タナカ ルガー P08 ネイビー
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
本銃の設計者は伝説のトイガンデザイナー、故六人部登氏だ。このコーナーで過去に紹介したエアガンの中にも、六人部さんが設計した製品が数多く含まれているが、中でもポイントのワルサーPPKなどと同様、ドイツのオートマチックピストルには、特に六人部さんの個性が強く現れているように感じる。
現在でも、タナカのルガーP08はマグナブローバックモデルとしてヒットを続けているが、これはその前作ということになる。現行品は、この製品をマグナ化した物だと思えばいいだろう。
ブローバックメカは、同社製ベレッタ M1934で開発されたロータリーバルブによるワンウェイ方式を採用。トグル(スライド)が後退しきった状態でシリンダー内のガスが発射方向に切り替わる仕組みなのでアフターシュートという事になる。
この個体はマガジンリップが紛失しているため、実射はできなかったのだが、撃った経験のあるガンファンに伺うと、ブローバックの作動が安定せず、命中精度は3mで空缶に当てるのも難しいほどだということだった。
マグナ以前のガスブローバックハンドガンというのは、唯一例外だったMGCグロック17を除き、たいていの製品はその程度だったということだ。
しかし、全体的なフォルムの再現性は、プラスチック製のトイガンとしては最高傑作と言っても過言ではなく、六人部デザインの真骨頂ともいえるリアルさを誇っている。
こうした名作が、時を越え、マグナブローバックという最高のメカを伴って、今でも我々ガンファンを楽しませてくれる。思えばなんとも幸せな時代ではないか。
直線と曲線が複雑にからみ合う独特の外観を持つルガーP08。この繊細さをあますところなく再現した本作は、六人部デザインの真骨頂ともいえるトイガンだ。
スラリとのびたネイビー(マリーネとも)の6インチバレル。フロントサイトは一体成形だが、ライフリングの控えめな表現などは秀逸。
ミリタリーモデルとは異なるネイビーモデルのリアサイトは上下の調整が可能。各部のローレット加工は、金型で作られたとは思えないほど繊細に再現されている。
トリガープレートは実銃通り別体、シアーバーはステンレス製でよいアクセントに。木製グリップのフルチェッカリングも正確に刻まれている。
金属製のトグルアッセンブリー。ショートリコイルや、最終弾を撃ち終わるとホールドオープンする機能も再現されている。
トグル後退時、エジェクションポートからは内部メカが丸見えになってしまう。
マガジンはダイキャスト製。本来はリキッドチャージ式だが、この個体はマガジンボトム部が外部ソース専用のカスタムパーツに交換されている。
解放バルブユニットは本体側にあるので、マガジン背面には大きなスペースがある。そのためガスの残ったマガジンを取り外す際にはバシュッとガスの吹き戻しがある。なお本個体のマガジンリップは紛失している。
シンプルなパッケージにテスト射撃のターゲットペーパーが付属していた。距離と発射弾数は不明だが、全弾黒点に入っている。これが本当だとしたらスゴいことだが、距離が明記されていないのでなんともいえない。
タナカのマニュアルは特殊なサイズの紙が使用されており、無理やり分割してスキャンしているため、若干見ずらいかもしれないがご容赦いただきたい。マニュアル.PDF (6.5MB)
DATA
発売年 | 1991年初夏 (ミリタリー 4inch) 1991年6月末 (ネイビー 6inch) |
発売時価格 | ¥14,800 (ミリタリー 4inch) ¥16,500 (ネイビー 6inch) ※マットメタルは1,000円増し |
全長 | 実測 275mm (ネイビー 6inch) |
重量 | 実測 769g (ネイビー 6inch) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 1WAY式ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 13発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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