KRYTAC 電動ガン KRISS VECTOR
レポート:戸井 源太郎
強烈なリコイルの.45口径弾をコントロールするため反動を下に逃すKRISS Super V System(KSVS)を搭載した独特なスタイルのSMG、KRISS VECTOR。その電動ガンが8月上旬に発売予定です!
昨年の秋から発売が伸び伸びになっていたため、待ち望んでいた方も多いでしょう。今回、LayLaxから発売直前に、ほぼ販売モデルをお借りすることができたので、一足先に実射レビューしたいと思います。
KRISS VECTORは次世代の.45口径弾用SMGとしてスイスのTDI社(現KRISS USA社)とピカティニー造兵廠の共同開発で2006年に開発されました。
.45口径弾は高いストッピングパワーを誇る反面、特にSMGでフルオートはリコイルが強く、制御しずらいのが難点でありました。そこでボルトを下方に下げ、リコイルを下向きに変換し、銃身の跳ね上がりを抑制するKRISS Super V System(KSVS)という新機構を開発し、完成しました。
またトリガーが銃身よりやや高い位置にあるため、リコイルが上ではなく、後方にいき、フルオート時のコントロールが容易になっているそうです。
最新のGen2は.45口径弾だけでなく、9×19mmや.40S&W弾、.357SIG弾、10mm用などの口径バリエーションもラインナップしています。
KRYTACでは、このGen2の.45口径をモデルアップしています。
KRYTACはKRISS USAのエアソフトガン部門です。つまり実銃メーカーの電動ガンですので、外観は非常にリアル……どころか、ある意味本物ですよね。
ボディ、ストック、マガジンなど主要部分は実銃と同じくポリマー製で軽量に仕上がっています。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
|
パーツリスト1 パーツリスト2 パーツリスト3 |
KRYTAC共通のパッケージなので、銃本体に比べて大きめです。サイズは105×31x9cmになります。
銃本体はKRYTACシリーズと同様にウレタンで保護されています。
銃本体の他に取説類、弾速証明書、ステッカー、クリーニングロッドの他にサイドレール1枚、マガジンが2本同封されています。
独特なスタイルのレシーバー形状です。中央の「V」と刻印があるところにメカボックスを収納しています。ピストンはこのスペースに縦に入っています。
Gen1では垂直面だったレシーバー先端はGen2では斜めのスラントカットデザインに変更されています。ここだけみるとMP7っぽいですね。
フラッシュハイダーはTRIDENTシリーズと同様のKRYTAC純正を採用しています。
下面にはレールを装備しています。ハイダーは底部のイモネジを緩めれば取り外すことができます。
フラッシュハイダーは14mm逆ネジです。アウターギリギリまでインナーバレルがあります。インナーバレル長は155mmとハンドガン並の短さです。内径は6.05mmとなっています。
LayLaxのMODE-2シリーズ他、各種14mm逆ネジのサイレンサーが装着できます。太めで長いサイレンサーがよく似合います。
サイドレールが1枚付属しているので、左右、どちらかに装着できます。
シンプルな形状で握りやすいグリップです。グリップ内にバッテリーを収納します。
グリップエンドのキャップを外して、バッテリーを収納します。リポの7.4V 2200mAhの大容量バッテリーが収納できます。
セフティはグリップの上にあります。ピクトグラムがみえない位置でセフティになります。セフティは右親指で操作できます。また、フルオート射撃などでピストンが後退した状態でユニットが停止した際に、セフティオンにするとピストンがリリースされる機能を装備しています。
セレクターはセフティとは別になっていて、トリガー前に設置されています。フル、セミの他に2バーストで射撃が可能です。
セフティ、セレクターともアンビ仕様になっており、どちらからも操作できます。
またKRYTACではGen2なので、トリガーの構造はGen1のストレートプル方式から、軸で回転するピボットタイプになっています。
フレームの前部分がフォアグリップとして使えるようデザインされています。
そこに左側のみマガジンキャッチがあります。射撃時に誤って押してしまいそうな気がしますが、デザインがいいのか、実射時誤操作することはありませんでした。
その上にあるのはボルトリリースレバーはダミーとなっています。
フレーム左側のみチャージングハンドルがあります。レバーを起こし、引くことでエジェクションポートが開きます。
逆四角錐というか独特なエジェクションポートです。チャージングハンドルを引くと、下面のパネルが上に跳ね上がり、ホップダイヤルが現れます。ただし、閉めるのは手動です。
可変ホップダイヤルは、0〜15の目印が付いていて、クリック感があり、細かい調節も可能です。
バットプレートがかなり下の位置にある独特なストック。しかし、構えてみると非常に狙いやすいです。ストックはポリマー製ですが、強度も問題ありません。また、アーム部下側にスリングスイベルを装備しています。
ストック根元のボタンで折りたたむことができます。
レシーバーとストックにあるフックがかみ合ってストックが固定されます。
バットプレート長は5段階で調節できます。
バットプレートの調節は4ヵ所のイモネジを緩めて行います。
フロントサイトはTRIDENTシリーズのレールハンドガードと同じDEFIANCE製のフリップアップが標準装備です。ダイヤルにより上下調節できます。
リアサイトもフロントと同じくDEFIANCE製のフリップアップが標準装備です。リアは左右の調整ができます。フロント、リアサイトともナイロンファイバー製で軽量です。
リアのピープサイトは180°回転させることでピープの大小を選択できます。
実銃同様、フレームのピン3本抜くとアッパーとロアを分離できます。
