マルゼン ルガーP08
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ルガーP08といえば、モデルガン全盛期から各メーカーがこぞってモデルアップして来た名銃、マスターピースモデルである。当時、カート式疑似ブローバックのエアコッキングガンで快進撃を続けていたマルゼンとしても、避けては通れない機種だったのではないだろうか。
モデルアップに際し、各エアガンメーカーがまず最初に直面する問題が、エアシリンダーの処理方法だ。カート式疑似ブローバックの場合、どうしてもレシーバー後部から円筒形のエアシリンダーが突き出してしまう。リアルなエアガンに慣れた現代の感覚では考えられない事だが、それでもルガーP08を作れば売れたという時代があったのだ。ちなみにマルゼン以外では、マルコシがカート式疑似ブローバックの「スーパールガーP08」という製品を発売していたが、これもエアシリンダーが後ろに突き出すデザインだった。逆V字型に起き上がるトグルジョイントの動きだけで作動するルガーP08は、マルイのケースレスエアコッキングガンの登場まで待たなければならない。
とはいえ、マルゼンの製品は全体的なプロポーションがとても良かったのも事実だ。マルコシに比べても全体的に小振りなデザインで、エアシリンダーが前進している状態であればモデルガンに肉薄するほどのリアルさだった。疑似ブローバック作動や実射性能も上々、同シリーズ他機種のラインナップとともに一世を風靡したエアガンだったのである。
レシーバーの上下幅が若干高いが、当時としてはかなりリアルにルガーP08のフォルムを再現していた。
ABSの成形色が深い漆黒の色味で、金型がよく磨かれているためか表面の仕上がとても美しい。
セフティレバーを押し下げるとドイツ語で「確保」や「固定」を意味する「GESICHERT」という刻印が表れ、セフティオンとなる。
トリガープレートを固定するテイクダウンレバーはダミー。トリガーなどの金属パーツには茶系のメッキが施され、実銃のストローフィニッシュを彷彿とさせる。
アルミ製のインナーバレルは少し奥まったところに設置され、9mm口径の銃口とクラウンがうまく再現されている。
これが問題のエアシリンダー。前進位置にあるときはレシーバー内に完全収納されているため、さほど違和感はない。
発射後、エアシリンダーが後退した状態。トグルジョイント内側にまる見えのスプリングとあいまって、少々ガッカリさせられるシーンだ。
ピストンスプリングはそれなりに太い物だが、エアシリンダー後面がフラットなためプッシュコッキングの動作はやりやすい。
ブリーチボルト上部のエキストラクターはダミー。カートリッジの装填排莢がスムースなのはさすがマルゼン。
スチールプレス製のマガジンとプラスチック製のカートリッジ。装弾数は6発。
マルゼンのカート式ハンドガンはS&W M59(1984年2月)、ルガーP08、コルトガバメント(1984年10月)が発売され、いずれもカートリッジは共有できる。
DATA
発売年 | 1984年4月 |
発売時価格 | ¥4,800 (完成品) ¥2,900 (キット) |
全長 | 実測 215mm |
重量 | 実測 362g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プッシュ式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 32.4m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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