東京マルイ ガスガン USP
実銃のUSPはドイツのH&K社が開発したポリマーフレームのオートマチックピストル。ユニバーサル・セルフローディング・ピストルの頭文字を取ってUSP、つまりはそのまんま自動拳銃という意味だ。フルサイズのUSPは1993年に発表され、9mmルガー、.40S&W、45ACPなどのバリエーションがある。9mmルガー弾仕様はドイツ連邦軍に「P8」の名称で制式採用されている。
写真はシルバースライドモデルの実銃H&K USP 9mm。H&K子会社のHK Sidearms GmbH製2007年刻印。
映画だと.45口径モデルだが、トム・クルーズの『コラテラル』のワンシーンを思い出す。
東京マルイは2007年に電動ハンドガンのUSPを発売しているが、ついにガスブローバック版のUSPがラインアップに加わることになった。
東京マルイがUSPのガスブロを発表したのは2013年9月の東京ホビーショー。USPコンパクトと同時にモックアップが展示された。USPコンパクトは2015年4月に発売されるも、今回のUSPは実に4年半越しの発売となる。それでは実際の商品を見て行こう。
今回は通販サイトのフライングスクワッドにて購入したものをレビューする。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
パッケージ。漆黒の十字をイメージしたデザインでカッコイイ。パッケージサイズは30.5cm × 19cm × 5.5cm。
パッケージ内容はUSP本体、マガジン、アンダーマウントレール、保護キャップ、フォロアーストッパー2個、クリーニングロッド、取説、パーツリストとBB弾100発。
ドイツらしい、ゴツいデザインが魅力のUSP。HKの刻印や9mm×19の弾薬刻印のほか、プルーフマークなどもリアルに入っている。マルイが米国で実銃を取材したということで、スライドの刻印から2002年製のUSPをモデルアップしていることがわかる。
リアサイト、フロントサイトは金属製でホワイトドットが入る。
また、リアサイトを取り外して、マイクロプロサイトをUSP専用 マウントでスライドに直接搭載することもできる。
サイトピクチャー。またブリーチ部にはファイアリングピンのモールドも再現されている。
チャンバーにはHKマーク、9mm×19の刻印。シリアル番号やプルーフマークも入る。
トリガーガード根本には両側から操作できるマガジンキャッチがある。
金属製別パーツによるエキストラクターを再現している。これによりスライドとの色味に僅かではあるが差が出て、良いアクセントになっている。まあ、言われなければ違いが判らないレベルではあるが、こういった細かい部分もクオリティを向上させているのはとても良いことだと思う。
ホールドオープン。わずかにバレルがティルトしているのがわかる。アウターバレルのパーティングラインは消されている処理が施されるが部分的に薄らと線が残っているのが惜しい。
可変ホップアップの調整はコンパクト同様にスライドを分解せずともホールドオープンしてダイヤル操作できる。が、かなり奥まったところにあるので、素直にスライドを取り外して調整しても良い。
USPシリーズはダストカバー部に独自のマウントレールを備える。
そのため、マルイオリジナルのアンダーマウントレールが同梱される。付属の2.5mm六角レンチで2本のネジを外し、挟み込むように本体へ取り付ける。
アンダーマウントレールを装着した状態。よりゴツい印象になる。ピカティニー規格に対応するので、様々なウエポンライトを装着可能になる。
左側面にはコントロールレバーがある。このレバーの操作には様々なバリエーションがあるが、マルイはヴァリアント1を再現している。レバーは左側のみ、コック&ロック、デコック可能。
ハンマーをコックするとこの位置。ハンマー側面のシボ加工も実銃同様にリアル。
コントロールレバーを上げれば安全装置がかかる。ハンマーはコック状態でもダウン状態でもシアのコネクトが外れ、トリガーはフリーになる。
コントロールレバーを押し下げるとハンマーを安全にデコックできる。ハンマーはハーフコック位置で止まる。この状態からダブルアクションで撃つこともできる。