フレームの境には封印シールが貼ってあり、分解したかがわかるようになっています。今回は純粋に本体と実射レビューということで分解は行いませんでした。
このピンを外すと、メインスプリングを取り出すことができます。日本販売分では、メインスプリングが簡単に取り出せないよう対策を施される予定です。
実銃ではグロッグ21(.45口径)のマガジンと共用できる他、30連とするMagExというマガジンエクステンションキットが付属していますが、電動ガンではその30連をモデルアップしています。材質はプラ製で重量は189gと軽量で、装弾数も95発と充分にあります。残弾確認用のホールや刻印も再現されています。
マガジンはスプリング給弾のノーマルタイプで、BBローダーにも対応し、装填も容易です。
実射テスト
実射テストは距離40mと50mで人物大の標的、BB弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2gBB弾と0.25gBB弾を使用しました。
まずは0.2gBB弾から射撃しました。ほどよくホップがかかり、まっすぐ伸びていく素直な弾道でした。もちろんセミオートで楽々とボディをヒットできました。風の影響がなければ、ヘッドショットも可能でしょう。
フルもボディ全体に確実にヒットできます。ただやや縦方向に多少チラばっているように感じました。これは新品で余分なオイルの影響かもしれません。2、300発ほど撃つとチラばりは少なくなりました。
0.25gBB弾でも、余裕でヒットできます。集弾性は0.2gBBより良い傾向です。
0.25gBB弾で距離50mを射撃したところ、ちょっと上、頭3つ分ほど上目に狙えば、ほぼフラットな弾道でボディにヒットできます。155mmという短いバレルでこの弾道は驚きました。
0.25gBB弾、0.2gBB弾共に飛距離、精度は東京マルイ製の電動ガンと同等かそれ以上の実射性能を有しているといってよいでしょう。サバゲーで充分活躍できる1丁であることは保証できます。
またKRISS VECTORはセミ、フルの他に実銃と同様に2バースト射撃が可能です。私はバースト、特に3バーストなんて、フルの指切りでコントロールできるので、いらないと考えていました。しかし2バーストは、射撃してみて、かなり有効ではないかと感じました。1トリガーで“ダダン!”とダブルタップは近距離では多大な威力を発揮しそうです。
MOSFETと電子マイクロスイッチ式トリガーが搭載されているため、セミでの速射でもトリガーロックすることなく、スイッチの焼き付きもありません。トリガースプリングも軽すぎず、引いてる感があってよい感じです。
フルオートの連射速度は毎秒約15発と十分ですが、このサンプルは海外用のハイトルクモーターが入っているものなので、日本バージョンではもう少し回転数が上がるかもしれません。
装弾数も95発と十分ですが、個人的要望として、フレームからはみ出さない多弾倉のショートマガジンがあるといいですね。
総評
初めてKRISS VECTORを見たとき、奇抜すぎてカッコいいとは思えませんでした。しかし実際に手にして、構えてみるとストックが身体にピタッと収まり、とても狙いやすいことに驚きました。コンパクトでバランスもよく、人間工学に基づいて考えられたスタイルであることを実感しました。
実射性能も優秀ですし、このサイズでバッテリーも大容量のリポ7.4V 2200mAhが収納できるのもプラス評価です。
テストで1,000発近く撃ちましたが、トラブルは全くありませんでした。いつも辛口の私も今回ばかりは問題点が思いつきません!
価格が62,800円(税抜)とちょっと高めではありますが、実銃のKRISS VECTORを作っているメーカーの電動ガンブランドということは、ある意味、本物といえ、充分価格に見合う価値と性能は有しているでしょう。
う〜ん、私も欲しいです。
LayLaxからカスタムパーツも同時発売!
LayLaxオリジナルのKRISS VECTOR専用のKEYMODレイルハンドガードが本体と同時発売です。好みに応じて長さは3種類あります。材質はアルミ製で、外径42mmまでのサイレンサーに対応します。サイレンサーはLayLaxのMODE-2シリーズがジャストフィットします。
NITRO.Vo KRISS VECTOR KEYMOD RAILHANDGARD〈S〉
トップレール長:約158mm、価格:12,800円(税抜)
※サイレンサーは別売りになります。
MODE-2 HKサプレッサーリアル
サイズ:146mm×42Φ、価格:8,800円(税抜)
NITRO.Vo KRISS VECTOR KEYMOD RAILHANDGARD〈M〉
トップレール長:約190mm、価格:13,800円(税抜)
※サイレンサーは別売りになります。
MODE-2 HKサプレッサーリアル ロング
サイズ:224mm×42Φ、価格:9,800円(税抜)
NITRO.Vo KRISS VECTOR KEYMOD RAILHANDGARD〈L〉
トップレール長:約293mm、価格:14,800円(税抜)
※サイレンサーは別売りになります。
MODE-2 シャドーロングサイレンサー
サイズ:270mm×42Φ、価格:8,800円(税抜)
KEYMOD RAILHANDGARD〈S〉を装着してみました。KEYMOD対応レール(別売り)を装着すれば、アクセサリー搭載の幅が広がります。
KEYMOD RAILHANDGARD〈L〉を装着すると、アサルトライフル並みのサイズになり、ガラリとイメージが変わります。
協力:LayLax、ビレッジ2
■関連リンク
世界のド変態銃図鑑 Vol.19 KRISS VECTOR SMG
KRYTAC 電動ガン TRIDENT Mk2 PDW チハ迷彩 クロスボーンチューン
KRYTAC 電動ガン LVOA-C
KRYTAC 電動ガン TRIDENT CRB / LMG ENHANCED
KRYTAC オーナーズミーティング 2017