マルゼン コルト ガバメント ステンレス カスタム
写真&解説 YAS
解説
1985年にフロンガスをパワーソースとするガスガンが登場すると、サバゲー最強ウエポンと呼ばれたKG-9を大ヒットさせたマルゼンも次の一手として、ケースレスガスガンをラインアップすることになる。その記念すべき第一弾は以前に紹介した44マグナムだったわけだが、その後も怒涛の如く、セミオートガスガンをリリースしてゆく。
このガスガンシリーズはブローバックしない固定スライド式で、ガスタンクとバルブ&ハンマー、トリガーに連動した後座式チャンバーとバレルのみのシンプル構造だったので、ハンドガンから長物まで多くの機種がモデルアップされた。
マルゼンは44マグナムの後、S&W M659、KG-9のセミオートガスガンを発売し、ついにドル箱モデルと言われるコルト ガバメントをモデルアップする。
マルゼンは今でこそワルサーとショットガン、競技射撃のイメージが強いが、古くからガバメントをモデルアップしていた先駆者的エアガンメーカーだ。
6mmBB弾をはじめて使用した単発式エアガンのマークスマンガバメントにはじまり、カート式プッシュコッキングのガバメント カスタム、そして今回紹介する固定スライド式のセミオートガスガンと続く。
1987年春、まずはスタンダードなブラックモデルが登場し、その年の秋には紫檀材の木製グリップを標準装備したステンレス カスタムが、翌1988年夏にはフレームシルバーにパックマイヤースタイルのワンピースラバーグリップを標準装備したガバメント カスタムが発売される。
マルゼンのガスガンシリーズは安価で良く飛び、シンプル構造なので耐久性も高く軽量、多くの古参サバゲーマーがお世話になった経験があるはずだ。
MARK IV シリーズ'70をベースに、特別な一丁といった風情の仕上げ。よくよくみればディティールが微妙な点もあるが、これでも当時はモデルガン並みの外観と絶賛されていた。マルゼンはカスタムバージョンと銘打って、フレームシルバーやシルバーモデルを展開することが多く、前モデルのM659もカスタムバージョンが発売されていた。
マズルは.45口径にしては小さめだが、別パーツのブッシングやプラグなど雰囲気をうまく再現している。スライドはサイドがポリッシュされており美しい。経年劣化だろうか、フレームに比べて少し黄色味を帯びた輝きだ。インナーバレルは真鍮製でトリガーを引くと後退してBB弾をチャンバーへ送る後座式。
チャンバーに刻印はなくスライド一体のダミーだが、彫りが深く違和感は少ない。もちろんだがホップアップ機構は付いていない。
リアサイトの後ろにネジが見えたり、ハンマーがずんぐりしているがプッシュコッキング式と比べるとリアルな形状に進化している。サムセフティはハンマーコックでも、ハンマーダウン状態でもオンにできる。グリップセフティはダミーでフレーム一体となっている。
また、ハンマーが直接バルブを叩いて開放するので、打撃面にインサートがある。
ハンマーをコックすると奥まったところに解放バルブが見える。
紫檀材のスムースグリップ。中央にコルトの跳ね馬のシルバーメダリオンが入る。
トリガーはダブルアクションのためロングタイプで、トリガープルはダブルアクションで約4.7kg、ハンマーを起こしたシングルアクションでは2.7kg。重めではあるが引きはスムーズで連射も容易だ。
スライドストップとマガジンキャッチはダミー。
マガジン底部の黒いつまみを90度回転させるとチューブ式のマガジンキャップが取り出せる。この真鍮製のチューブにBB弾を装填するのではなく、グリップ底部の穴から直接BB弾を16発装填する。そのため、黒い樹脂製のスピードローダーが付属し、これにBB弾を装填しておき、リロード時はレバーを押して弾を流し込む装填方式。
マルゼン製に限らず、初期のガスガンはボックスマガジンではなく、こういったエアガン本体にBB弾をセットする方式も多かった。また、ガスタンクはグリップ内にあり、ガスの注入口はグリップ底部にある。
モナカ構造のフレームだが、パーティングラインは綺麗に消されてメッキが掛けられている。ただし、ダストカバー部にネジがあったり、トリガーガード内のパーティングラインは残っている。
実射してみると、トリガーフィールは想像以上にスムーズで連射しやすい。やや生ガスを噴きやすいが、初速は58m/s平均で、室内7mの距離で10cm程度に集弾するなど、当時としては非常に高い命中精度だ。そのマガジン構造ゆえリロードに難はあるものの、価格はMGC製ガスガンの半額以下とコストパフォーマンスは高い。
当時はエアガンによるシューティングマッチも開催されはじめ、ドットサイトも普及しつつあった。マルゼンからもこのガバメントに搭載できるポイントサイト(\2,700)というドットサイトと、グリップ交換式のマウント(\1,000)が発売されていた。
パッケージもシンプル。本体とスピードローダーBB弾が付属する。弾はおそらくプラケースに入っていたと思われ、取説は紛失している。まだマルゼンがASGKに加盟していた頃の製品であるため、ASGKの認定シールが貼られている。
DATA
発売年 | 1987年3月 (ブラック) 1987年11月 (ステンレス カスタム) 1988年夏 (ガバメント カスタム) |
発売時価格 | ¥5,000 (ブラック) ¥8,500 (ステンレス カスタム) ¥6,000 (ガバメント カスタム) |
全長 | 実測 215mm |
重量 | 実測 455g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガスセミオート |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 16発 |
平均初速 | 58.20m/s (0.2g、HFC134a、23.7℃) |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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