KSC ガスガン krissベクターSMG
実銃のKrissベクターは米国クリスUSA社(もともとはスイスTDI社)と米陸軍が共同開発したサブマシンガンだ。弾薬は.45ACPを使用する。米国製の.45口径サブマシンガンというとトンプソン(1920年代開発)や、M3A1グリースガン(1940年代開発)、イングラムM10(1960年代開発)などがメジャーだが、どれもかなり古い設計であることから、.45口径のSMGはあまりニーズが無いものかと思っていたが、クリスベクターは2006年に市場に登場した。その特徴はKRISSスーパーVシステム(KSVS)と呼ばれる独自の反動抑制機構で、.45ACPの大きな発射反動をボルトで受け止め、下方へ逃がすという仕組みを採用している。
ボルト後部のリンクパーツを介して、マガジンハウジング後方に縦方向に内蔵されたスライダーで受け止めるメカニズムは斬新というか、変態的というか、あまりみたことが無い。
最近米国のショットショーなどでもよく見かけるこのクリスベクター、民間用のセミオートモデルも発売されているからそのうちグアムの観光射撃でも撃てる様になるかもしれない。
映画ではバイオハザード V: リトリビューションで、ミラ・ジョヴォビッチ演じる主人公のアリスがこのクリスベクターを使用するシーンがある。光学機器はおろかアイアンサイトも搭載せず、ストックもフォアグリップも無いというソリッドな状態。どうやって狙うんだろうか? (2012年公開 / 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)
また2012年公開の映画「トータル・リコール」では未来の警察がクリスベクターを使用しているシーンがある。こちらはEotecのホロサイト付き。SFが似合う銃だ。
KSC ガスガン クリス ベクター スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 パーツリスト2 パーツリスト3 |
このクリスベクターSMGをついにKSCがモデルアップ。というか、製造は台湾のKWAでおそらくKSCはシステム7などのブローバックユニットのパテントをライセンスしているのだろう。
シンプルなパッケージ。
KSCのシステム7搭載を表すシールが右上に貼られている。
箱の寸法は66cm(横)×31.5cm(縦)×8.5cm(厚み)。
箱の側面にはKWA製を示す印刷がある。
パッケージ内容は本体、49連マガジン、ホップアップアジャスター、フロントサイトのアジャストツール、取扱説明書とBB弾少々。
なんとも独特なクリスベクターのスタイリング。実銃同様アッパー、ロアともにレシーバーは樹脂製。細かいシボ加工が施されていて硬質感もあり、質感は高い。
折りたたまれている金属製チャージングハンドルを引き起こし、後方へガジャコンと一気に引いてボルトを後退させる。
拳銃弾なのでストロークは4cmとアサルトライフルに比べると短めだが結構重い。
左側面にはアッパーとロアを結合するためのピンを始めとする沢山のピン穴や、チャージングハンドル、ボルトストップ、マグキャッチ、セレクターやセフティレバーがある。セレクターとセフティは別の操作レバーになっており、セミオート、2点バースト、フルオートの切り替えができる。
ボルトストップは前側を押せばボルト解除、後ろを押しながらチャージングハンドルを引くとボルトを後退位置で停めることができる。
全長約33cmのロングなトップレールは金属製。幅21mm、深さ2.8mm、ピッチ10mmとほぼピカティニー準拠なので、お好きな光学照準器載せ放題。標準でフリップアップ式フロント&リアサイトが装備される。もちろんこのサイトは取り外すこともできる。
フロントサイトは付属のアジャストツールで上下に調節可能。リアサイトはM16のようなL型ピープサイトで左右のウインデージを調節可能となっている。矢印のピンを押し込めばロックが外れて倒すことができる。
サイトを折りたたんでC-MOREのオープンドットサイトを装着してみた。
ん~、このメカメカしさ!! たまらんな~。まるでSF映画に登場するブラスターのよう。
レシーバー右面にはポッカリと大きく空いたエジェクションポートがある。実銃ではここから.45口径の空薬莢がバカスカと排出されるのだ。またフォアグリップ上にはライトなどを装着しやすい様にサイドマウントレールが装備される。セフティ、セレクターは左右どちらからも操作できるアンビタイプだ。
マズルはリングを取り外すとネジが切ってあるが、マルイなどにみられるM14逆ネジでは無く、KSC-MK23系のマズルアタッチメントに準拠したもの。
