トイテック P.90 EG
写真&解説 YAS
解説
1991年に東京マルイが電動ガンを発売すると、各社もこれに続けとばかりに電動ガン開発に乗り出した。
1990年代中頃までに、グンゼ、JAC、マルシン、ファルコントーイ、TOPジャパン、そして今回紹介するトイテックから電動ガンが発売されるが、現在いずれのメーカーも電動ガン製造から撤退してしまっている。
それだけ先駆者である東京マルイの電動メカの基本設計が優れていたということと、電動ガンのパテント管理に相当気を使っていたということ、そして怒涛のバリエーション展開が、独壇場ともいえるシェア拡大につながった。
当時はフルオートガスガンがフィールドを席巻しており、電動ガンの発売当初、そのローパワーとレスポンスの悪さもあって、ユーザーは電動ガンの使用に懐疑的だった。しかし、可変ホップアップが搭載され、多弾数マガジンが発売されると一気に形勢は逆転し、電動ガンがサバイバルゲームでの主流となった。
トイテックは1988年にキャリコM-100のガスガンを発売、M203やP.90といった安定動作するセミフル切り替え式のガスフルオートモデルを展開し、新参メーカーながら人気を獲得した。M134バルカンの電動ガンを発売したのち、『悪魔のシステム』というキャッチコピーで名を馳せたガスガンのP.90をベースに電動ガン化したものが本製品となる。
ガスガン同様に500連マガジンのヘリカル給弾ユニットを搭載、本電動ガンでは固定ホップアップ機構も搭載された。先進的でコンパクトなブルパップPDWというスタイルも人気を後押しした。
しかしながら、結果的にマルイの牙城を崩すことはできず、トイテックはエアガン事業から撤退することになる。
径の大きなメインギアでバーを引き、ピストンのコッキングを行う。RG540HPモーターを内蔵する。
樹脂製のフラッシュハイダーはち密な形状を再現しているが、ポートは貫通していないダミー。
ハイダー下のネジでトリガーのテンションを調整できる。
チャージングハンドルは固定されており、その下には主電源用のクロスボルトスイッチがある。
レシーバー上部の光学機器が専用のバッテリーパックとなっている。8.4Vのニッカドバッテリーだ。
光学照準器を模しているが、実際には筒状のアイアンサイトで前後のVノッチを合わせて狙う。
矢印の部分を手前に引けばバッテリーパックが取り外せる。
バッテリーとレシーバー側の2つの端子が接触して通電する。コネクターが無いので着脱に便利といわれていたが、実際にはタミヤコネクター方式のほうが汎用性があり、バッテリーの種類も選べたのでそちらが普及した。
トリガーの前にセレクターがあり、セーフ、セミオート、フルオートで切り替えることができる。
レシーバー両側のレバーでマガジンを取り外せる。レシーバー側面に小さな穴があり、BB弾の万が一の弾詰まりを解消できる。
シースルーのマガジンは装弾数500発。トップの回転つまみか、裏面のスイッチで給弾口のシャッターが開く。マガジンフォロアーを引きながらBB弾をジャラジャラと装填する。写真は半分ほど弾を装填したところ。
本体側の大きな穴からBB弾がヘリカル給弾機構へ流れていく。ガスガン時代から変わらない方式だ。
ストック内にメカボックスを内蔵するが、ガスガン時代の名残でホースジョイントの穴がある。バットプレート下のキャップを取り外すとタミヤミニコネクターがあり、ここから給電することもできるが、オス/メスが逆なうえに、プラスマイナスも現在のバッテリーとは逆になっている。
付属の充電器。出力は10.5V-140mAh、充電時間は5~6時間となっている。純正バッテリーの容量は800mAhといったところか。
純正バッテリーパックが古すぎて使えなかったので、専用変換コネクターを作成し、外部コネクターに7.4V 30C 2200mAhのリポバッテリーを接続して実射した。
初速は87m/sほどあり十分なのだが、とにかく照準しにくい。室内8mで10cm程度にまとまる集弾性能はあるが、バッテリーパックの穴から前後Vノッチを合わせるのが難しく、サイト調整もできないので、ピンポイントで狙うには慣れが必要だ。
トイテック製のP.90EG (電動ガン)のヘリカル給弾機構
— ハイパー道楽 (@hyperdouraku) July 20, 2022
1994年製 pic.twitter.com/Q3kCGVc7fO
らせん状のパーツが回転してBB弾を送るヘリカル給弾はフルオートではたまに空撃ちになることもあったが、セミオートでは意外なほどに弾が確実に発射される。
固定式のホップアップは0.2gだとやや強め。0.25g以上の重量弾が適正だろう。
リポバッテリーを使用しているということもあり、発射回転数は866rpm(秒間14.4発)ほど、これなら現在でもゲームで十分活躍できる性能を有している。
バッテリーと充電器がセットになったフルセット。
取扱説明書のほかに分解・組立説明書が付属していた。また、モスキートモールドから強化型の金属製メインボックスも発売されていた。マニュアル.PDF (22MB)
DATA
発売年 | 1994年11月 |
発売時価格 | ¥25,800 (フルセット) |
全長 | 実測 498mm |
重量 | 実測 1,493g (バッテリーパック、空マガジン含む) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 電動式エアガン |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 500発 |
平均初速 | 86.82m/s (0.2g、25.8℃、0.754J) 866rpm (7.4V 2200mAhリポ使用) |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル、ウインチェス
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン