ASP 電動ガン EBR Mod.0
レビュー: 金子一也 (Gunsmithバトン アキバ店長)
USSOCOMの要求で生まれ変わったM14
映画「ブラックホークダウン」での活躍で名高いバトルライフル、スプリングフィールドM14を、現代の戦場でも使用出来るように改良され、生まれ変わったのが、M14 EBR(Enhanced Battle Rifle)である。
当Airsoft通信の第7回記事で、CYMA製のEBR
Mod.1をご紹介しているが、今回はEBRの最初期型であるMod.0を製品化した、ASP社製電動ガンのレポートをお届けする。
ちなみに、Mod.0やMod.1というのは、Modification(改修)された順番を示しており、実銃のEBRは現在、Mod.2まで造られている。
ASP 電動ガン EBR Mod.0 スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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強烈な存在感を主張するフロントまわり
まずはフロントまわりから見て行こう。18インチバレルの先端には、ボルテックスタイプのフラッシュハイダーを装備。マズルフラッシュを低減させる実物の形状をきちんと再現している。アウターバレルから取り外すことは出来るが、一般的なエアガンと違って正ネジ仕様になっているので、オプションの取り付けには注意が必要だ。
フロントサイトは、前面のボルトをゆるめることで左右方向の調整が可能。調整の際は、プラハンマー等で軽く叩いて動かそう。
バレル下に設けられたガスシリンダー先端のガスシリンダープラグはネジ込式になっており、回転させることが出来る。電動ガンでは何の意味も無いが、ちょっと嬉しいギミックである。
見るからに頑丈そうなハンドガードは、4面にレールを備えたアルミダイキャスト製。左右と下面のレールはハンドガードの内側からネジ止めされている。左側面の前方に装着されたスリングスゥイベルは、アッパーハンドガード側面に開けられた穴であれば、任意の位置に付け替えることが出来る。左利きの人にとっては嬉しい仕様と言えるだろう。
ハンドガードの下から被さるように取り付けられた樹脂製のフォアエンドは、Mod.1よりも大型のもので、実物通り表面に施されたシボ加工の手触りが心地よい。ハンドガードには下面にある3本のネジで固定されており、これを外すことでバッテリー収納スペースにアクセス出来る。BATON airsoft電動ガン用リポバッテリーであれば、7.4v2000mAh[30C](ミニ互換)、または、Eライン7.4v2000mAh[30C]ミニタイプと、大容量のものが収納出来るので、頻繁なバッテリー交換を行わずに済むだろう。
正規ライセンスを取得したリアルなシャシー
無骨そのものといった雰囲気のシャシーは、Sage M14ALCS(Aluminum Chassis Stock)の複雑な形状を忠実に再現。右側面に白く刻まれたレーザー刻印は、sage international社の正規ライセンスを取得している証だ。
刻印の上に見えるチャージングハンドルを引くと、エジェクションポートから見えるダミーボルトが、左に回転してから後退する。これは実銃のロータリーロッキングシステムを再現したギミックで、特に機能的な意味は無いものの、嬉しい演出と言える。
リアサイトの下に見えるパーツはセレクターレバー。実銃にあるAの刻印が省略されているが、画像の位置から時計回りに180度回転させると、フルオートモードに切り替わる。
軽量化のため肉抜きされたシャシー左側面の形状も実物そのもの。中央部に見えるボルトストップレバーは単なるダミーではなく、ボルトカバーを開放状態でホールドする、実物通りの機能を再現している。もちろん、レバーを押しこめば、鋭い金属音と共にボルトカバーが前進する。
アッパーレシーバー後端には、レーザー刻印によるマーキングが入っているが、どうやらスプリングフィールドアーモリー社とのライセンス契約は結んでいないようで、この部分の刻印はASPオリジナルのものとなっている。
リアサイトはM1ガーランドからの流れをくむものが採用されていて、右のノブで左右に、左のノブで上下へと、実物通りのクリック調整が可能。EBRという銃でアイアンサイトを使った射撃を行うことは少ないかもしれないが、非常に狙いやすい優れたデザインのサイトだ。
