マルシン ブレンテン マキシ

マルシン ブレンテン マキシ

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

マルシンのMAXI(マキシ)は1998年に発売されたベレッタM92F MAXIから始まる固定スライドのガスガンシリーズだ。ガスブローバック全盛の時代にあって、固定スライドガスガンならではの高い命中精度と安定したパワー、燃費の良さ、そしてシンプルさゆえの低価格でトイガンファンにその魅力を再認識させた立役者だ。

また、8mmBB弾は2001年より同社が販売する独自規格の弾で、大口径銃の迫力をエアガンで味わえるという触れ込みだった。従来の6mmBB弾の2.37倍の体積、重量は0.27g、0.34g、0.4g、0.45g弾があり、現在でも販売は継続されている。8mmBB弾は同社のガスリボルバー、コルト アナコンダ .44マグナム マキシに初採用されたのち、オートマチック、カービン、ショットガンなど、ラインアップを毎月のように拡大していった。

8mmBB弾と6mmBB弾の比較

ブレンテンといえば、TVドラマのマイアミバイス(1984〜89年放映)か、コンバット シューティングの第一人者であるジェフ・クーパーか、必ずそのどちらかの話になるものだ。
外観は想像以上に大柄な実銃の存在感がよく再現されているし、各部のディテールも決して悪くはない。だが今となってはもうひとつ決め手に欠けるというか、他の機種、例えばM92Fやガバメントのような、「スター性」をあまり感じないのである。

マルシンの固定スライドガスガンといえば、同社を支える人気シリーズだ。現在、ベレッタM84とスタームルガーマーク1の2機種がラインナップされている。しかし、ブレンテンは製造中止、カタログから外れてしまった。

思うにこれは、もはやブレンテンという機種自体の知名度が薄れつつある、ということに尽きるのではないだろうか。どこかの軍や警察に採用されていたわけではなく、ジェフ・クーパーは14年前に鬼籍に入り、マイアミバイスはもう30年以上も昔のドラマなのだ。

もちろん、いまだにブレンテンの熱狂的なファンがいることは確かだし、そこを掘り起こそうとしたマルシンの英断には拍手を送りたい。しかし、ヒットするエアガンを生み出すには様々な要素が必要で、売れる機種というのはどうしても偏りがちなものだなと、あらためて思い知った次第である。

マルシン ブレンテン サイドビュー 左
マルシン ブレンテン サイドビュー 右
ブレンテンのトイガンとしてはファルコントーイに先を越されてしまったが、よりリアルなディテールを再現したという点でマルシンの功績は大きい。実銃はCZ75のデザインがベースになっているそうだが、かなり大型化してしまったのがよくわかる。

マズル
独特の突起を持ったマズルブッシングがうまく再現されている。アウターバレルは迫力の10mm口径でインナーバレルは真鍮製、8mmBB弾を使用する。

リアサイト
フルアジャスタブルのリアサイト、別パーツのファイアリングピンロックなど、ディティールの再現性はかなり高い。

チャンバー
Cal 10mm AUTOと刻印の入ったチャンバー。上部に見える小さな穴はホップ調整レンチの挿入用だ。可変スーパーソニックバレルと呼ばれる可変ホップアップ機構を搭載する。

スライド
分解のためスライドは約7mmほど後退させることが可能。ガスブローバック化を視野に入れて設計されていたようで、事実、マルシンからその発表もあったのだが、結局、発売されることはなかった。

グリップ
特徴的なシボ加工がうまく再現されたグリップパネル。以前紹介したファルコントーイ製のブレンテンと比較してみると面白いだろう。

フレーム、スライド
フレーム、スライドともに一体成形で、モナカ構造の低価格品とは完全に一線を画す高級感がある。

リキッドチャージ
マガジン
マガジンは亜鉛ダイキャストの一体成形で、熱保持性が高くかなりの重量がある。ボトム部分に注入バルブがあり、デザインそのものは一般的なリキッドチャージ方式だ。

DATA


発売年 2002年12月中旬
発売時価格 ¥9,800 (ブラック)
¥12,800 (シルバー)
全長 実測 213mm
重量 実測 680g
バレル長 -mm
発射方式 固定スライドガス
使用弾 8mmBB弾
装弾数 12発
平均初速 68.5m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2020/09/20


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