グリップは側面に滑り止めのシボ加工、前後には素手で握ると痛いほどのスパイクが刻まれており、ガッチリとホールドできる。ただ、コンパクトに比べてサイズは太めで、とくに手が小さい女性などは握りにくく感じるだろう。またダブルアクションのトリガー位置がコンパクトに比べてかなり遠く感じる。
グリップ底部にはランヤードリングがある。
USPコンパクトとの大きさを比較。あたりまえだが、USPはコンパクトより全長が長い。
グリップもUSPのほうが少し長い。トリガーガードやマガジンキャッチの形状も異なる。
マガジンは亜鉛ダイキャスト製で6mm弾を25発装填できるが、25発いっぱいまで詰めるとかなりギチギチで初弾の装填不良を起こしやすくなるので24発までに留めるのがおススメ。
マガジンはUSPとUSPコンパクトでは互換性がない。これは実銃も同様で、実銃のUSPは樹脂製マガジンだが、コンパクトは少しスリムなスチールプレス製となっている。
参考までにグアムで撮影した実銃のUSPコンパクトとVP9の比較解説動画もどうぞ。
通常分解。マガジンを取り外し、スライドを引いて切り欠きをスライドストップに合わせ、スライドストップを引き抜けば、スライドアッセンブリを取り外すことができる。あとはリコイルスプリング、バレルアッシーを取り外せる。
スライドストップはプラ製のスライドと直接噛み合わず、フレーム内の金属パーツを介してスライド内側の金属シャシーと噛みあうようになっていて、摩耗を防いでいる。
空マガジンを装着しての実測重量は723g。
今回は発売が真冬ということもあり、実射レビューはもう少し暖かくなってから屋外で試してみたいと思う。室内8m程度で撃ってみたが、とにかく狙ったところにビシバシあたり、なによりその完成度に驚く。
もともとマルイのUSPコンパクトもブローバックの切れが良かったが、その切れ味はこのUSPでも健在。むしろさらに一段と強くなった感触だ。バシッと鋭く激しいリコイルが気温19度の環境でも十二分に味わえる。
実銃から採寸したリアルな外観形状や刻印、そして力強く切れのあるブローバック、滑らかなスライド動作、安定した作動性など、最上級の完成度を誇る。買って損はしない一丁だ。
気になる点としてはアンダーマウントレールが独自規格で、オプションレールを取り付ける必要があるのと、グリップがやや太くトリガーまでが少し遠く感じる点だ。
ただそれは実銃と同じであるがゆえの問題であり、ガスブローバックガンとしての性能に大きな影響はない。
屋外での射撃テスト
屋外での20m、30m射撃テストを行った。
この日は気温30度を超える猛暑日。弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2g弾を使用。
結果、20mでA3ターゲット、30mでマンターゲット上半身を狙える精度を見せた。また気温が高かったこともあり、40mでもマンターゲットを狙えるほどの弾道性能も発揮。ハンドガンとしては必要十分な性能だ。
最後にあえて付け加えるならば、今この時期にUSPを発売することの意義だろうか。HKは世界的にも人気の銃器メーカーであるし、マルイは日本国内でHKの商標を登録している。だからHK製品を作りやすい環境はあるにせよ、2013年に発表してUSPコンパクトがすでに発売されている状況で、フルサイズUSPが2018年発売では、商機を逸してしまっていると言われても仕方がないだろう。
HKの最新9mmポリマーオートであればマルイのVP9を待ちわびるユーザーは多いし、コレクションアイテムや変わったギミックも考えるとP7やVP70という選択肢だってある。HK以外でも最新を追わないのであれば、人気の銘オートマチックは沢山ある。
ただ、USPがようやく発売されたことで、すでに発表済み次期モデルの制作も一気に進むのかもしれない。いずれにしてもマルイのガスブロ―バックガンは、その完成度をどんどん高めており、ラインアップが強化されていることには違いない。
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