マルシン ベレッタ M92F エアータイプ
写真&解説 YAS
解説
マルシンのベレッタは今回紹介するエアータイプが1986年春に、ガスタイプが同年の冬に発売された。
マルシンのエアーハンドガン第一弾はワルサーP38で、このベレッタ M92Fがそれに続く第二弾となる。
価格はエアーが8000円に対して、ガスタイプはスライド固定と言うこともあり7500円と安くなっている。
ベレッタ M92Fは、ちょうど1985年に米軍時期制式拳銃として採用されたばかりで、日本でも注目を集めはじめた時期だ。まだハリウッド映画でも登場作品が少なく、その後の数年で爆発的に人気が上昇し90年代を代表する人気のオートマチック拳銃となった。
そんなベレッタ M92Fに早くから注目してエアガンをリリースしたのが、モデルガンメーカーのマルシンだ。同時期の発売モデルであるマルゼンのベレッタ M92SB-Fはカート式をベースとした2WAYのプッシュコッキングだったが、マルシン製はケースレス専用モデルとして新規に設計されている。
エアーコッキングハンドガンとしては高級路線で、機能やディティールも品質が高かった。とはいえ、マルイのエアーコッキングが、4丁買えてお釣りがくる価格差となると、高級路線のエアーコッキングは次第に行き場を失っていくこととなった。
モデルガンメーカーだけあって、ディティールの再現は良い。マグバンパーの指掛け用突起や、スライドに小さなネジがあったり、グリップが少し太いが、重量感があり、金属パーツもふんだんに使用されるなど、デフォルメを感じさせない再現度だ。
マズルはライフリングが再現される。リコイルスプリングガイドはシルバーの金属製。インナーバレルは真鍮製だ。
リアサイトはスライド一体。ハンマー、トリガーは金属製でトリガーメカはシングルアクションのみ。
トリガーバーは無可動。
スライド、フレーム側面はヘアライン加工が再現されている。マグキャッチ、セーフティレバー、テイクダウンレバーは金属製で実際に機能する。デコック機能はない。
グリップやスライドの刻印はピエトロ・ベレッタ コマーシャルモデルのリアルマーキングとなっている。
ショートリコイルこそしないが、金属製スライドストップは手動でスライドをホールドオープンもできる。
コッキングはなかなかに重い。当時のエアコッキングハンドガンはスプリングが強いものが多かったが、その概念を変えたのは東京マルイの1900円シリーズだった。
グリップ後方にシリンダーが配置されていて、スライドを引くとロータリープレートがピストンをコッキングする。トリガープルは1.5kg程度とスムーズでキレも良い。
細身ではあるものの、スチールプレス製のダブルカラムマガジンを採用し、装弾数は25発を誇る。
装填時はマガジンリップを手で押し込みBB弾を装填し、背面から出たリップを押して戻す。
残弾のある状態で銃からマガジンを抜いてもフォロアーが押し出されて弾がこぼれない仕組み。
マガジンフォロアーは最下部でロックできる。
実射したところ、チャンバーやピストンカップなどのパッキン類が劣化しているからか、2発給弾してしまい、1発取り除いて撃っても初速は17~20m/s程度しか出なかった。
パッケージには『強力パワーシリンダ内蔵/米軍制式拳銃』と謳われている。この頃のマルシンはパワーアップに拘りがあり、のちにMAXIシリーズといったガスガンもラインアップした。
分解方法やパーツリストも掲載された詳細な取説。マニュアル.PDF (4.23MB)
DATA
発売年 | 1986年4月上旬 (エアータイプ) 1986年12月10日 (ガスタイプ) |
発売時価格 | ¥8,000 (エアー) ¥9,200 (エアー カスタム) ¥7,500 (ガス) |
全長 | 実測 217mm |
重量 | 実測 662g |
バレル長 | 125mm カタログ値 |
発射方式 | ケースレス エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 25発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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