ヨネザワ H&K VP-70

ヨネザワ H&K VP-70

写真&解説 YAS

解説

7mmつづみ弾から6mmBB弾化されたヨネザワのライトエアーピストル シリーズ、今回はその中からH&K VP-70を紹介しよう。

これまでもヨネザワのエアガンを各種紹介しているが、今回のVP-70はかなり珍しいモデルアップだ。
ドイツのH&K社が開発した世界初のポリマーフレームオートと言われているVP-70は、その独特の形状からゲーム「バイオハザード」シリーズや、映画「エイリアン2」にも登場し、現在でも根強いファンがいる。

VP-70は1981年にMGCから1stジェネレーションのモデルガンとして発売されているが、エアガンとしてのモデルアップはこのヨネザワが初。ベースとなった7mmつづみ弾仕様は1984年、この6mmBB弾仕様は1987年にリリースされている。
のちの2004年にタニオコバからガスブローバックのVP-70Mが発売さるまで、唯一の弾を発射できるVP-70だった。

ヨネザワの本シリーズは他に、オートマグ、S&W M59、コルト ウッズマン、コルト ガバメント、ワルサーP38、ベレッタM92Fがラインアップされ80年代のトイガンシーンに彩を与えていたが、1994年にセガグループ傘下に合併吸収されると、トイガン事業からも撤退、現在では中古市場で見かける程度となっている。

サイドビュー 左
サイドビュー 右
ヨネザワのライトエアーピストルシリーズというと黒光りするツルテカのプラスチック仕上げが多い中で、このVP-70はグリップフレームがシボ加工され、スライドもマットな仕上げとなっており、こだわりを感じる。ディティールがどこか違うような気がするが、当時、実銃のVP-70がどのような形なのか知る手段は限られていたので、ほとんどのユーザーはこれはこういうものかと納得していたはずだ。

マズル
絞られたスライド先端にマズルがちょこんと飛び出す独特のフォルム。モナカ構造のパーティングラインがあるのは1500円という価格を考えれば仕方ないところだ。スライドには6MMx17とあり、使用弾と装弾数が表記されているのが面白い。

スライド
スライド上面には反射防止のグルーブが再現され美しい。エジェクションポートはスライド一体のダミー。
外部に露出したハンマーが無い銃なので、プッシュコッキング式エアガンとしては使いやすい形状だ。
フロントサイト、リアサイトともに小さくて狙いにくいが、そもそもサイトを使って真っ直ぐ当てるような弾道ではないので、目安程度といったところだ。

トリガー
トリガーは樹脂製。ストレートプルではなく、支点がトリガー上部にあり、弧を描くようにトリガーが引ける。トリガーの後ろにセフティがあり、つまみを90度回転させるとセフティが掛かりトリガーロックされる。テイクダウンレバーはダミーのモールド。スライド刻印のOBERDORFはH&K社のドイツ本社所在地。

グリップ
1stジェネレーションをモデルアップしているので、グリップにはフィンガーチャンネルがあるが、やけに角ばっている。HKのロゴマークが堂々と入っているところに時代を感じる。

マガジン
マガジンは割りばしタイプで装弾数17発。6mmBB弾仕様だがマガジンリップの保持が不安定なのはこのシリーズ共通の弱点だ。マグバンパー部にダミーのマグキャッチが付いていて、そのまま引っ張るだけでマガジンを本体から取り出せる。

コッキング
スライドを後退させるとバレルというより本体が露出する。スライドの後退量は30mmほど。スライドを戻すときにスプリングを圧縮するプッシュコッキング方式だ。

初速は0.2g弾で平均28m/s程度で、約0.08Jの10歳以上対象のエアガンだ。

弾道性能はパッキンも劣化していると思われるので、製造時の性能ではないのを前提で言うと、0.12g弾を使用してもホップが無いのでかなり上を狙って放物線を描くように飛んでいく。5~6m先のA3用紙には当てられるかなという感じだ。7mmつづみ弾仕様と比べると格段に性能は向上していると言える。

BB弾
付属のヨネザワ純正BB弾、Y-BB6は重量0.12g。当時はBB弾の寸法規格や精度がまちまちで、他社製の弾を使用すると弾詰まりすることもしばしば。したがって自社製のBB弾を使用するように注意書きがあるのが普通だった。

パッケージ
パッケージには飛距離 30mとあるが、さすがにこれは大げさ。斜め上に向けて撃っても15m飛べは良いほうだろう。

取説
付属の取説。マニュアル.PDF (1.9MB)

DATA


発売年 1987年
発売時価格 ¥1,500
全長 実測 205mm
重量 実測 210g
バレル長 -mm
発射方式 プッシュ式コッキングエアー
使用弾 6mmBB弾
装弾数 17発
平均初速 27.96m/s

撮影協力:FIRST / 中古侍

2022/06/01


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