タナカワークス ガスガン S&W M500 マグナムリボルバー
レポート:戸井源太郎
マスプロダクツとしては史上最大級のリボルバー、S&WのM500を、タナカ ワークスがオリジナルメカ、"ペガサス システム"を搭載したケースレスリボルバーでモデルアップ。
ペガサス システムはシリンダーがガスタンク兼マガジンとなっています。グリップ内にタンクがない構造なのでトリガー&ハンマーのメカニズムがより実銃に近く、実銃用のグリップも装着可能ということで、人気が高いシリーズです。
コンパクトなJフレームのM36チーフスペシャルから、今回紹介するXフレームのM500のまで、各種リボルバーがラインアップされています。
こちらは2010年に購入したタナカのM500 8 3/8インチです。長く伸びた太いバレル、大きなマズルには迫力あります。
また実銃では強力な反動を少しでも和らげるために、フロントサイト前にはコンペンセーターを装備しています。
プラボディなのにまるで金属のようなステンレス調仕上げが美しいです。
こちらは2014年秋から順次発売されているペガサスシステムVer.2を搭載した、M500 50MAG 3+1です。一見、.38口径くらいにみえるかもしれませんが、実際、ショートバレルでも手にしてみると迫力満点です。
実銃のS&W M500
1990年代からハンドガンの主流はポリマーフレーム採用のオートに流れ、S&Wなどのアメリカメーカーはヨーロッパのガンメーカーに押され気味でした。S&Wは流行を採り入れポリマーフレームのシグマを発売してみたものの、グロック社に訴えられるという散々な結果に終わったのでした。
そんなS&Wが初心に戻り、一念発起して2003年に開発したのが、史上最大級のサイズとパワーを誇るリボルバー、M500です。
弾は専用の.500S&Wマグナムを使用します。この強力なパワーに対応するためフレームも新たに専用のXフレームを開発しています。構造上と強度の問題からシリンダーの装弾数は5発となったそうです。
M500発売後、すぐにその人気に火が付きました。もうガンマニアには「デカい!」「強い!」は魅惑の言葉ですよね。1丁1,000ドル以上というのに、予想以上の売れ行きで、当初は生産が追い付かなかったそうです。
私はM29の.44マグナムは撃ったことがありますが、両手で撃っても銃口が真上を向くくらいの反動で、6発も撃ったら右手の親指と人差し指の間にグリップが食い込みで痛かったのを覚えています。.500S&Wマグナムはそれより約3倍威力があるといいます。
ハイパー道楽の「グアム実弾射撃」の動画では、M500を撃った瞬間にガンが吹っ飛んでいるじゃありませんか!
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
M500 8 3/8インチモデル
M500 3+1インチモデル
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M500 8 3/8インチモデル
M500 3+1インチモデル
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温26度、CHRONY M-1にて10発での測定。 パーツリスト |
.500S&W MAGNUM REVOLVER STAINLESS MODERL(2010年購入)とM500 50MAG 3+1 S IFS DA(2015年購入)の下のスチロールの箱は各サイズ共通となっています。また上蓋も5年の歳月で変更されました。内容物には取り扱い説明書、BB弾、マズルキャップ、BBローダー、HOP用のレンチ、マニュアルセフティ用のキーが付属しています。取り扱い説明書はどちらも同じものでした。箱のサイズは縦195×横420×厚55mmです。
M500 50MAG 3+1にはラベルでVer.2と明記されています。
巨大なシリンダー、長いバレルと最大級のリボルバーは男のロマンです。
こちらはショートバレルのM500 50MAG 3+1 S IFS DAです。
ペガサスシリーズ
シリンダー内にガスタンク、マガジンを纏めたタナカオリジナルのペガサスシステムを搭載。ガスガンの機能がすべてシリンダーに収まっているため、トリガー、シアメカニズム、トリガーの引き味なども実銃とそっくりとなっていることが評価されています。
タナカのペガサスシリーズは2000年頃にS.A.A.が第1弾として発売されました。当時から斬新なシステムのためファンから人気がありましたが、パワーもあるということも一因だったと思います。
