VFC ガスガン コルト M733
実銃のM733はコルト社が開発したアサルトライフルのショートモデルだ。
ベトナム戦争後、M16A1の改良プログラム(PIP = Product Improvement Program)がコルト社と米軍によって進められた。ベトナム戦争で一部使用されたXM177E2ショートモデルは、ジャングル戦においてその使い勝手は高く評価されたものの、アバディーンの性能試験にて高い発射回転数と大きなマズルフラッシュが問題となっていた。
また軍は従来のM193弾に代わり、硬芯コアでより貫通力が高く、燃焼時の燃えカスが少ないベルギーFN社が開発したSS109をM855(NATO標準弾)として採用し、それに対応したものがM16A1E1として1981年に制式化された。
弾頭重量が55グレインから64グレインに増加した新弾薬により、ライフリングピッチが7インチ1回転に最適化され、ヘビーバレル化、3バーストモード採用、レシーバー形状の更新、フロント&リアサイト、ハンドガード、グリップ、ストックにも形状変更が加わったものが、1983年11月にM16A2として制式採用される。
M733はその頃に生まれたM16A2のショートバージョンで、11.5インチバレルモデルはM16A2 コマンドとも呼ばれる。また14.5インチバレルモデルはM723(M16A2 カービン)と呼ばれている。
映画『ヒート』(1995年公開)では物語中盤の銀行強盗シーンでロバート・デ・ニーロやヴァル・キルマーがまさにこのM733を使用して、警官隊とのド派手な銃撃戦を展開し、日本でも認知度ともに人気の高いモデルとなった。
STORY TIME : ヒート 「しかめっ面のシンフォニー」
また、1993年のソマリア モガディシオにおいて、米軍とソマリア民兵の間で発生したブラック・シーの戦いを描いた映画『ブラックホーク・ダウン』(2001年公開)では、M733、M727 アブダビカービンなど、M4カービンに至るまでの過渡期のモデルが米軍特殊部隊のデルタフォースや第75レンジャー隊員達の使用銃器として登場した。
台湾のトイガンメーカー、VFCがガスブローバックライフルとしてモデルアップしたコルト M733はM16A1E1 PIPのアッパーレシーバー、スタンダードバレル、M16A2のロアレシーバーを再現している。これは映画『ヒート』に登場した初期型M733スタイルだ。
アウターバレルはA1同様の細身バレルで、フラッシュハイダーもA1タイプ。ハイダーはM14逆ネジ仕様となっている。フロントサイトベースにはバイヨネットラグはなく、スリングスイベルのみ装着される。
フロントサイトピン断面は丸型のA1タイプ、エレベーションは5ノッチ。バレル上面には対応弾薬を示すC MP Cの刻印がある。
ハンドガードはXMやA2で採用された上下分割式。クーリングホールは6つ穴。M4カービンで採用されるハンドガードより細身で、穴の数も1つ少ない。
下側ハンドガードを取り外すと、バレル根本に可変ホップアップの調整ダイヤルがある。デルタリングのスプリングが実銃並みに固く、ハンドガードを取り外すのには苦労する。ハンドガードリムーブツールを使用すると楽だ。ハンドガード内側にはアルミ製のヒートシンクも再現されている。
レシーバーはアルミ製。表面は少しざらついたブラック仕上げ。当時のレシーバーカラーはもう少しグレーっぽいイメージがあるのだが。マガジンハウジングの刻印は民生A2タイプ、コルトのメーカー刻印は旧タイプの4行FIREARMS刻印だ。刻印はレーザーなのか、ちょっと綺麗すぎるくらい。
ガスブロなので、セレクターはインジケーターももちろんライブ。セミ/フルオートのセレクティブファイア。軍用A2ロアだと3バーストが一般的だが、フルオート版のA2も実在する。
アッパーレシーバーはキャリングハンドルがある懐かしい雰囲気。これがまたカッコいい。
リアサイトは側面のダイヤルを回して左右調整するA1タイプ。そしてA2にみられるカートディフレクターが付いており、ボルトフォアードアシストノブはA2タイプの丸型。これはM16A1E1という改修計画(PIP)過渡期のレシーバー形状だ。
キャリングハンドルに光学照準器を搭載するには専用のマウントベースが必要。これに搭載するのはやはりM68スタイルのドットサイトが似合うんじゃないだろうか。
ノーベルアームズ コンバット M68 CCO
ストックは樹脂製のテレスコピックタイプ。側面に補強リブのある後期型。グリップはリアルサイズのA2タイプ。
バッファチューブはアルミ製で2ポジション。
マガジンは装弾数30発。アルミダイキャスト製だろうか、実測365gと結構軽め。リップを含めた上の部分が樹脂製で、解放バルブと注入バルブは背面にある。マルイやWAのマガジンとは互換性はない。
マガジンボトムにはCOLTの刻印。サイバーガンの公式ライセンスで刻印もリアルな雰囲気。
レシーバーはテイクダウンピン、ピボットピン共に簡単に指で押して取り外せる。
ハンマーコック状態で、セフティがオンにできる。各パーツの形状もリアルだ。
リコイルバッファとスプリングを取り外してみる。
ボルトキャリアやチャージングハンドルもリアル。ボルトキャリアの実測重量は200g。
チャンバーパッキンはブルー。ロッキングリセスも再現されている。
各種実測重量。
パッケージはCOLTの公式ライセンスにより鮮やかなブルーに白いCOLTのロゴマークが大きく描かれている。側面にライセンス提供のサイバーガン、右下にジャパンスペックのシールが貼られている。
パッケージ内容は本体とマガジンに加えて、英語の取説、安全説明、ワランティカード、BBローダーが付属する。※サンプル品につき実売品との差異がある場合あり。
作動感・実射性能
箱から取り出すと、電動ガンに慣れきっているからか意外なほどに軽い。マガジンを含めての実測重量は2,327gだ。実銃のマガジン無し重量が2590gなので、少し軽い程度だ。
剛性はこれ以上ないほどに高い。
後日屋外での実射も行う予定だが、今回は室内で射撃してみた。気温は23度、湿度50%、ガスはHFC134aを使用。
ガスと弾を装填してセミオートで撃つ。ちょっと弾の装填が面倒だが、付属やマルイのBBローダーを使用すれば30発の装填はすぐに終わる。
ダンッ、と激しい音を立ててブローバックするそのリコイルは、重く、鋭い。そしてバッファスプリングの響く音も雰囲気もの。リコイルの質感としてはWAのM4に近い印象がある。
距離8mでセミオートでの集弾性能は約7cmと、立射&アイアンサイトで撃ったわりにはかなりまとまる印象だ。
初速は80m/s程度から始まって撃っていると徐々に60m/s台にまで落ちてくる感じ、フルオート時の発射回転数は644rpmだった。フルオートは1マグ撃ち切れるかどうかというところだが、指切りバースト射撃ならば十分いけるだろう。ただこれはサンプル品なので国内正規販売品とは性能が若干異なる可能性があるので参考程度に考えてほしい。
いずれにしてもこのVFC ガスブローバック M733、コンパクトで取り回しの良いショートバレルカービン、激しく鋭いリコイル、映画の主人公になりきるには抜群のアイテムだ。
スペック
全長 | 691mm / 772mm |
重量 | 2,337g (空マガジン含む) |
銃身長 | 275mm(インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 30発 |
定価 | -円(税別) |
発売日 | 2022年5月予定 |
撮影協力:VFC
参考資料ːTHE M16 (JEAN HUON)、THE BLACK RIFLE、GunDigest Website、「M16ライフル 米軍制式小銃のすべて」 (並木書房)
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