トイテック プロジェクト90

トイテック P.90 (プロジェクト90)

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

このコーナーでは以前、トイテックのデビュー作であるキャリコ アサルト M-100を紹介している。公称1000発というケタ外れの装弾数を誇った衝撃作だったが、その2年後に発売されたのが今回紹介するプロジェクト90だ。装弾数こそ500発と半減しているものの、それを補ってあまりあるほどの魅力に満ちた製品で、当時、エアガンメーカーの王座に君臨していたJACやMGCの牙城を脅かすほどの大ヒット作となった。

発射方式としては外部ソース式のガスガンだが、マガジン内部にも気密が必要なJACのシステムとは異なり、BB弾をジャラジャラと流し入れる事のできる多弾数マガジンを備えていた。そこは前作のキャリコと同様だが、プロジェクト90では実銃と同じく半透明のシースルーとなっているのがポイントだ。銃全体の個性的な形状もリアルに再現され、コンパクトで構えやすいデザインは撃ちやすく、平面的な形状のため剛性感が高く壊れにくいのも魅力だった。棒状の形でどちらかと言えば脆弱だったキャリコと比べても、サバゲーでの使いやすさは圧倒的に上だったのである。

肝心な実射性能も高く、当時、新たな発射ソースとして注目を集めていたグリーンガスを使うことで安定した射撃ができた。夏場ならストレスなく500連マガジンを撃ち切ることも可能で、内蔵されたカウンターウェイトによる小気味よい反動やカン高い発射音も人気だった。他のガスガン同様、電動ガンの登場により少しずつフィールドから駆逐されてしまうが、1994年には電動ガンとしてリバイバル、今なおゲーマーの記憶に残る名作となったのである。

なお、このコーナーで紹介している他のBV式ガスガン同様、今回の個体も内部ユニットを破壊してあるため、発射不能な状態である事を補足しておきたい。

サイドビュー左
一見、銃とは思えないような有機的な曲線で構成されたプロジェクト90。人間工学に基づいた扱いやすいデザインで、実銃は5.7×28mmという特殊なカートリッジを使用するPDW(パーソナル・ディフェンス・ウェポン)である。1997年の在ペルー日本大使公邸占拠事件における奇襲作戦で使用されたことでも有名。

サイドビュー右
ストック右側のマイナスネジはフルオートスピード可変システムで、ガスの流入量を可変して発射回転数を調整できる。また高圧防止のカットバルブやリリースバルブなどの安全対策機能も盛り込まれている。

マズルブレーキ
マズルブレーキのガスポートが3つあるが、トイテックのエアガンでは貫通していない。

光学照準器はダミー
光学照準器はダミーで、素通しの透明プラスチック板が入っている。

セレクター
独特な形状のセレクター。トリガーの下に配置され操作しやすく、セフティポジション、セミ、フル射撃が切り替えられる。

ストック下部にカプラー
外部ソース式のためストック下部にカプラーがあるが、本体から飛び出しておらず目立たない。エジェクションポートはダミーで塞がれている。

シースルーのマガジン
実銃同様シースルーのマガジン。ストックの両サイドに配置されたマガジンキャッチを押し、斜め後ろに引き抜くようにして交換する。

給弾口
マガジンを抜くと本体への給弾口が現れる。らせん状のヘリカルフィード方式でBB弾がチャンバーまで運ばれていく。

マガジン
公称装弾数500発のBB弾は、2本のスプリングに連動したフォロアーによって前に押し出されて行く。円状部分のつまみを指で回転させると…。

給弾ポート
裏側の給弾ポートが開き、ここから自重でBB弾が落下して行く仕組み。

DATA


発売年 1990年11月下旬
発売時価格 ¥16,800
全長 実測 480mm
重量 実測 1,890g
バレル長 -mm
発射方式 外部ソース式ガス
使用弾 6mmBB弾
装弾数 500発
平均初速 -m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2019/06/30


■関連リンク

ビンテージ エアガン レビュー TOP ビンテージ エアガン レビュー TOP

トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 - トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -

モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史 モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史

考察 ブローバック・ガスガン 考察 ブローバック・ガスガン