GBLS 電動ガン DAS GDR15 CQB
韓国のトイガンメーカーGBLS社の電動ガンDAS GDR15 CQBをレビュー。
GBLSのDASシリーズは2016年12月に最初のM4A1がリリースされ、ハイパー道楽でも初回キット版やバージョン2をレビューしてきた。
GBLSのDAS(DYNAMIC ACTION SYSTEM)は革新的な内部機構を採用し、電動ガンでありながら、独立したボルトキャリアや実銃同様のテイクダウンなど、リアルな構造・操作が特徴だ。その反面、これまでのレビューでは実射性能はイマイチという印象だったのだが、メーカーの努力による改良で最新版は、驚くべき性能向上が図られていたことがわかった。
今回は、その最新版となるDAS GDR15 CQBをレビューしていこう。
なお、今回レビューする個体は韓国のGBLS社より送っていただいた、日本バージョンとして調整されたものである。
パッケージはブラックにブルーの差し色が入ったシックなイメージ。PTSやCerakoteのコラボロゴも印刷されている。パッケージサイズは65 x 28.5 x 8.5cm。
パッケージ内容はアッパー&ロアに分解された本体、マガジン、ホップアップ調節ツール、BBローダーアダプター、日本語の取説、弾速証明書。
※本パッケージはレビューサンプルです。製品版の内容とは異なります。
10.5インチバレルのGDR15 CQB。屋内やCQBサバゲーでも使いやすいサイズだ。
スペック
全長 | 720~792mm |
重量 | 2,980g |
銃身長 | 270mm(インナーバレル長) |
装弾数 | 約60発 |
価格 | 222,000円(税込) ※BULLET販売価格 |
発売日 | 2019年6月 |
動力源 | Li-po 11.1v バッテリー |
初速 | 最高:92.32m/s 平均:91.79m/s 最低:91.02m/s ジュール:0.843J 回転数:823.5rpm (秒間 約13.7発) |
まずは手に取ってみて率直に感じたのは、「あれ? これって本当に同じDAS?」ということだった。
以前にレビューしたモデルとは製品から漂う雰囲気が全く異なる。全体的に綺麗な仕上がりで質感が良く、高級感が増したという印象だ。とくにエジェクションポートから見えるボルトキャリアはダークメタルカラーの渋い色合い。
レシーバーは鋳造アルミ製で、パッケージにもあるようにセラコート™仕上げとなっている。この色味が本当に美しい。
レシーバーの刻印はDASオリジナルではあるが、販売店のBULLETでは無刻印仕様も用意しているそうなので、自分好みの刻印にカスタムすることも可能だ。
ハンドガードはGBLS社オリジナルのGMR MG x 9.5"。A6061アルミの押出材の削り出しでアノダイズド仕上げ、M-LOK仕様となっている。ハンドガードトップには軽量化のため穴が開いている。ガスブロックとチューブも再現されている。
やや角ばった形状のハンドガードだが、剛性は高く、軽いので取り回しは抜群。写真は別売のPTS製M-LOKレールを取り付けている。必要に応じてレールを増設できる拡張性がM-LOKの長所だ。
フラッシュハイダーは北米仕様のオレンジ樹脂製バードケージハイダーが装着されるが、ボトムのイモネジを緩めて取り外せばM14逆ネジ仕様なので、好みのマズルデバイスに交換できる。
また、インナーバーレルは270mmのステンレス製でハイダー部分まで飛び出ている。
DASシリーズの魅力は何といってもこのボルトのリアルな形状。電動ガンでありながらフルストロークで可動するボルト、リアルサイズのダストカバーなど、従来の電動ガンとは一線を画する。
ただし、ロアレシーバー形状はいわゆる電動ガンサイズ。これは北米や欧州への輸出を前提に実銃との互換性を避けるため、あえての仕様だそうだ。
グリップは香港のトイガンメーカー、PTS製のEPG-Cが付属する。細身で滑り止め効果も高く、握り易い。電動ガンなのでモーターを内蔵する。出来れば最近流行の薄型モーターだとよりグリップのバリエーションが増えるのだが。
トリガーはスチール製で頑丈。トリガープルは4kg強と軍用M4に比べ1kgほど重いが、初期モデルと比べたら二段引き感はなくなり、ずいぶんと軽くなった印象だ。またシア式のため、ストロークは短く、落ち際が掴みやすい。まだ新品で渋い感じは否めないが、使い込んでいくと当たりが取れて滑らかさが増してくるそう。
