S-THUNDER クレイモア ガス式地雷
レポート:戸井源太郎
サバゲで意表をつく、面白いアイテムが香港メーカーの「S-THUNDER」から発売されています。それはなにかといいますと指向性地雷として有名なクレイモアを模したサバゲ用アイテムです。
このS-THUNDER Claymore Gas Powered Landmineはガスグレネードをリモコンにより、遠隔操作ができ、遠く離れて、敵に向けBB弾をバラ捲くことができます。ガスグレネードを利用しており、そのBB弾の散布範囲も広そうです。使い方次第で、効果は絶大でしょう。
いったいどのくらいの性能を発揮するのか非常に興味があるところです。早速、実際に使ってみて、レビューしたいと思います。
クレイモアはアメリカ軍の使用する指向性対人地雷で正式名はM18クレイモア地雷といいます。
この地雷は埋めるのではなく、地上に設置し、リモート、ワイヤートラップ、時限信管などで起爆できます。そして一番の特徴は、その爆発は一方向にしか及ばないことです。
本体には鉄球が700個入っており、起爆させると扇状に鉄球を発射し、殺傷します。その有効加害距離は約50mといいます。
クレイモアは『プラトーン』などベトナム戦争を扱った映画で、よく登場していますので、多くの人は知っていると思います。特に起爆させる時のレバー「3回クリック!」で有名ですよね。
このS-THUNDER Claymore Gas Powered Landmineはリモコンの形は実物と違いますが、本体はM18クレイモア地雷の外観の雰囲気をよく再現しています。
ボックスには「S-THUNDER」のロゴが大きくプリントされています。中は切り抜かれたスポンジでしっかり保護されています。ボックスサイズは縦305×横250×厚100mmとハンドガンのボックスよりかなり大きめです。
英語の取説が同封されていますが、操作法が判りにくいです。取説にはパウダーを充填して飛ばすように解説されていますが、メーカー公式YoutubeでもBB弾を使用した動画が公開されています。同封されているのは本体とリモコンと取説のみです。
本体はプラ製ですが、M18クレイモア地雷の外観の雰囲気をよく再現しています。ちなみに実物は縦約83×横210×幅35mmで約1,600gとなっており、サイズも重量もかなり実物に近いものとなっています。
S-THUNDER ピストルグリップ ランチャー スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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クレイモア本体には設置用の脚が付いています。仕掛けるときに脚を開いて立てることができます。クレイモア本体の角度調整も脚の調節である程度可能です。
本体の蓋にはストッパー(安全プレート)があります。蓋を開くには、まず、このストッパーを外してから矢印のレバー押すと開くことができます。 また、このレバーにワイヤーを引っ掛ければ、リモコンでなくてもワイヤートラップを作ることもできます。
ストッパーは設置する前に不意に開いてしまうことを防ぐセフティの役割です。作動させる前には必ず抜くこと忘れないようにしましょう。
クレイモア本体の蓋はコイルスプリングにより、勢いよく開きます。そしてこの内部にS-THUNDER Claymore Gas Powered Landmineの心臓部が収まっています。中央に大きな開口部があるガスグレネードが横向きにセットされているのがわかります。
本体内部、左側には、本体の起動スイッチと電池ボックスがあります。プラスネジ2本外すと電池を交換します。電池は9V 006Pの角電池を使用します。なお電池は付属していませんので別途購入します。