インナーバレルはブラックメッキされていて目立たなくて良い。
グリップは細身で結構握りやすい。
実銃同様に底部の蓋を開けるとグリップ内をコンパートメントスペースとして利用できる。このグリップ底部の形状はマグプル製のものに似ているが、そもそもクリスベクターの設計にマグプル社も関わっているという。
トリガーも樹脂製でストレートストローク。ただしトリガープルはかなり重めのセッティングとなっている。
バーティカルフォアグリップは3mmの6角レンチで取り外すことができ、アンダーマウントレール仕様になっている。
これまた独特な形状のストック。根元のストックリリースボタンを押せば右側面へフォールディングできる。またバットプストック近くのネジを緩めればバット部の長さを調節できるが、左右4本の6角ネジ(2.5mm)を緩める必要があり、あまり実用的とは言えない。
そしてこのストック根元のネジを抜けばストックを取り外すこともできる。
ストックを折りたたんだ状態。
右側面の突起に引っかかって固定される。
この状態でも射撃したときに実銃ではカートの排出のジャマにならない様にストックが曲がっているのがわかる。
可変ホップアップ搭載。ホップ調整は付属のアジャストツールをチャンバーへあてがい、バレル同軸で回転させて調整する。
レバーを上へ回転させればホップ大、下へ回転させるとホップ小となる。
49連マガジンを装着した状態での実測重量は3,355g。うーんサブマシンガンとしてはかなり重いが、たとえば、同じ.45ACP弾を使用するトンプソンやグリースガンと比べるたら軽い方か。
なんといっても重いのがこの49連マガジン。亜鉛ダイキャスト製で682gもある。
これだけでハンドガン1丁分の重さ。
オプションで22連のショートマガジンもあるのでこちらなら少しは軽くなりそう。
ちなみに実銃のクリスベクターのマガジンはグロック21と共用できるので、KSCもガスブロのグロック21を発売する予定があるのかもしれない。メインウエポンとセカンダリのマガジンが共有できるというのは何かと便利だろう。
通常分解。まずレシーバーの3本のピンを抜くと、アッパーとロアレシーバーが分離できる。アッパーから飛び出しているのはハンマー。
さらにロアレシーバーのピンを抜くと、ボルトとスライダーアッシーが下へ引き抜ける。
ボルトが後退するとスライダーアッシーが下降する仕組み。
さて、実射。重いマガジンに6mmBB弾を49発装填し、本体へ差し込み、チャージングハンドルを起こして一気にガコンと引く。初弾がチャンバーへ押し込まれる。
セレクターがセミオートポジションであることを確認し、セフティ解除、ターゲットに向かってトリガーを絞る。グッとトリガーに力を入れる、なかなか重い。ゴッとシアが落ち、ダンッと切れの良いブローバックでBB弾を発射。うん、なかなかのブローバックスピードだ。
セミオートで何発か撃ち、今度はセレクターを2点バーストに切替える。
ダダンッ、ダダンッ! 切れよくダブルタップが決まる。これは面白い。
続いてフルオートに切替えて撃つ、ダカダカダカダカッ! 秒間14~15発程度とほどよい回転数でBB弾が連続発射される。当初、21度の室温では49発撃ちきるのは無理だったが、数百発ほど撃っていると快調に作動するようになり、1マガジンをフルオートで撃ちきることができた。箱出しではかなり各所が渋い様なので十分な慣らしが必要なのだろう。動画を撮ったので合わせてどうぞ。
25度くらいに暖めた室内では、初速は80m/s代前半も出るが、セミオートでも何発か撃つとすぐに初速が70m/s中盤に落ち、全弾撃ちきる頃には60m/s後半に落ち込む感じだ。
銃自体が重いのでリコイルはそれほど大きくは無いが、ガスブロ特有のガツッとした迫力のあるリコイルと大きな音は十分味わえる。
室内9mの命中精度は直径7~8cmの円に収まるくらい。東京マルイのMP7A1と比べてしまうと流石に見劣りするが、ガスブロなりの命中精度と言ったところか。
弾道性能は可変ホップアップを搭載しているので悪くは無い。綺麗にホップが掛かって、あまり左右にぶれることなく、真っ直ぐに飛んでいく。初速の高低差が激しいのでどちらかというと縦にバラつく印象だ。
いずれにしてもクリスベクターという最新サブマシンガンがモデルアップされたことは嬉しい限り。
この独特のスタイルにグッと来るユーザーも多いと思う。
ジャムること無く作動も安定しているし、質感の高さといい、出来映えはかなり良い。
なにより所有感をくすぐり、満足できるオススメのモデルだ。
2013/01/01
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