ヨネザワ ワルサーPPスポーツ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するヨネザワのワルサーPPスポーツは、ストライカー式のトイガンだ。ストライカーガンはエアガンより一段低く見られがちだが、外観の完成度はなかなかのものだ。以前、紹介したマスダヤ シュマイザーMT-36と比べても、隔世の感がある。
ヨネザワは「ライトスポーツピストル 1800シリーズ」として、8機種を展開していた。すべてオートマチックピストルで、7mmつづみ弾を使用する。スライドを引いてストライカーを後退位置にコッキング、トリガーを引くと、ストライカーがつづみ弾を弾き飛ばす構造だ。
要するに、銀玉鉄砲の高級版のようなトイガンなので、実射性能は推して知るべし。7mmつづみ弾は水平発射で4mほどしか飛ばないが、それでも、弾を発射できるワルサーPPスポーツをモデルアップしたのはこの製品が唯一で、その意味では貴重な存在である。
7mmつづみ弾に関しては、以前、つづみ弾大特集をやっている。ご興味がおありの方は、そちらも参照されたい。つづみ弾はソフトビニール製の物が多かったが、このL27という弾は、硬質プラスチックで出来ているのが特徴だ。
本体の素材はABS樹脂、金型がよく磨かれているためか、漆黒のツヤは現代のトイガンには見られない美しいものだ。表面には目立つヒケもなく、成形技術の高さを物語っている。
当時は、こうした低年齢層向けのトイガンが数多く存在した。今ならマルイの銀ダンがそれに相当するはずだが、若年層ユーザーをエアガンの世界へと導くためにも、意義のある製品だったといえるだろう。
ワルサーPPでもPPKでもなく、いきなりPPスポーツをモデルアップしてしまうのが面白いところだ。「ライトルポーツピストル」というシリーズなので、少しでも競技銃っぽさを出したかったのだろうか。トイガンとしては他にマルシンのモデルガンがあるのみで、貴重な存在だといえる。
覗いてみたが、奥の方にプラスチック製のインナーバレルとおぼしき物が確認できた。ストライカーガンの場合、あまりタイトなバレルだと抵抗になってしまうため、弾のガイドとしての役割があればよい。
リアサイト、ハンマー共にスライドと一体成形の無可動。実際問題、サイトはあってもなくても大差ないのだが、シリーズ中、PPスポーツがもっとも豪華な仕様となっている。
付属のサイレンサーは単なるパイプで、ネジ込みではなくギュッと差し込むだけ。もちろん消音効果はないが、スマートでカッコいい。
セフティーはトリガー前方。威力はなくても、弾が出る以上はセフティーが必須である。
スライドトップには反射防止の細かいチェッカリングがほどこされている。低価格製品とはいえ、老舗のこだわりを感じる部分だ。
マガジンキャッチはなく、プラの弾性で止まっているだけなので、軽く引けば抜けてくる。
7mmつづみ弾が6発装填可能。リップもプラの弾性だが、キッチリと止まっている。
値段を考えればかなり豪華なパッケージ。発砲スチロール箱には円形のシールが貼ってあり、当時の少年達をワクワクさせるにはじゅうぶんなデザインだ。
ヨネザワ ライトスポーツピストル 8種が並んだカラーパンフレットはなかなか豪華。右の3種のみなぜかマガジンが入ったままだが、もちろんすべて取り外せる。
マニュアルPDF (2.8MB)
DATA
発売年 | 1984年 |
発売時価格 | ¥1,800 |
全長 | 実測 245mm (サイレンサー装着時323mm) |
重量 | 実測 187g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | コッキング・ストライカー式 |
使用弾 | 7mmつづみ弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 24.5m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン