マルシン 電動ウージー サブマシンガン
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
このコーナーを長くやっていてよく分かるのは、各トイガンメーカーにはそれぞれの「顔」となる代表的モデルが必ず存在する、ということだ。
マルシンの場合、昭和40年代後半頃からモデルガンをルーツに作り続けて来た、UZIがその顔役のひとつといってもいいだろう。
以前、カート式のガスオペレーションモデルを紹介したが、マルシンUZIは時代の流れに沿って常に進化を遂げて来た。電動ガンという最終形に発展するのも当然の流れだったのだ。
しかし、そこで障害となるのがパテントの問題だ。電動ガンのパイオニアといえばいうまでもなくマルイであり、そのパテントを回避しつつ製品化するのはなかなか難儀だったのではないかと思う。
ファルコントーイの場合、バルグシステムという蛇腹状のシリンダーをそなえた独自のデザインでその問題を切り抜けていた。
これはパテント回避という点だけではなく、実用上のメリットも見据えての設計だったのだが、実際にはマルイのシステムの方が優れているということを証明する結果となってしまった。
ひるがえって、マルシンの場合、どうやってそこをクリアしたのか気になるところが、当時の広告に掲載されていたキャッチコピーを見れば、その自信のほどがうかがえる。
「マルシン電動UZIは独自のメカニズムにより作動しており、他社の特許を侵害することは一切ありません」
さらには、本家のお墨付きであるということを誇示するかのような文言も書かれていた。
「ウージー氏も絶賛!『マルシンの電動エアーガンUZIは性能、外観共に最高の1丁です。』ウージー・ガル」
これらを見る限り、マルシンがマルイのパテントに触れることはない。しかもUZIにかけてはマルシンこそが一番なのだ、という主張がヒシヒシと伝わってくる。
ところが、である。マルシンのUZI発売直後、すぐさまマルイからも電動UZIの開発が発表された。実際にマルイのUZIが発売されたのは1年半後ではあるが、競作となった結果、マルシンの製品は駆逐されてしまった。告知されていたガリルSAR、MP40、U.S.M2カービンの電動ガンも発売されなかった。
この事実を考えると、電動ガンの本家マルイとUZIの本家マルシンとの間に、両者のプライドをかけた熾烈なシェア争いを感じえずにはいられないのだ。
ガンファンがこれぞUZIだと感じるフォルム。モデルガン時代からUZIを作り続けて来たマルシンらしいデザインだが、実際にはリアルサイズと呼ぶには若干太めだった。
バレルカラーと一体整形のアウターバレル。金属製なのはいいが、経年劣化だろうか本体側と色味が異なってしまっている。
フロントサイトは別パーツ。サブマシンガンにはさほど重要性を感じないパーツではあるが、手抜きのない仕上げはさすがだ。
リアサイトは100mと200mに切り替え可能。固定式でも不便を感じるユーザーは少ないはずだが、ここにもマルシンの矜恃を感じる。
1993年のベレッタM92F エレクトリック・ドライブ・システム シリーズ以来のマルシンの電動ガン。
トップカバーを開けると電動ユニットが顔を出す。専用形状の8.4V 500mAhニッカドバッテリーをレシーバー後部にセット。モーターはハンドガード内に後ろ向きに配置され、ドライブシャフトを介して後方のギアボックスを駆動させている。
BB弾はマガジンからコイルスプリングを通ってチャンバーへ給弾される。チャンバー上部にはマルシンのホップアップシステム、可変スーパーソニックバレルの調節ネジがある。
モデルガン時代から受け継がれて来たスチール製の無骨な折り畳みストック。剛性は高く、強く構えてもビクともしない。
スチールプレス製のマガジン。他のマルシン製品同様金属製のリップが装備されており、確実にBB弾を止める。
DATA
発売年 | 1997年春 |
発売時価格 | ¥26,500 (本体セット) ¥17,800 (キット) ¥3,500 (専用バッテリー) ¥1,300 (専用充電器) ¥3,000 (55連マガジン) ¥4,500 (200連多弾数マガジン) ¥3,800 (ロングバレル) ¥6,800 (サイレンサー) |
全長 | 実測 475mm / 657mm(ストック伸長時) |
重量 | 実測 2,360g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 電動エアー |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 55発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:FIRST
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