つづみ弾 大特集! ビンテージ エアガン レビュー #1
写真&解説 小堀ダイスケ
[パート1] [パート2]
解説
令和元年。昭和生まれの筆者としては、実にこれで3つめの時代を迎えることになるわけだ。思い起こせば昭和52年頃、当時8才だった私に父親が買い与えてくれたタカトクのTMガン99(後のSS7000)が、はじめてのエアガンとの出会いだった。それからはや42年の歳月が経ち、オールドシニア五十路ガンファンとなった今、良き巡り合わせでこうして古いエアガンの記事をハイパー道楽に寄稿させていただいている。仕事とはいえ、少年時代に愛した数々のエアガンを再び手にするというのは感慨深く、若い読者の皆さんにも「昔はこんなエアガンがあったのか」と、温故知新の一助となることを願いながら原稿を書いているのだ。
そんな中、このコーナーは筆者自身にとっても新たな発見が多く、そのひとつが「つづみ弾」に関することだ。毎回紹介するエアガンはサタデーナイトスペシャル氏の膨大なコレクションから取材しているのだが、つづみ弾仕様のエアガンを貸して頂くたびに、違う種類のつづみ弾が付属してくるのには驚いた。個人的な感覚では、つづみ弾と言えばソフトビニール製のピンク色の物か、他には確かSS系の白い物があったかな、程度の記憶しかなかった。
ところが実際には、赤、黄色、オレンジ、青、緑、と色とりどりで、形状や長さも様々あり、材質も柔らかいビニール製だけではなく硬質プラスチック製もある。さらに、空気抵抗をおさえて弾道を安定させる特殊な形状のつづみまで弾存在していたのだ。BB弾にも色々な種類はあるが、当然だが形状はまったく同じ球形なので、あまりバリエーションがあるという感じはしない。だがつづみ弾には、各メーカーがそれぞれの銃ごとに独自開発していたという経緯もあり、ハッキリ言ってどれひとつとして同じ物がない。共通しているのは7mmという口径と(一部6mmもあり)、てるてる坊主のような形をしている、という点だけだ。もともとこの形状は実銃の空気銃用鉛弾をコピーしたからであり、当時、球形の玩具銃弾という物は銀玉鉄砲用にしかなかったのである。
実銃の空気銃弾は鉛製で、てるてる坊主の形をしている。エアガン創成期にこの形状を模した弾が作られたのは自然な流れだと言えるだろう。左から4.5mm、5.5mm、6.35mmだが、そのどれとも違う7mmという口径が採用されたのは、実銃用の弾が入らないようにとの意向があったのかもしれない。
今回、実に16種類ものつづみ弾と2種類の玩具銃弾(つづみ弾形状ではない)を集めることができた。ここまで多くのつづみ弾を一挙に紹介した例はなかったのではないだろうか。
今回集められたつづみ弾の数々。つづみ弾形状ではない物も含まれているが、BB弾以外の玩具銃弾、というくくりで話しを進めたい。
実は撮影中、一堂に会したつづみ弾を観察していると面白いことに気がついた。製品パッケージに「つづみ弾」と謳っている物がほとんどないのだ。唯一、マルイのスポーツ銃専用つづみ弾だけが「つづみ弾」と名乗っているだけで、他の製品にはすべて「弾」や「弾丸」としか書いていない。つまり当時は誰もつづみ弾などという呼び方はしていなかった、ということになる。おそらくマルイだけはすでにBB弾が一般的になっていた時代の物なので、それと区別するためにつづみ弾という表記をしたのだろう。そう考えると、いったい何がきっかけでつづみ弾という呼び方になったのか気になるところだが、何はともあれ、まずは膨大な種類のつづみ弾を順番にご覧いただきたい。
タカトク TMガン用 9mm
タカトク TMガン用 9mm。ケース式で当時まだ3機種しかなかった銃にすべて共用だった。01は後のSS5000、99は後のSS7000、ドライガーはマシンピストル型のハンドガン。
オレンジ色の薬莢に黒い弾頭という面白い組み合せが印象的。つづみ弾エアガンファンの間では、その形状から「ドングリ弾」と呼ばれている。
啓平社 BS-37、BSブラッキー他用 7mm
啓平社 BS-37、BSブラッキー他用 7mm。後にKHCブランドとなるエアガンメーカーの老舗で、木製ストックにレシーバーもバレルもスチール製(!)という古き良き時代のエアガンを作っていたのが啓平社だ。この通称ピンク弾が後のつづみ弾の基本形となった。
左はマスダヤ デタッチャブルシリーズ用で、右のふたつが啓平社 BSシリーズ用。基本的には同じサイズだが、マスダヤ製の方が断然に精度が良いことがわかる。弾頭重量はマスダヤ デタッチャブルシリーズ用は0.127g、啓平社 BS-37は0.129g。
マスダヤ ファルコン用 6mm
マスダヤ ファルコン用 6mm。以前このコーナーで紹介したファルコン FN-077にも共通のつづみ弾だ。ソフトビニール製でかなり薄く作られているのが特徴。重量は0.117g。
マツシロ スーパーブラックホーク用 6mm
マツシロ スーパーブラックホーク用 6mm。ケース式で、薬莢とつづみ弾がひとつの箱に同梱されている。
弾頭重量は0.137g。
つづみ弾の精度は高く、先端にエアポケットのような窪みが設けられている。薬莢もリアルで、底には刻印も入っているという凝った作り。
タカトク SSシリーズ用 7mm
タカトク SSシリーズ用 7mm。左がSS9000とスーパーオートマグカスタム用で、右がS5000とSS W7000用。
弾頭重量は0.183g。
S5000とSS W7000用は薬莢が短い。
こちらも弾頭重量は0.183g。SS5000やSSW7000と同じものだ。
SS9000用は薬莢が長く、より高威力なマグナム感を演出していた。
タカトク SSスーパー5、SSスーパー7共用 7mm
タカトク SSスーパー5、SSスーパー7共用 7mm。薬莢の長いSSスーパー9用もあるが、弾頭は共通。
外箱には空気抵抗の少ない様子が描かれており、従来のつづみ弾から進化した形状が分かる。
弾頭は前後の区別がなく、これがもっとも和楽器の「鼓」に似た形状ではないだろうか。
弾頭重量は0.188g。
マスダヤ ボルト888用 7mm
マスダヤ ボルト888用 7mm。以前このコーナーで紹介したサンダーボルトとも共用で、「ロングショット」という商品名で他機種のつづみ弾よりも全長が長いのが特徴。これは弾道の安定性を狙ったデザインだと思われるが、実際にはほとんど効果はなかった。重量は0.259g。
マスダヤ リコイラー用 7mm
マスダヤ リコイラー用 7mm。黄色は地面に落ちても見つけやすく、回収が楽だった。精度もかなり高い。
ファルコントーイ MP5シリーズ、ウッズマン用 6mm
ファルコントーイ MP5シリーズ、ウッズマン用 6mm。ウッズマンは9mmパラサイズの薬莢を共用にした結果、銃本体がかなりのオーバーサイズとなってしまった。
薬莢の底から弾を入れるという変わったデザイン。
エーダイグリップ スタームルガーMK-1、オートマグ用 6mm
エーダイグリップ スタームルガーMK-1、オートマグ用 6mm。伝説の超リアルエアガン、エーダイグリップ用の共通弾。以前このコーナーではスタームルガーMK-1を紹介している。
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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