MGC スプリングフィールド ハイキャパシティ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
グロック17、P7M13とガスブローバックのハンドガンを発売したMGCが、次の一手はなにかと期待するガンファンに答えるべく、世に送り出されたのが今回紹介するハイキャパシティ シリーズだ。
MGCとしても、1911系のブローバック化は避けて通れなかったはずだが、外部ハンマーによってマガジンのバルブを開放させるという、今なら当たり前のメカも、当時としては初のチャレンジだったのである。
まず、この頃ちょうど実銃で流行の兆しが見えていた、ハイキャパシティフレームに注目した。ダブルカアラムマガジンを採用することで、マガジンのガス容量と、フレーム内のメカニズム収納スペースを確保したのだ。
さらに、スライドとフレームにはHW材を採用、ズシリとくる重量は大きな魅力だ。また、ノーマルガバではなく、スプリングフィールドというモデル選択も斬新だった。鳴り物入りで発売され、大ヒット間違いなし、と思われたのだが…。
いざフタを開けてみれば故障とトラブルの連続で、このコーナーに貴重なコレクションをお貸出し頂いているサタデーナイトスペシャル氏によれば、なんと、買ったその日のうちに壊れてしまったという。
サタデー氏、当然ながら販売店であるニューMGCにクレームの電話を入れるも、「使い方が間違っていたのだから修理は実費」といわれ、大いに憤慨したそうだ。
実はこのハイキャパ、ハンマーダウンの状態ではマガジンの出し入れが出来ない構造で、それをやると一発で壊れてしまう。たしかに、マニュアルにもそう書いてはあるのだが、これは構造上、完全に失敗作だったといっても過言ではないだろう。
1993年末にWAからM92Fのマグナブローバックが発売されると、MGCもこれに反応するかのように、ABS樹脂化による作動性と耐久性アップ、プレシュート化されたハイパーブロウバック版のスクワートガンとエキスパートピストルを投入する。またバルブノッカーのデザインも改良され、ハンマーの状態にかかわらず、普通にマガジンの出し入れができるようになった。
最終的にはガス消費効率を向上させたニューハイパーブロウバックモデルにまで発展したのだが、時すでに遅く、業界の流れは完全にマグナブローバックへと向かっていたのである。
キャスピアンのハイキャパシティフレームを再現しているが、全体的なリアルさはさすがMGCだ。グリップはプラ製だが、木目がプリントされなかなか高級感がある。
アウターバレルは金属製で美しいクロームメッキ仕上。内径6.05mmの真鍮製インナーバレルとのクリアランスもタイトで、このへんの精度はかなり高い。
MGCとしては数えきれないほど作ってきたガバメントカスタムのスライドビュー。ボーマーサイトのクリック感も小気味よく、安定のディティール。
スライド後部、ファイアリングピンの再現性はいまひとつといった感じか。シューターの目に入る場所だけに、ここはMGCらしからぬ部分かもしれない。
ブローバックモデルだが、スライドが後退してもエジェクションポートは開かない。スライドが少し後退してから弾が発射されるアフターシュート方式のブローバックユニットで、固定ホップアップ機構も搭載されている。同社グロック17に比べると、内部パーツの仕上げも悪くなっているように見える。
大きく開いたマガジンウェルはマガジンを出し入れしやすいデザインだが、ハンマーがダウンした状態でマガジンを入れると、確実に壊れるという致命的な欠点を持っていた。
ステンレスの外装にアルミ製のガスタンクを内蔵、容量のわりには冷えやすいマガジンだった。
コンプ付きのキャスピアン ハイキャパシティも同時発売された。
MGCグループ会社である玩具問屋の台東商事とコラボしたシューティングカスタムモデルも発売された。写真の上箱にはタイトーオリジナルシューティングカスタムのシールが貼られているが、この個体はノーマルなので念のため。ちなみに改良型のパッケージには、「ハンマーが倒れていてもマガジンが着脱できる」と書かれていた。
DATA
発売年 | 1993年9月中旬 1994年新春 (ハイパーBLK化) |
発売時価格 | ¥15,500 (スプリングフィールド ハイキャパシティ) ¥15,800 (キャスピアン ハイキャパシティ) ¥25,500 (ABSシューティングカスタム フルセット) ¥27,000 (ABSシューティングカスタム フルセット シルバー) ¥14,500 (スクワートガン ハイパーBLK化) ¥14,200 (エキスパートピストル ハイパーBLK化) |
全長 | 実測 224mm |
重量 | 実測 1,020g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 20発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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