セレクターは左側のみ。セミオート、フルオートのセレクティブファイア、切り替えのクリック感もハッキリしていて好印象だ。なおピストンが前進していてもセフティオンにすることが可能。
このセレクターも将来の改修でアンビになれば嬉しいが。
ロードしたマガジンを装填したら、まずは初弾を装填する。チャージングハンドルを引けば連動してボルトキャリアが後退。ピストンがコッキングされ、ジャコンと放せばBB弾がチャンバーへと送られボルトが閉鎖する。まるで実銃を扱っているかのようなリアルな操作だ。ただ、スプリングを圧縮するためにハンドル操作はかなり重い。ここは慣れが必要なところだろう。
またシア式なので、バッテリーが入っていなくてもエアコッキングガンのように都度チャージングハンドルを引いて弾を撃つことができる。
マガジンが空になればボルトはホールドオープンする。マグチェンジしてボルトキャッチを押せば再びボルトが前進し、初弾が送られる。ボルトキャッチは物理的にボルトをホールドしているのでリリースの感触もリアルそのもの。また、マガジンが入ってなくてもチャージングハンドルを引いてボルトキャッチの下側を押せばボルトをホールドでき、ボルトリリースはチャージングハンドルを引いても行えるというリアルな操作方法だ。
ストックもPTS製のEPSストックが装備される。リコイルバッファチューブはステンレス製で6ポジション。
バットプレートを取り外してストック内にバッテリーをセットする。
バッテリーコネクタはT字のディーンズコネクタ仕様。バッテリーは11.1v 40Cのリポバッテリーが推奨だ。
日本の電動ガンでは特殊なコネクタではあるが安定した作動の確保にはこれが良いのだそう。
マガジンはDASシリーズ専用のスチールプレス製のアウターシェル。パーカライズドカラーでザラツキがある。装弾数は約60発。樹脂製リップによる給弾構造のため、外形の小さい弾だと弾ポロする可能性もあるので、G&G製のBB弾がおススメとのことだ。
マガジンボトムにはGBLS-DAS 5.56 NATOの刻印あり。
実銃同様にテイクダウンピンを抜けば上下レシーバーをテイクダウンできる。ロアレシーバーにはギアボックスがぎっちりと詰まっている。ボルトの後退検知やセミ/フル切り替えは全てメカニカル方式。
そしてチャージングハンドルと、ボルトキャリアを引き出すことができる。オイルを注したり、バレルクリーニングしたりと、メンテナンスさえも楽しくなる構造だ。
可変ホップアップの調節はチャンバー下のイモネジで行う。ロッキングリセスもリアルに再現する。しかもこのリセスパーツはスプリングテンションが効いていて、ボルトキャリアが閉鎖したときの衝撃を緩和する役割がある。閉鎖後のボルトの反発を軽減し、より命中精度を向上しているそうだ。
付属の長いレンチを使用してホップアップ調整を行うが、都度テイクダウンして、ボルトキャリアを取り出さないと調整できないので少々面倒。
なんともリアルな形状のボルトキャリア。ガスブロよりもリアルなんじゃなかろうか。
アルミ製のボルトキャリア一式の重量は180g。
ボルトキャリアはシリンダーアッシーそのものであり、内部にピストンとスプリング、スプリングガイドが内包される。またラックギアやストッパーなどの消耗パーツは交換できるようになっている。
ロッキングラグの中央部には金属製ノズルが見える。付属のノズルレンチを使用して取り外し、より密閉度の高い樹脂製ノズルに交換することもできる。
スプリングガイドホルダーを取り外せば、バッファとバッファスプリングを取り外せる。
標準のバッファは32gだが、60gのカスタムバッファを組み込むことでよりリコイルが大きくなる。
本体と空マガジンを合わせた実測重量は2,835g。バッテリーは除く。
空マガジンの単体重量は222g。
こちらは販売店BULLETによるGDR15のカスタム例。12"バレルにPTS製のセンチュリオンアームズ CMR 11"ハンドガードが装着される。
トリガーはスチール製のガイズリーストレートタイプが付いていた。
こちらのカスタム例はM16A3スタイル。気分はゴルゴ13!?
実射テスト
いつものビレッジ2で実射テストを行った。
距離30mではA3サイズと直径18cmのスチールプレート、40mではマンターゲットを狙う。
弾は東京マルイのベアリングバイオBB弾0.2gと0.25gを使用した。
平均初速は0.2gで92m/sと十分でしかも弾速は非常に安定している。ホップ調整は分解こそ必要だが、ピーキーなこともなく、容易にベストポジションに調整できた。
30m先のA3プレートにセミオートで9割がた命中、フルオートだとさすがにリコイルもあってやや散る傾向にあるがそれでもA3サイズに集中するほどの安定度がある。
40mではマンターゲット上半身にこれまた9割以上の確率で当てられる。0.2g弾でこの弾道は凄い。0.25gではさらに弾道が低進し、普通の電動ガンとなんらかわらない、どころか、命中精度が高い部類に入るという素晴らしい結果となった。
試しに50mでの射撃も行ったが、十分人物大を狙っていける性能がある。初速が高いこともあって0.25g弾なら、マンターゲットの胸を狙って腰に着弾するほどの低進弾道だった。
決してリコイルが強いという訳ではないが、リアル形状のボルトとバッファが前後するのでM4を撃っているという感触は従来のどの電動ガンよりも高い。そして、チャージングハンドルやボルトリリースといった実銃同様の操作がさらに気分を盛り上げる。
剛性も高く、とくにアッパーの構造や、ハンドガードとバレル周りのガチっとした一体感は海外製メタルレシーバARの中でも高いほうだと感じた。ただし、ロアとアッパーの勘合がわずかに甘い。実射性能には影響しないそうだが、ここは気持ちの問題で、もっとタイトでも良いと感じた。
この日の実射テストでマルファンクションは一度だけ、フルオートで撃とうとしたときにBB弾がマガジンリップから一発こぼれ、ボルトが閉鎖不良を起こし、ユニットが回転し続けた。これはDASの仕様上仕方のないことなので、焦らずマガジンを抜き、チャージングハンドルを引いてリセスに挟まっていたBB弾を取り除きクリアした。
BULLETによると使用するBB弾に合わせてリップの調整を行うカスタムもできるそうだ。
総評
GBLSのDAS GDR15 CQBは閉所戦闘でも使いやすい10.5インチバレル、9.5インチの拡張性の高いM-LOKハンドガード、高い命中精度、安定した動作、リアルな操作と、まさに射撃トレーニングのためのツールとしておススメの電動ガンだ。もちろんサバゲーでも第一線で戦える性能がある。
シア式ならではのメカニカルな作動は、電子化された電動ガン全盛のこの時代に、逆に新鮮かつ魅力的に思える。クォーツ式と機械式の腕時計の違いとでも言おうものか。
初期のDASシリーズとは全くの別物に生まれ変わったといっても過言ではない品質に向上した。これはひとえにユーザーの意見をメーカーが的確に反映・改修してきた結果だと言える。
正直、よくここまでまとまったなと、感心する。
あえて難点を言うとするならば、その価格だろうか。以前に比べて少し安くなったものの、それでもまだ高いと言わざるを得ない。国内販売店のBULLETさんも話していたが、これが10万円以下で販売できたなら...。
ただ、高価な電動ガンではあるが、従来の電動ガンやガスガンにはない機能や楽しさが詰まった唯一無二のエアソフトであることは確か。ぜひこの進化したDASシリーズを体験してみて欲しい。
また、DASの次期モデルとしてAKが2020年の春ごろの発売とアナウンスされている。
協力:GBLS、BULLET、ビレッジ2
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