シャシー後部のストック基部はスチール製で、引き出し式ストックのフレームをがっちりと包み込んでいる。レシーバーとの結合部分にはスチール製のスリングスゥイベルプレートが挟み込まれている。4kgを超えるASP EBRをスリングで吊っても、ビクともしない強度が確保されている。短いレールマウントの後に見える溝が刻まれたパーツは、ストックのロック解除ボタンで、これを下に押し込みながらストックの引き出しと収納を行う仕組みだ。
尚、今回入荷したASP製EBRは、このストック基部とシャシーの結合部分に隙間があり、ガタつきが発生していたため、Gunsmithバトンにて専用のシムを製作し、すべての個体でこの問題を解決している。
ストックは5段階の長さ調整が可能で、上の画像は最大に引き出した状態。多数の肉抜き穴が開けられたバットプレート基部は分厚いダイキャスト製で、強度的な不安は微塵も感じさせない。
バットプレートの前面にあるレバーを手前に引き上げると、チークパッドのロックが解け、約55mmの範囲で無断階に高さが調節出来る。
画像はチークパッドを最大に引き上げた様子だが、この状態で構えて頬付けしても、ガタつき等はまったくない。
グリップは樹脂製で、実物のSAGE EBRグリップの荒々しい雰囲気を良く再現している。
また、このEBRはモーターがストック基部に収められているため、グリップが薄く造られているのも嬉しいところだ。
高い命中精度に繋がるVer.7タイプの内部構造
レシーバーに固定され、シャシーに包まれたメカボックスはいわゆるVer.7互換の設計だが、内部のギヤはVer.2&3互換の一般的なものが採用されている。故障等が発生した時の、補修パーツの入手しやすさという点で、歓迎すべきアレンジだ。
軸受けは摩耗に強い7mmのメタル軸受を採用。その他内部パーツのクオリティに大きな問題は見られないのだが、460mmというインナーバレル長に対し、加速シリンダーが使われているのは問題点だ。このままではBB弾を押し出す空気の量が足りず、充分な実射性能が発揮できないため、Gunsmithバトンではメカボックス内部の調整と共に、これをフルシリンダーへと換装している。
ホップアップチャンバーもマルイM14を踏襲した設計で、ホップ調整に関する信頼性は高いのだが、もともと使われているホップパッキン等が海外仕様となっているため、そのままの使用には不安がある。GunsmithバトンではBATON airsoft製ソフト面ホップアップパッキンセットへの交換を含め、弾道の最適化を図る調整を行い、本来あるべき性能を引き出しているのだ。
バトルライフルの名に恥じない実射性能
実射性能のチェックは、当Airsoft通信でお馴染み、埼玉県のインドアフィールド、トリガートーク内の40mインドアシューティングレンジにて実施。ベテランチューナーの手が入ったASP EBRの弾道と集弾性を確認してみた。
装弾数450発の多弾マガジンに、0.2gのBATONairsoftプレシジョンバイオBB弾を流し込み、ゼンマイを巻き上げてレシーバー下部から挿し込む。バッテリーは同じくBATON airsoft製の7.4v2000mAh[30C](ミニ互換)を接続した。
まずは適正ホップを出すため、弾道を見ながらのセミオート射撃を行う。
マガジンハウジング内部の、挿し込んだマガジンの前方にあるホップ調整ダイヤルは、細かいピッチでクリックストップしてくれるため、微細なホップ調整が可能だ。
フラットな弾道が得られるホップ調整が決まったところで、40m先の等身大マンターゲットを狙ってみる。
狙いやすいピープサイトとはいえ、40mという距離はなかなかに手強いが、撃ち出されたBB弾は、マンターゲットの中央付近へと吸い込まれるように着弾した。
フルオートに切り替えての連続射撃でも弾道の素直さは変わらず、発射されたすべてのBB弾が連なって飛び、マンターゲット内に集弾した。
この命中精度を持ってすれば、サバゲフィールドでのスナイピングはもちろんのこと、450発という装弾数を活かしての支援射撃でも威力を発揮してくれるはずだ。
これは、マルイM14に準じた設計による高い潜在能力が、Gunsmithバトンによる調整&チューンによって最大限に引き出された結果だろう。
正規ライセンスの取得で、実物通りの刻印が入ったシャシーが魅力のEBR Mod.0。
その重量を使いこなすには、相応の筋力とスタミナが要求されるが、米軍コスのスナイパーをはじめ、CAT SIT ONE ボタスキーファンにとっても見逃せない製品だろう。
Gunsmithバトンアキバ店では現物を展示販売しているので、興味を持たれた方は、是非お手にとって、その品質をお確かめいただきたい。
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