ファルコントーイ ガリル ARM
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ファルコントーイからガリルARMが発売された1990年代初頭のエアガン業界は、いわゆる「イチロク戦争」が終末期を迎えようとする時期だった。各メーカー製のM16系エアガンがほぼ出揃い、サバゲーでは敵も味方もみなM16ばかりという状況の中、その流れに一石を投じるような形で発売されたのがファルコントーイのガリルだったのである。
発射方式は当時の主流だったBV式で、マガジンはアサヒ製品など高級品のみに見られたエアー給弾。外観も、黒一色のM16系に比べて木製のハンドガードやチークピースなどが目をひく独特のデザインだったため、サバゲーでの服装や装備などに可能性が広がるようにも思えた。
しかし、当時のサバイバルゲーマーがエアガンに求めていたのはあくまでも勝つための性能であり、実射面でとりたてて大きな特徴のなかったガリルは、残念ながらヒットしなかったようだ。いくら見た目が新鮮でも、中身が変わらなければ意味がなかったのかもしれない。やはり、メインウェポンを使い慣れたM16から乗り換えるには、それ相応の理由が必要だったのだ。
事実、同年発売のトイテック P90や、翌年に発売されたマルイの電動FA-MASのように、安定して多弾数を撃ち続けられる新機構を持ったエアガンは大ヒットとなったわけで、サバゲーで勝てる製品が求められた当時の業界事情がうかがい知れる。
ただし、ガリルという特異な機種をモデルアップしたのはさすがファルコントーイだと言えるだろう。ガリルのエアガンは、数年前に海外メーカーが電動ガンとして発売するまで、長らくの間この製品が唯一無二の存在だったのである。
なお、このコーナーで紹介している他のBV式ガスガン同様、今回の個体も内部ユニットを破壊してあるため、発射不能な状態である事を補足しておきたい。
AKのデザインを踏襲しながら、分隊支援火器にまで発展させたイスラエルのガリル。当時、国内でほとんど知られていなかったこの銃をモデルアップできたメーカーは、ファルコントーイ以外にはあり得なかったはずだ。いま見ればディティールの甘さもあるが、全体的な存在感はかなりのものだ。機関部右側面のセレクターレバーは発射とセフティの切り替えのみで、グリップ左側にセミ/フルの切り替えがある。
1989年11月に同社が発売したガリル SARのバリエーションモデルだが、翌年にASGKの組合規約が緩和されたことでバレル周りに金属パーツが多用され、ナット材のハンドガードやチークピースなど重量感や質感が増している。
M16のバードケージタイプを簡素化させたようなデザインの亜鉛ダイキャスト製フラッシュハイダー。アウターバレルはアルミ製で剛性感はじゅうぶん。
フロントサイトにはフリップアップ式のナイトサイトも再現されており、くぼみ部分に夜光塗料を塗れば雰囲気だけは味わえる。
リアサイトにも同様にナイトサイトが付属。ピープサイト自体は可倒式で切り替えが可能だ。 またレシーバー上部に取り付けるスコープマウント(¥2,300)も別売された。
折り畳んだバイポッドはハンドガード下部に収納される。実銃ではこの部分でコーラ瓶の栓が開けられるらしいが、ファルコントーイ製では無理だろう。
折り畳んだストック。メタルパイプに木製チークピースの組み合せというのが中東っぽく、独特な雰囲気を醸し出している。
グリップ左側にもセレクターをそなえているのがガリルの特徴。ファルコントーイのガリルシリーズでは、セミ/フルオートの切り替えスイッチとなっている。
マガジンはエアー給弾方式のため最後の1発まで撃て、残弾が残らない。スチール製でボトム部に刻印も入っており、全体的にしっかりとした作りだ。
DATA
発売年 | 1990年12月 |
発売時価格 | ¥38,000 |
全長 | 実測 753mm/985mm (ストック伸長時) |
重量 | 実測 3.45kg |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 50発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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