東京マルイ ガスショットガン KSG
実銃のKSGはアメリカの銃器メーカー、Kel-Tec社が開発したショットガンで2011年に発表された。機関部をトリガーより後方にレイアウトした"ブルパップ"と呼ばれる独自のスタイルが採用される。長いバレルでも全長を短く抑えることができるのがブルパップ式の利点で、ショットガン以外にもアサルトライフルや、スナイパーライフルでも採用される。加えてこのKSGはダブルチューブラーマガジンを採用することで、2種類のショットシェルを撃ち分けることが可能。また、装弾数も左右のチューブ内にそれぞれ2-3/4インチシェルで7発ずつと、チェンバーに1発の最大15発のショットシェルを装填でき、ファイアパワーにおいても従来のショットガンを圧倒する。
実銃ではODやTANカラーといったカラーバリエーションもある。
実銃のKSG射撃動画
またKSGはFPSゲームにも登場したり、映画『ジョン・ウィック』ではキアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋、ジョン・ウィックがロシアンマフィア相手にバリバリと撃ちまくるシーンが印象的に描かれている。
映画『ジョン・ウィック』の登場銃器解説はこちら
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
東京マルイのガスショットガンは2013年8月に発売されたM870タクティカルをはじめとし、M870ブリーチャー、M870ウッドストックタイプとシリーズを拡大。今回のKSGが第4弾となる。それでは2016年5月の静岡ホビーショーで発表され、同年9月に発売となった東京マルイのガスショットガン、KSGをレビューしよう。
マットブラックを基調としたパッケージデザイン。SF風のグラフィックが凝っていてカッコいい。パッケージサイズは82.5cm × 28.8cm × 11.1cm。今回もネットショップのフライングスクワッドにて購入。
パッケージ内容は本体、ガスタンク、ショットシェル型マガジン、保護キャップ、フロントサイト・アジャストツール。チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、取説とBB弾100発。
取説には実銃のKSGの詳細な解説や、ブルパップ・ショットガン一覧など情報が盛りだくさん。
指を挟まないようにという注意シールが両面に張られているが、もちろんすぐ剥がす。
ブルパップ方式を採用するためグリップがほぼ中央に位置する。ストック内にガスタンクを備えるので、構えた感じは実銃に比べてややリアヘビーだ。全長は約66cmと短く収まっており、フロント部が短いので取り回しはしやすい。
剛性は高く、ダイキャスト製のインナーシャーシの効果もあり、銃本体がしなるような感触は一切ない。また、ザラツキのある樹脂製パーツ類の質感など実銃の雰囲気そのままに再現している。
マズル下にチューブラーマガジンが2本配置され、迫力のフロントフェイス。一見してマズルリングが取り外せそうだが固定されており、マズルデバイスは装着できない。マズル両側にはスリングループがある。
アウターバレル上部には金属製のピカティニレールを装備しドットサイトなどの光学照準器の搭載が容易。そしてバレルとチューブラーマガジンを包み込むようにフォアエンドがある。このフォアエンドを前後させて装填を行うのがポンプアクション・ショットガンの魅力。
フォアエンドの底部には樹脂一体のマウントレールがある。ここにバーティカルフォアグリップを装着するとよりポンプアクションがしやすくなる。
フロント、リアサイトはプラ製の可倒式。同社のM4パトリオットHCに付属するものと同じ。これらサイトは取り外すこともできる。フロントサイトは付属のアジャストツールで上下に、リアサイトは側面のダイヤルで左右に調節可能。
ストックの頬あて部分は実銃同様にアルミプレスパーツが使用され、頬付けするとヒンヤリする。
バットプレートはゴム製でホールド感は良好、ここをオープンしてガスタンクを装填する。また、ストック部にはスリングホールを備える。
バットプレートの上部を引っかくように取り外す。
KSG専用の別体ガスタンクは亜鉛ダイキャスト製で重量は356g。オプションパーツとしても発売され、価格は3,480円(税別)。
KSG専用のガスタンクをカチッと音がするまで確実に押し込む。タンクを取り出すときは銀色のロックレバーを上に押すとタンクが少し飛び出す。
マガジンはマルイのショットガン共通のショットシェル型30連マガジン(白)が1個付属する。もちろん従来のショットシェルマガジンも使用できる。
ショットシェル型マガジンをストック下部のローディングポートから装填する。
シェルマガジンは銃に対して右側のチューブに装填するが、奥まった位置にあり、マガジン交換の操作方法はかなり面倒。スプリングテンションが効いているのでリリースレバーを押すとストンとシェルが飛び出してくるがローディングポート内に引っかかったり、勢い余ってシェルを落としてしまったりする。
また、左側のチューブは予備シェルホルダーとなっており、最大2個までシェルマガジンを入れることができるが、この予備シェルホルダーのスプリングが弱く、フォロアーがチューブ内で引っかかりやすいので、予備マガジンを詰めるとリリースレバーを操作しても取り出せなくなってしまった。こうなると細い棒などでこじって取り出すしかなく、ゲーム中であれば致命的なので、この予備ホルダーは使用しないことを強くお勧めする。
なお、マガジンセレクターレバーは実銃では左右のチューブマガジンを切り替えるためのものだが、マルイのKSGでは可動はするがダミーとなっている。
レシーバー上部の樹脂製ヒートシンクカバーは取り外すことができる。
カバーを前方へ少し押しながら後部を持ち上げて取り外すと、チャンバー上部に3/6発同時発射切り替え用のスイッチが現れる。KSGは固定ホップアップを装備し、6発発射時でもダブルホップアップチャンバーにより6発全てにホップがかかる仕組みになっている。
インナーバレルは3本ある。チャンバーが右側にあるのでバレルは僅かだが偏心している。
グリップは樹脂製で四角い滑り止めパターンが刻まれる。少し太めではあるが、握りにくいほどではない。グリップ内は空洞。グリップ上部にはクロスボルト式のセーフティレバーがある。右側から押し込んで左に白のSが出れば安全装置が掛かりトリガーがロックされ、逆に右側に赤のFが出ればセフティが解除され発射可能になる。
トリガーは樹脂製でプルは少し重めに感じる。トリガーガード前にあるアクションバーロックは無可動のダミーとなっている。なお、マルイのKSGはアクションバーロック機構が内蔵されており、一度フォアエンドを引くとトリガーを引かない限りフォアエンドがロックされ、多重装填されない仕組みになっている。
なお、実銃もそうだが、M870のようなラピッドショット機能はない。
フォアエンドのストロークは実銃より3cmほど短いが、それが気にならないほどにガシャコンというメカニカルな操作感は実銃のそれに近いものがある。
空のガスタンクを装着しての実測重量は2,890g。これにショットシェルが加わればほぼメーカー公称値になるだろう。
実射テスト
いつものビレッジ2にてKSGの実射テストを行った。気温は約25度、湿度は約50%。
ちなみに写真のドットサイトはEotech EXPS3のレプリカ、フォアグリップはPTSのRVGを装着。格段にコッキングがしやすくなる。
まずはガスガンの標準テスト距離である30mのマンターゲットに対して東京マルイのベアリングバイオ0.2gBB弾で撃ってみる。3発同時発射では、やや強めのホップアップでマンターゲット中心を狙うと頭の上を超えていく弾道だった。命中精度は3発中、1発程度が当たればラッキーと言った印象。6発モードでは弾速が低下するのでホップアップも比較的フラットに飛ぶ。マンターゲットにヒットする確率も高くなった。
さらにギャロップの0.25gBB弾で10m、20m、30mの各距離を3発モードで射撃。10mではボディ中心部に3発とも着弾、20mではマンターゲット全体に3発が概ねヒット、30mでは1発が当たるかどうかという結果となった。0.2gよりホップの弾道は適正で、3発モードであれば0.25gがおススメ。
いずれも飛距離自体は40m以上飛んでおり、弾が当たれば十分当たったことが分かるが、さすがに30m以上ではピンポイントでは狙えず、有効射程外と言った感じだ。
また、3発/6発の切り替えではフォアエンドの引き方によって、規定弾数が発射されない現象が稀に発生した。
ガスタンク満タンから何ショットできるかも試してみたところ、3発モードにて75ショットが撃てた。
総括
ケルテックのKSGという世界初のモデルアップは、さすが東京マルイと言ったところだろう。
実銃採寸を謳っているだけあって、独特の外観形状や質感は、"完全再現"と言っても良いほどにモデルアップされている。フォアエンドの操作感、トリガーの感触も実銃を彷彿とさせる出来栄えだ。
まさにジョン・ウィックになりきるには待望のモデルアップといえるだろう。
初速は単発測定において、0.2gBB弾、室温25度で平均76m/sといったところで、M870タクティカルと同程度のパワーだった。当然、6発同時発射ではこれより初速は低下するだろう。
ブルパップ方式であるが故に、シェルマガジンの装填、マグチェンジが非常に面倒なのは短所だろう。実銃であれば排出したシェルはそのまま落とせばよいが、エアガンは違う。ローライトのインドアやCQBフィールドでの戦闘を考えるとシェルマガジンの紛失には細心の注意を払いたいところだ。
一方で内部メカニズムについてはこれまでのM870シリーズのガスショットガン同様であり、実銃のKSGの最大の特徴であるダブルチューブラーマガジンによる弾の撃ち分け、多弾数という魅力はトイガンとしてスポイルされている。マルイの公式ツイッターでは当初、2個のシェルマガジンを装填する仕組みを検討していたようだが、結局この部分は実現しなかった。
苦肉の策として採用されたシェルホルダーも実用的とは程遠いものになっている。
バリエーションとしてラインアップを増やすだけならば他にもシングルチューブのショットガンはいくらでもあるわけで、せっかく世界初としてKSGをモデルアップするのだから、内部メカにも東京マルイならではの、実銃の魅力を際立たせるようなギミックが欲しかったと思うのは私だけだろうか?
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