ハドソン U.S.M3A1グリースガン/サウンドサプレッサータイプ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ハドソンというメーカーとグリースガンは切っても切れない関係だ。ハドソン製グリースガンのルーツは昭和48年頃にまでさかのぼり、1作目はスチールプレス製のモデルガンだった。
それが昭和52年のモデルガン規制によって製造終了になると、しばらくの間、グリースガンはトイガン界から姿を消してしまう。
その後、プラスチック製のモデルガンとして見事復活を遂げ、エアガンブームが訪れると、さらにカート式エアコッキングガン、BV式ガスガン、そしてブローバックガスガンと、時代の変化とともに華麗なる転身を続けてきた。
今回紹介するガスブローバックのグリースガンは、ジェリコ941やトカレフ TT-33などと同様、ブローバックエンジンにマルゼンのアドバンスシュートシステムが提供されている。エアガン製造のノウハウを持たないハドソンにとって、すでに完成されたメカを使えるメリットは大きかったのだろう。
撃ち味はマルゼン譲りの激しいものだ。ドカドカドカッ!という大音量とともに、すさまじい反動がシューターを襲う。
古いガンファンなら思わず「カ・イ・カ・ン」などとつぶやきたくもなるが(笑)、反動が強いぶん、残念ながら命中精度はかなり悪い。この銃のオーナーであるサタデーナイトスペシャル氏によれば、8mから17cm四方の標的紙にフルオートで10発撃って、わずか4発しか命中しなかったそうだ。
サバゲーで使うにはもっと撃ちやすくてよく当たるエアガンが他にいくらでもあり、そもそも、ハドソンのグリースガンはきわめて耐久性が低いため、手荒に扱うとすぐに壊れてしまう。
考えてみれば、前述の通り本エアガンのルーツはスチールプレス製だった。鉄板だからこそ薄くできたレシーバーを、プラスチックに置き換えて作るのは土台ムリがあったのだ。
ハドソン産業は2009年に惜しまれつつ廃業。約45年間、ハドソンの発展とともに歩んだグリースガンは、ハドソンの歴史そのものだったといえるかもしれない。
実銃にもサプレッサーモデルは存在するがハドソンの物はかなり長いようだ。ノーマルバレルに比べると約2倍の長さ。フルオート射撃オンリーでブローバックの作動音が大きいため、消音効果がいまひとつ感じられないのが残念だ。
サプレッサーはアルミ製で剛性も強いが、本体側がABS製のため全体的な強度には不安が残る。本サプレッサーはタニオ・コバとの協力で作られた。
リアサイトやレシーバーの溶接跡など、金型で作った思えないほどリアルな仕上がり。
通称デベソ、実銃のグルースガンにはセフティがないためこんなところにセフティが設置された。BV式ガスガンのホース穴をそのまま利用。押し込むと赤いラインが消えセフティが掛かる。
スチール製の伸縮ストックはモデルガン譲りのリアルさと高い強度をそなえている。
ダストカバーが開閉するが、薄いプラ製のためギシギシとゆがむ。
M3A1にはコッキングハンドルがなく、指で直接ボルトを引くための穴が再現されている。
ボルト後退位置。ブローバックすると激しい反動とともに前後動し、撃ち味は最高だ。可変ホップアップ機構を搭載しているが、サプレッサーを取り外し、内部のインナーバレルを固定するチャンバー上部にあるイモネジで調節する方法なので手間がかかる。
マガジンは亜鉛合金製で1kg超とかなり重い。上部にはふたつの穴が空いており、マルゼンのアドバンスシュートシステムであることがわかる。
DATA
発売年 | 2001年末 (M3A1 グリースガン) 2002年夏 (サウンドサプレッサータイプ) 2005年春 (HW2210モデル) |
発売時価格 | ¥15,800 (M3A1 グリースガン) ¥24,800 (サウンドサプレッサータイプ) ¥18,900 (HW2210モデル) |
全長 | 実測 740mm / 912mm (ストック伸長時) |
重量 | 実測 1,797g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 60発 |
平均初速 | 65.3m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン