MGC コルト M1991A1
写真&解説 YAS
解説
高比重プラスチック、通称ヘビーウェイト樹脂(HW)製のエアガンが登場したのは1990年頃。MGCのM725や、JAC AR-15 A2、コクサイ M1911A1といったモデルに採用され、現在ではWA、マルシン、KSC、タナカなど多くのメーカーでも採用されている。
HW樹脂は金属紛を樹脂に混ぜ込んで高比重化したもので、亜鉛や鉄、タングステンなどの粉末が使われており、ブルーイングもできるので、現在にいたるまで人気のトイガン用素材だ。鉄粉については90年代に磁石にくっつくという理由により組合で自主規制され使われなくなった。
MGCが積極的にHW樹脂を採用していたのは、やはりモデルガン時代の規制を経験しているからだろう。1971年の銃刀法改正により、拳銃タイプの黒い金属製モデルが消滅してしまった。それ以降、軽い樹脂製のモデルにファンは一気に萎えてしまったのだ。
HW樹脂の仕上げはパーカー系のダークグレー色が多いが、本モデルはスーパーブラックフィニッシュと呼ばれる艶消しの黒色だ。比較的最近ではタナカが採用するHW樹脂にメッキを施したジュピターフィニッシュといった仕上げのものもある。ヘビーウェイトという言葉はMGCが使い始めたのが一般化し、90年代はさまざまなモデルがHW樹脂バージョンでリメイクされた。
COLT M1991A1は1990年に米コルト社が発表したM1911A1を記念して作られたミリタリースタイルのモデル。グアムの実弾射撃場にもよく置いてあって、筆者が.45口径を初めて撃ったモデルもM1991A1だった。
シリーズ'80をベースとしたリメイクで、樹脂製の黒いグリップパネルやストレートタイプのメインスプリングハウジングなどM1911A1とは異なる部分もあるのが特徴。
MGCのM1991A1はヘビーウェイト樹脂を使用していて実測重量は915gもある。手にした瞬間のずしりとした感触はエアガンとは思えないほど。
ライフリングも再現された金属製のマズル。バレルブッシングやプラグも金属製の別パーツ。インナーバレルはトリガーに連動して後退してBB弾をチャンバーへ送る後座式。本モデルはサイクロンバレルではない真鍮製となっている。
リアサイトは金属製で少し背が高いスクエアノッチ。
スチールプレス製のチャンバーには-COLT 45 AUTO-、スライドには-SERIES 80-の刻印。フレームのシリアルナンバーは2695213番からの連番が刻印される本当のシリアルナンバーとなっている。
トリガーはスムースタイプで、ハーレット・アクションのため実銃よりストロークが長くなっている。トリガープルは3.2kgほど。トリガーガードには認証スタンプが刻印されている。
グリップセーフティは動くが、セーフティの機能はない。マガジンハウジングは亜鉛ダイキャスト製のストレートタイプ。フレームのパーティングラインもしっかり処理されている。ランパンコルトのマークが入った樹脂製チェッカーグリップ。
マガジン装弾数は10発。スチールプレス製で内部に真鍮製のタンクがある。またマグバンパーには跳ね馬とコルトの刻印があるリアルな作りだ。
当時、他社製ガスガンはモナカ式構造が多かったが、MGCのハーレット・アクションの分解は比較的容易で、マズルブッシングを取り外して中のネジを取り外せばスライドを前方へ引き抜ける。モデルによってはコンペンセイターやスライドストップを取り外す必要があるが基本構造は同じだ。
ハーレット・アクションのトリガーは長いトラベルと重いプルが難点ではあるが、距離5mでの実射は0.2g弾を使用して、やや上目に着弾し、概ね6cm程度にはまとまった。初速は61m/s程度で0.4Jの自主規制に収まっている。
ヘビーウェイトモデルが前提のパッケージ。
DATA
発売年 | 1992年8月中旬 |
発売時価格 | ¥13,000 |
全長 | 実測 220mm |
重量 | 実測 915g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 61.48m/s (0.2g / HFC134a / 26℃) |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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