マルゼン ワルサーP38
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するのは、マルゼン製プッシュ式エアコッキングのワルサーP38だ。ワルサーP38といえば、これはもうマルゼンのお家芸といっても過言ではないだろう。現行品であるガスブローバックに至るまで、進化し続けてきた看板商品のひとつなのである。
この製品は、1982年に発売された初代ケースレス単発のプッシュ式エアコッキングから数えて二代目となる。当時、ハンドガンといえばマルゼンの独壇場で、S&W M59やコルトガバメントにH&K P7、そして以前紹介したルガーP08など、カート式エアブローバックの製品が次々とラインナップされていた。中でもワルサーP38は後期の製品で、全体的なフォルムもかなりリアルに仕上がっている。
しかし、時代はケースレスへと移り変わりつつあり、とくにサバイバルゲーマーに対してはあまり評判が良くなかったようだ。結果的にはこのシリーズはSIG P226やベレッタ 92SB-Fなど9機種が発売されたが、その後マルゼンもガスハンドガンの製造にシフトしていく。
この頃からマルゼンは「マルゼン カップ」や「プラチナカップ」といったシューティングマッチを開催している。これらは現在のAPS競技射撃会に繋がってゆく。
それにしても、マルゼンは本当に看板商品を大切にするメーカーだ。KG9、レミントンM870、そしてこのワルサーP38と、○○ならマルゼン、と言われるような製品を作り続けるというのは、いつの時代でも大切なことなのである。
当時、エアガンはモデルガンよりリアルさの点で劣る、というのが当たり前だったため、製品ごとにリアルさを増してゆくマルゼンのハンドガンは、エアガン業界のトップランナーだといっても過言ではなかった。
ロッキングブロックこそ再現されていないが、しっかりとバレルが後退してショートリコイルする。
シリンダーの直径を少しでも大きくして容量をかせぐため、銃身軸がマズル中心よりも下に偏心した位置に設定されている。
スライドトップビューだけなら、古いエアコッキングガンとは思えないほどのリアルさだ。
残念なのがスライド後端の造形の甘さと薄いハンマー。ここだけはプッシュコッキングという機構上、仕方のない部分だ。
セフティレバーはダミーのため、スライドストップレバーが実際のセフティとなっている。
スチールプレス製のマガジンとカートリッジ。カートは全シリーズ共用だった。
疑似ブローバックでカートの装填と排莢が楽しめるのがウリだったが、時代はケースレスへと変化していった。本シリーズ最終モデルのベレッタ 92SB-F 2Wayカスタムではカート式とケースレスの2WAY方式が採用された。
シンプルで落ち着いた雰囲気のパッケージ。この頃のマルゼン製品は上箱のイラストが印象的だった。
DATA
発売年 | 1986年新春 (ワルサーP.38) |
発売時価格 | ¥6,000 (S&W M59 カスタム) ¥4,800 (ルガーP-08 パワーアップモデル) ¥6,000 (コルト ガバメント カスタム) ¥5,000 (コルト ガバメント パワーアップモデル) ¥5,000 (HK・P7M13) ¥5,000 (シグザウエル P226) ¥5,200 (ワルサーP.38) ¥5,200 (ベレッタ 92SB-F) ¥7,000 (ベレッタ 92SB-F 2Wayカスタム 木グリ付き) |
全長 | 実測 220mm |
重量 | 実測 377g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プッシュ式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 7発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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