このガスグレネードへの装填手順は後述しますが、まずはハンマーを起こして、本体裏側にあるストッパーを押し込んで、固定します。これが第二のセフティとなります。
意外にスプリングのテンションが強いです。
本体裏側にある真鍮のピンが、ハンマー用のストッパー兼セフティです。設置するときにはこれを引いてセフティを解除します。
設置時にこのピンを引いて暴発しないのかが不思議に思うかもしれませんが、実は、蓋を閉めると、蓋によりシルバーのピンが押されて、それでハンマーがロックされる構造になっています。
蓋が開いた時に蓋と繋がっている紐により引っ張られてピンのロックが解除され、ハンマーがリリースされます。紐の長さで蓋が開ききってからハンマーがリリースされるようタイミングを測っています。
実はリモコンで操作するのは発射の起爆ではなく、蓋を開けるだけなのです。
ガスとBB弾をセットするガスグレネードが、このクレイモアの心臓部になります。クレイモア本体から脱着して装填を行います。
BB弾のセット方法は、まず、このようにBB弾の装填部を分解します。右上の円柱形のBBホルダーにBB弾を100発程度流し込み、マスキングテープなどの破れやすいもので天地に蓋をします。左上がそのBBホルダーキャップとなります。
取説には、なにか専用のビニールがあるような表記でしたが、本製品は付属していませんでした。写真では、わかりやすいようセロテープを重ねて貼ってみました。
炸裂時にはガスの圧力で、この蓋を突き破ってBB弾をバラ捲くのだろうと推測されます。
本体にBB弾をセットしたらガスをリムから注入します。 写真ではバルブ部がへこんでいますが、細い棒などでバルブをセンターに合わせれば底部とツライチにリセットできます。その状態でガスを注入してください。
専用リモコンにより操作可能です。電源スイッチにゴムキャップ、レバー部にもストッパーがあり二重のセフティあります。
作動は実物と違い「3回クリック!」ではなく、1回クリックで起爆です。
さらにリモコン本体の左の四角のボタンを押して赤外線感知モードに切り替えることもできます。
このモードにしておくと、クリック操作しなくても本体に内蔵された赤外線センサーが人の熱源を感知して、自動で作動します。リモコン上部の電源スイッチを押すと“ピピッ”と音が鳴りセット完了を知らせてくれます。再びリモコン起爆モードにするには右側のボタンを押します。
リモコンの電源スイッチを入れると、クレイモア本体も“ピピッ”と音が鳴り、LEDが赤く1度点灯して、セット完了を知らせてくれます。
反対側の白い丸い部分が赤外線センサーです。
リモコンには別売の単3電池3本を使用します。
装填手順
1:本体上部のストッパーを外し、クレイモア本体の蓋を開ける。
2:ハンマーを起こして、ストッパーで固定する。
3:ガスグレネード弾を取り出し、BB弾とガスをセットし、再び本体に装着する。
4:クレイモア本体の電源スイッチを「ON」にする。
5:蓋を閉めて、本体上部にストッパーを装着する。
6:任意の場所にクレイモア本体を設置する。
7:本体上部、およびクレイモア本体裏にあるストッパーを外す。
8:リモコンの電源スイッチを押すと準備OK。
9:リモコンのレバーを操作、炸裂させる。
9’:リモコン本体左側のボタンを押し赤外線探知モードにする。
これでクレイモアの装填完了です。
ついにクレイモアを実際に炸裂させる時がきました。
ちゃんと動くのか、ちゃんと飛ぶのか、不安と期待が入り混じる感覚です。
でもその前にリモコンの到達距離を測ってみました。
なんとシューティングレンジの奥の奥、約60mまで電波を受信できました。
赤外線探知モードでは、日向だと超至近まで反応しませんでしたが、日陰だったら5m近くで反応しました。
リモコンは完璧。
クレイモアを敵の進撃ルートに沿って見えにくい場所に設置!
ついにレバーを押す時がきました!
“ポン!”
