G&G 電動ガン GR14 EBR Long
レポート:戸井源太郎
アメリカ軍で使用される7.62mmライフル、M14。バレルや機関部はそのままに、現代の戦闘に対応するためアルミ製のシャーシストックを搭載した発展版がMk14 EBR(Enhanced Battle Rifle)です。それを忠実にモデルアップした台湾のトイガンメーカーG&Gの電動ガン、GR14 EBR Longをご紹介いたします。
G&GのEBRはシャーシストックはアルミ削り出しで、機関部も含め外観はフルメタル。とてもリアルな外観の1挺です。 最近の海外メーカーは工作精度も上がったのか、質感や処理の美しさには感服します。それだけに実射性能にも期待が高まります。
映画『ブラックホーク・ダウン』でデルタ隊員が使用していたということで注目を浴びたM14。
とはいえ、M14は第2次世界大戦後にM1ガーランドから発展したライフルであり、現用のアサルトライフルと比べると時代遅れ感は否めません。
しかし7.62mm弾による長射程、精度、ストッピングパワーは捨てがたい...。そこで米海軍がUSSOCOM向けにM14をベースにしたMk14 EBR(Enhanced Battle Rifle)の開発が2000年に始まったそうです。
2001年の911同時多発テロ後、米軍のアフガニスタンにおける対テロ戦争「不朽の自由」作戦による教訓から開発がされたと思っていましたが、実はその前に計画は始まっていたのです。
SEALsの要請によりM14のコンパクト化および、各特殊部隊からの様々な要望を反映して完成したのが、Mk14 EBRです。EBRといってもいくつかバリエーションがありますが、基本、セージ・インターナショナル社製のアルミシャーシとM14の組み合わせで構成されています。
EBRは2004年、SEALsに配備されたのが最初で、米陸軍には細部は異なりますが2008年に採用されています。
EBRによって半世紀以上の前のM14が現代戦に対応できるバトルライフルとして蘇り、現場の兵士の評価も上々のようです。ただ一つ、重いということを除いては...。
M14ベースといわれても分からないくらいゴツいスタイルに変わったEBR。レールハンドガードを装備し、調整可能な伸縮式ストックにピストルグリップを備えて現代に甦ったM14。
実は私のEBRの第一印象はあまり良くなく、M14がベースガンとはとても信じられませんでした。取って付けたようなストックとグリップ。ゴツイ本体に比べて細くて長いバレル。とにかくアンバランスで無粋と感じました。
ちょうど東京マルイからM14が発売された後だったので、EBRのコンバージョンキットが海外メーカーから発売されたり、コンプリートモデルも発売になり人気を博していました。その頃になると、これがどうしてか、EBRの武骨でアンバランスなスタイルが逆にカッコよくみえてきたのです(笑)。
G&G 電動ガン GR14 EBR Long スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
M14に4面ハンドガードレールが搭載。アルミの塊のガッチリとしたシャーシから細いバレルが伸びる武骨さがカッコイイのです。G&Gでは今回紹介するLongだけでなく、ショートバレルバージョンもラインナップしています。
アルミ削り出しのEBRシャーシ。セージ・インターナショナル社の刻印があります。G&Gでは珍しいリアル刻印のようです。小さいところですが、刻印もマニアには重要ですよね。
グリップはG&Gの刻印になっています。シャーシ後端にストック基部とグリップをムリヤリ取って付けた感がしますが、見慣れるとカッコよく感じます。シャーシはフルメタルなので、グラ付きは一切ありません。
セフティはM1ガーランドから発展したM14と同様のレバー式。トリガーフィンガーで操作できて、個人的には使いやすいと思っています。
細長いハイダー、フロントサイトとバレル周りにM14の面影が...というよりそのものです。 左のフロントサイトガードが曲がっていました...。
リアサイトは上下左右調整可能です。機関部はM14を流用していますので、M14とまったく同じです。
リアサイトの右下にあるレバーがセレクターです。押し込みながら180度回転させてセレクトします。無刻印がセミオート、Aがフルオートになります。
コッキングハンドルを引くと、ホップアップ調節ダイヤルにアクセスできます。ホップアップ方向も記されているので、わかりやすいですね。
機関部左側にあるボルトリリースレバーは、射撃時などでボルトストップがかかるわけではありませんが、手動でボルトストップをかけることができます。HOP調整時には便利です。
マガジン形状はM14用そのものです。マガジンキャッチもM14と同様のレバー式となっています。
マガジンは460発の多弾倉ゼンマイ給弾式マガジンが標準装備。
フルメタルで非常に丈夫なストック。ゴツゴツして複雑にみえますが、伸縮可能なパイプストックとチークパッドで構成されています。
基部にマウントレールがありますが、なにを装着するのかよくわかりません。
ストックを最短にした状態です。
ストックを最長にした状態です。6段階に調節可能です。
スコープなど搭載光学サイトに併せて調節可能なチークパッドを搭載。プラ製で頬に優しくタッチしてくれます。
チークパッドの調節方法は、まずバットプレート右横のレバーを押し上げます。
ドライバーで指しているところにチークパッドのストッパーがあります。そこをドライバーなどでストッパーを押して、チークパッドの高さを調整します。
チークパッドはスコープや体格にあわせて9段階の調整が可能です。
バッテリーはハンドガード内に収納します。ネジ6ヵ所外して樹脂製のハンドガードを外します。スペースが広いので、各種バッテリーが搭載できますが、毎回ネジ6ヵ所を外すのは非常に面倒です。コネクターはラージですが、ミニ変換コネクターが同梱されています。
リアサイト前にレールブロックが装備されています。これはスコープを搭載する場合のマウントリングを装着するためのものです。
過去にコンバージョンキットや他メーカーのEBRを手にしたことがありますが、ガッチリしたアルミ削り出しのシャーシをはじめ、主要パーツはすべてメタル製のため、とにかく重い印象がありましたが、G&Gは「あれ、軽い!」でした。他メーカーのEBRの重量は、だいたい6〜7kgくらいでしたが、G&Gは4.5kgと東京マルイのHK417とほぼ同重量です。軽くはないですが、なんとかサバゲで走りまわれそうです。
いつもどおりに東京マルイのベアリングバイオ0.2gBB弾で試射を行ってみたところ、M1ガーランドと同様にHOPを最弱にしても25m付近から急上昇の鬼HOPでした。今回も急遽、0.25gBB弾で再テストを行いました。
HOPは最弱のままで試射したところ、弾道はかなり安定していました。今回はスコープも搭載していますので弾道がよくみえます。35mでもまっすぐ飛び非常に纏まっていました。また発射音がサイレンサーを装着したかのような“バシュ!”と低い音も素敵です。
今回はハリスのバイポッド、スコープにノーベルアームズのSURE HIT 31042 IR HIDE7 SSTPを搭載し、安定して精確な射撃ができたということも考えられますが、過去に行ったG&G電動ガンの実射テストの中では最高の集弾性と感じました。
協力:七洋交産、ビレッジ2
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