段付きのバレルが再現されている。当時はまだ独立したインナーバレルのないエアガンが多かった。
スライドトップビュー。幅のせまいリブや小振りなフロント&リアサイト、キリッとエッジの立ったエジェクションポートなど、当時としてはなかなかの再現性。
実銃と比べて細身のハンマーだが、トリガーとともにクロームメッキが施されており高級感がある。
エアコッキングガンとしては珍しい、実銃通りのデコッキングメカが再現されていた。この状態からセフティをオフにすればダブルアクションで発射可能。また独特のピストンリリースメカを搭載しているのも特徴。
ラーマのマークがしっかりと再現されている。ラーマのトイガンとしては2作目であり、エアガンとしては唯一の製品だ。
若干小振りだが、ワリバシ型マガジンが普通だった当時はこれでもリアルサイズに見えたものだ。
スライド式のマガジンリップ。他にあまり類を見ないように思えるが、なかなか合理的なデザインだ。
実物大の写真が上箱に印刷されたパッケージ。
ガバメントからはじまったこのシリーズのマニュアルにはかなりポップなイラストが使われており、それまでの硬派なコクサイのイメージを覆すものだった。マニュアル.PDF (2.4MB)
DATA
発売年 | 1987年初夏 (ブラック) 1987年秋 (ステンレス フィニッシュモデル) |
発売時価格 | ¥6,800 (ブラック) ¥7,800 (ステンレス フィニッシュモデル) |
全長 | 実測 203mm |
重量 | 実測 358g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 12発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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