ちゃんと作動し、蓋も問題なく開き、炸裂もしました。
しかし、BB弾が「飛んだ」「まき散らす」というイメージとは程遠く、手前に落ちただけという感じでした...。
音もそれほど大きくありませんでした。
当初は炸裂の反動で本体が倒れるかと思いましたが、そこまでの反動もないようでした。
ちゃんと飛ばない原因はいろいろ考えられます。
まず、BB弾装填時の蓋に当たる材質の問題があったと思います。
薄くて破れやすいものでないとダメということでしょう。
元々製品にこのビニールのような物が付属していなかったため、事前にいろいろ代用出来そうなものを用意していました。
セロテープ
マスキングテープ
サランラップ
トレーシングペーパー
その中で一番良さそうなのはトレーシングペーパーでしたが、それでも飛びがよくありません。
あとどうやら、クレイモア本体の蓋で、しっかりとハンマーをロックできないことがあり、蓋が開いた瞬間に炸裂してしまい、撒き散らされたBB弾が蓋に当たって遠くに飛んでないようでした。これは蓋側にピンを確実に押し込むようにスポンジでスペーサーを取り付け対処するのと同時に、蓋を半分くらいまで閉めた時に指でピンを確実に押し込むことで解決します。
またちゃんとBB弾が飛ばない原因の一つとして、開口部が広すぎて、ガス圧が弱められていると考えられたため、現場で急遽、ありモノで対策してみました。
BBホルダーの底蓋部分として、クリアファイルを切り抜いて"弁"を作ってみました。ガス圧でこの弁を押し上げて、BB弾を蹴り飛ばすように改良してみました。
BB弾の放出側には、同じくクリアファイルを切り抜いたものに、切れ目を入れてみました。これで、ガス圧が高まり、一気に放出できるのではないか? と考えました。
しかし、クリアファイルの切れ目では、抵抗が大きすぎて、BB弾はあまり飛びませんでした。
次の手としましては、開口部の上半分をテープで塞ぎ、絞り込むことで放出時のガス圧を高めようと手っ取り早い解決法を試してみました。
また付属のホルダーキャップは返しの部分にBB弾が当たり、スムーズな放出を妨げるので取り外して使用しています。本体フタの内側に厚手のスポンジなどを貼って輸送時にBB弾がこぼれないようにすれば良いかと思います。
これで試したところ、BB弾の飛距離は5m以上飛ぶようになりました。それでも威力はあまりなく、飛び散っただけという感じですが、一応、当たったことは感じられました。 BB弾の量もギチギチに詰めるのではなく、底の弁が作動しやすいように1/3程度の量にし、軽量な0.12g弾を使用しています。
現時点では、これが一番ベターな方法だと思います。ここに至るまでに4時間くらいはかかったでしょうか。もう日暮れ間近でした。
動画でもどうぞ。
サバゲにおいてガン以外のBB弾を使用する兵器、手榴弾、グレネードランチャー、地雷といった、より盛り上げるようなアイテムとして、このS-THUNDERのClaymore Gas Powered Landmineは非常にワクワクしますよね。
しかーし、そのままではいかんせんちゃんとBB弾が飛んでくれません。
やはり海外製ということで日本のフロン134aでは圧力が弱すぎるということもあるかもしれませんが、実用的な範囲までBB弾をバラ撒くには工夫も必要と感じました。
レビューには予備を含めて2個用意しましたが、リモコンは周波数が違うようで個々独立していました。このリモコン周波数は何種類あるのかは不明です。またラジコンのように周波数をユーザーが任意に変更できて2個、3個と並べて同時操作ができると、戦術の幅が広がりますし、迫力満点でしょう。
リモコンに関しては、とても高性能なのでBB弾の飛びという点については非常に惜しいです。
なお、電波を利用する海外製のおもちゃということで気になるのが日本の電波法に適合しているかという点です。実際のところ周波数帯や電界強度はユーザーからみてわからない部分ではあります。TELECに問い合わせたところ、「販売店に確認してもらうしかないですね」という回答でした。そこで販売ショップのマイトリーさんに問い合わせたところ、「微弱な電波を利用しているので大丈夫ですよ」という回答を頂きました。
さて、このクレイモア、やはり、肝となるグレネード部分の改良が必須でしょう。大きな口を開けたようなものでなく、モスカートのようにレンコン状の小さい穴に複数BB弾が装填でき、それがバレルも兼ねているような形状のほうがよく飛ぶのではないかと思います。
アルミの棒材から削り出してレンコンBBホルダーを自作するというのも手かもしれませんが、オプションでBBホルダーの改良版を出していただけると、よりサバゲーで使えるようになるのではないしょうか。
撮影協力:ビレッジ2 取材協力:マイトリー
※本商品はミリタリーショップ「マイトリー」で購入できます。
ミリタリーショップ maitri(マイトリー)
〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-4田中ビル1F
TEL: 03-6803-0350 Web: http://akiba-maitri.jimdo.com/
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