エーダイグリップ ルガーMk1 ターゲット モデル
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
過去に魅力的な製品を発売しながらも、消えてしまったエアガンメーカーはたくさんある。
中でもエーダイグリップは、今なお語り継がれる伝説的メーカーのひとつだ。
なにせ、世に出たラインナップはオートマグとこのルガーMk1、たったの2機種だけだったのだ。
もとはミニカーなどのスケールモデルを作っていた模型メーカーなので、ディティールの再現性には定評があった。
そのためエーダイグリップが製品化した2機種は、どちらも1980年の発売当時としては群を抜いたリアルさを誇り、オモチャ然としたエアガンが当たり前だった当時、異色の存在と言っても過言ではなかった。
作動方式は、カートリッジを使う疑似ブローバックのプッシュ式エアコッキングで、当時としてはかなり先進的なメカだ。
つづみ弾の口径も、7mmがスタンダードだった時代にあえて6mmとしたところに、こだわりが感じられる。
実銃の口径も約6mm(5.56mm)なので、カートリッジをリアルサイズで作る事が出来たというわけだ。
外観だけではなく、装填や射撃といった一連の動作すべてにリアルさを追求した、エーダイグリップ ルガーMk1 ターゲット モデル。
発売から数年後、メーカーが倒産した事で短命に終わってしまったため、製造数はかなり少なかったようだ。
発売当時、すでに市場に存在していたCMC製モデルガンを参考にデザインしたと考えられるため、外観は実にリアル。
グリップフレーム部はネジ止めの左右モナカ形式だが、ヘンにギシギシする事もなく、剛性はかなり高い。
リアルな6mm口径のマズル。フロントサイトブレードはしっかりとエッジの立った別パーツだ。
フルアジャスタブルのリアサイト。これは当時のエアガンとしてはかなり豪華な仕様だった。
トリガーはニッケルプレート仕上げで汗に強い。グリップのロゴマークは、スタームルガー創設者のひとりであるアレックス・スターム氏の死を悼み背景色が赤から黒になった、1951年以降のモデルを再現。
ボルト(シリンダー)の後退ストロークは約62mm。ここからグイと押し込んでコッキングする。
リコイルスプリングガイドは片持ち式のため1本のみ。コストを考えても当然のデザインだろう。
マガジンキャッチは実銃通りのボトム式。確実にマガジンを固定する。
スチールプレス製のマガジンと、22LR弾(実弾はリムドケース)をうまく模した金属製のカートリッジ。
パッケージにはボルトが後退した状態で収納される。外箱にメカニズムのイラストを添えているのが何とも80年代らしい。
かなり親切で丁寧なマニュアル。特に、後退するボルトでケガをしないよう「セフティクリアランス」を取るよう明記してあるのが興味深い。
> マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1980年 |
発売時価格 | ¥5,800 |
全長 | 実測 285mm |
重量 | 実測 555g |
インナーバレル長 | 約155mm(アルミ製) |
発射方式 | プッシュ式エアコッキング |
使用弾 | 6mmつづみ弾 |
装弾数 | 7発 |
平均初速 | 43.2m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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