マスダヤ サンダーボルトS
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
1970年代後半を代表するエアガンと言えば、マスダヤのボルト888と、このサンダーボルトにとどめを刺すだろう。
分割式ライフルの定番、デタッチャブルシリーズよりもサイズが大きく、金属パーツも多用されていたため、重量感、剛性感ともに完全にワンランク上の存在だった。
¥9,800という、当時のトイガンとしては高価な価格設定だった事もあり、それまで子供のオモチャだったエアガンを、大人の趣味へと押し上げた立役者だったとも言える。
レシーバー自体は前作のボルト888と共通だが、外観デザインが全く別の銃に進化しているというのも興味深い。
一見、荒唐無稽なSF銃のように見えるものの、各部の形状にはそれぞれ意味があり、スポーツ標的射撃用としてのコンセプトがしっかりと感じ取れるものだ。
発売当初は単発式だったという事からもそれが伺えるが、この最終形モデルでは、外装式マガジンの12連発となった。
これはやはり、サバイバルゲームでの使用を意識した改良だと思われるが、言うまでもなく、サバゲーでこの銃を使うメリットはほとんどない。
レポートした個体のパッケージには愛読者カードのハガキが入っており、料金受取人払の差出有効期間が昭和61(1986年)年8月になっていた。
発売は1985年、この年はJACがフルオートガスガンのスターリングBM-Ⅱを発売した年である。
サンダーボルトとはもはや隔世の感があるが、エアガンの革命的な進歩の礎には、こうしたビンテージエアガンの存在があった事を忘れてはならない。
今見てもかなり斬新なフォルム。木製を模した茶色のストックが当たり前だった当時、全身真っ黒の銃というのは本当に先進的だったのだ。
バレル下の三角サムレストは、現代M4カービンのマグプルアングルドフォアグリップにも通じるデザインではないだろうか。
大きく3つのパートに分割する事ができる。分解組み立てが可能なライフルというのは、それだけでステイタスだった。
バレル基部のディティール。一番上がチャンバーで、真ん中に飛び出ている棒がバランサー、下はレシーバーと連結固定するためのフック。
ストックとレシーバーの連結部。シンプルだが剛性感は高く、いちど固定すればかなりラフに扱っても問題ない。
この最終形モデルでは、レシーバー上部に取り外し式のマガジンが追加された。棒とスブリングで押し出すタイプで12発のBB弾が装填可能。
ボルト(シリンダー)を真っすぐ後ろに引いてコッキングする。後退ストロークは約55mm。
エジェクションポートに見えるがここは本来なら7mmつづみ弾の挿入口だ。このモデルでは、マガジン先端からBB弾が1発ずつチャンバー内に下りて来る。
ASGK加入後、最終型のパッケージ。初期モデルと区別するためか、サンダーボルトスペシャルというモデル名がサンダーボルトSになった。
付属のマニュアルは420mm×600mmと大判で、取り扱い説明だけではなく構え方やスタンス、照準の方法など、射撃術がかなり詳細に解説されている。> マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1979年 (初期型 7mmつづみ弾) 1985年 (後期型 6mmBB弾) |
発売時価格 | ¥9,000 |
全長 | 実測 820mm |
重量 | 実測 1,565g |
インナーバレル長 | 約275mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 初期型 : 7mmつづみ弾 後期型 : 6mmBB弾 |
装弾数 | 初期型 : 単発 後期型 : 12発 |
平均初速 | 56.4m/s(0.12gBB弾) |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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