しかし2008年の改正銃刀法施行後は、規制値を超えないよう極端にパワーを落としたようで、ぜんぜん飛ばなくなったという話をよく聞きました。
ようやく2014年の秋くらいからペガサスを改修したVer.2が登場し始めてきています。
ショップなどで、以前よりよく当たるようになったと聞きます。
ちなみに長いほうの.500S&W MAGNUM REVOLVER 8 3/8は銃刀法改正後のモデル、M500 50MAG 3+1はVer.2になります。
M500 8 3/8インチのマズルフェイスです。実銃では射撃時のガスを上から抜き、反動を抑える効果があるコンペンセイターを装備しています。
M500 3+1インチのバレル先端には左右にマズルブレーキがあります。.500口径のマズルフェイスは強力な弾丸を発射するためにかなり肉厚になっています。ちなみにモデル名のM500とは.500口径を意味し、0.5インチ、つまり1インチ=25.4mmの半分、12.7mmということになります。
よく聞く、.357、.44、.45、.223、.308というのも同じく口径を示すインチ表示なのです。
両モデルともバレル左側には「500 S&W MAGNUM」、右側には「SMITH & WESSON」の刻印があります。
リアサイトは上下左右に調節が可能です。S&W M19などとほぼ同仕様のアジャスタブル・サイトとなっています。
亜鉛ダイキャスト製サイドプレートの右側には「S&W 500」の刻印があり、またグリップの両面にはS&Wのロゴが刻印されています。
グリップはラバーグリップを標準装備。フィンガーチャンネルもあり、グリップのツブツブで手にしっくりきます。ガンは大きいのですが、グリップは東京マルイのパイソン4インチとほぼ同じ大きさで握りやすいです。
グリップエンドのネジを外して引き抜くだけで、簡単にグリップを外せます。
ハンマースプリングは板バネになっています。グリップフレームはとてもシンプルな構造です。
トリガーを引くだけで撃てるダブルアクションは、意外にも軽くて撃ちやすかったです。東京マルイのガスリボルバーより軽く、滑らかで“カチッ!”と小気味いい動きです。実銃とほぼ同様のトリガーメカ採用というのが、この好感触を生み出しているのではと思います。
ハンマーを起こした状態から射撃するシングルアクションのトリガープルはさらに絶妙です。ほぼトリガーガードいっぱいまで引かれたトリガーは遊びもほとんどなく、ほんの少しの力でシアが切れる感覚までわかります。
シリンダー、フレームは大きいのですが、トリガーガード、トリガーはM19とほぼ同サイズです。しかし厚みが全然違います。トリガーの形状も厚みは指にフィットして引きやすいです。
シリンダーの後にあるサムピースを押し込みスイングアウトするS&W共通仕様です。その上の六角レンチはマニュアルセフティになります。
付属のキーを「矢印 L」に従って、反時計周りに90度回すとハンマーがロックされます。ハンマーダウンした状態でロックを行います。
スイングアウトしたシリンダーです。シリンダー内には亜鉛製のガスタンクがあり、シリンダーの外側はアルミ製なので、結構、重量があります。
ガスタンクは回転せず、外側のシリンダーのみ回転するようになっています。
ハンマーのピンがフレームを貫通しない構造で安全に配慮されています。バルブノッカーはシリンダー後部の中心軸線上にあり、シリンダーの固定も兼ねています。
.500口径はメートル換算だと12.7mmで、6mmBBの倍以上の直径があります。本来はシリンダーのテーパーがかかっている所までが弾丸の直径なのでしょうね。
シリンダーを回して、マガジン部分(矢印の箇所)に合わせ、そこにBB弾7発をローダーで装填します。他のシリンダーホールに1発ずつBB弾を装填します。7発+4発で計11発となります。ただ、実際にはシリンダー内には9発ほど入ります。
シリンダーを後から見たろころです。カートのリムはダミーで1ヵ所がガス注入口となっています。
シリンダーを回転させ、シリンダーの穴と注入バルブを合わせてガスを入れます。.38口径のペガサスシリーズはガス缶とフレームが干渉して注入できないため、延長ノズルが同梱されていますが、M500はシリンダー径が大きいので、ガス缶そのままでもガスを注入できます。
可変ホップアップ機構を搭載しています。チェンバー上部にある六角ネジで調整します。
タナカでは専用のBBローダーが付属しています。BB弾数がわかるインジケーターが付いていて便利です。一応、東京マルイのハンドガンタイプのBBローダーも使用できました。
M500 8 3/8インチと東京マルイ製のS&W M19 6インチと大きさの比較です。M19も.357マグナムなのに、まるで大人と子供ほどの違いがあります!
子供のころ、組み立て式モデルガンを買った時、そのシリンダーの大きさに圧倒された思い出がありましたが、30年後にM19を手にした時の感想は「シリンダーってこんな小さかった??」でした。
M500はそんな子供のころの感動をそのまま甦らせてくれます!
M500 3+1と東京マルイ製のコルト パイソン 4インチとの比較です。全長はほぼ同じですが、迫力が全然違います。
JフレームのM36との比較です。S&W社のリボルバーは小さいほうからM36チーフスペシャルなどのJフレーム、M66、M19、M10などのKフレーム、.44マグナムのM29がNフレームとセグメントされています。
XフレームのM500とM36を比べてしまうとまるで巨人と小人ですね。
M500とM19のシリンダーの比較です。M500のシリンダー長は約60mm、M19のシリンダー長は約40mmになります。
こちらはシリンダー径の比較になります。M500のシリンダー径は約50mm、M19の径は約35mmになります。M500のシリンダーの巨大さがよくわかります。
M500 8 3/8インチの迫力には圧倒されます!
こんなにデカくても重量は約1kgと軽量なので扱いやすいです。軽すぎず、重すぎず適度な重さが満足感を高めてくれています。
トリガープルの感触も絶妙によく、ダブルアクションの連射も容易です。
シングルアクションで距離5mから11発撃ってみたところ、だいたい10cmの範囲に纏まっていました。多少上下にバラ付く傾向がありましたが、これはガス圧が安定しないという問題かもしれません。
ペガサスシステムは構造上、どうしても初弾の初速が遅くなるという問題があるそうです。上記の最低初速はどちらも初弾でした。
M500 8 3/8インチをフィールドで実射したみたところ予想外に飛びました。
HOPを適正に調整したら、すぅーとまっすぐ40mは飛びました。
しかし飛距離は出ますが、精度は人物大にやっと命中するくらいで、狙撃はちょっと難しいでしょうね。それでも40mという飛距離に関しては期待していなかっただけに嬉しい誤算でした。
20mではヘッドショットはちょっと難しいかもしれませんが、ボディにはほぼ命中できます!
気になった点は、性能には関係ないことですが、このM500というかペガサスシリーズは発射音が独特です。空撃ちだと「バッシュ!」と低くいい音なのですが、BB弾を撃つときには「ペチャッ!」という甲高い変な発射音に違和感を感じるくらいでした。
当日は100発くらい撃って遊びましたが、特に問題も発生せずトラブルフリーでした。
M500 3+1をシングルアクションで距離5mから11発撃ってみたところ、大体、6cmくらいに纏まっていました。Ver.2になってから精度も向上したと思われます。この精度ならインドア戦なら全然問題ないレベルで充分に戦えるポテンシャルがあると思います。
手にした感じもロングバレルの8+3/8インチより100g程度重いので手にずっしりきて、いい感触です。
ただ、短いほうが重いのはVer.2になってどこか材質が変わったためか、ウエイトが追加されたのか、他に理由があるのかは不明です。
サバゲーマーの私としては、装弾数が少なく、次弾装填に時間がかかるリボルバーは、あまり興味がなかったのですが、タナカのペガサスガスリボルバー M500 8+3/8インチと3+1インチの迫力あるボディ、そして美しいフィニッシュに虜になりました。
リボルバーのガスガンは命中精度は劣るといわれるが、実射性能も初速、飛距離とも充分に及第点に達していると思います。
少人数のインドアサバゲなら充分メインウエポンとして戦えます。
装弾数は11発とちょっと少ないですが、ガスタンク、マガジンをシリンダーに集約するという画期的なペガサスは特筆に値します。
正直、タナカのペガサス、見直しました!
撮影協力 ビレッジ2
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