
平成25年度 富士総合火力演習
富士総合火力演習は、静岡県の東富士演習場で開催される国内最大の陸上自衛隊の実弾射撃訓練。
今年は2013年8月25日(日)に実施され、人員 約2,400名、戦車・装甲車 約80両、各種火砲 約50門、航空機 約30機、その他車両 約600両が参加する。

火力演習は特科教導隊の射撃から始まる。これは陸上自衛隊最大の火砲、203mm自走りゅう弾砲。最大射程は通常弾で約23km。

99式自走155mmりゅう弾砲。最大射程は約30km。御殿場から小田原や熱海までを砲撃可能。

155mmりゅう弾砲 FH70が撃つ!。有効射程約24Km、西ドイツ、イタリア、イギリスの参加国によって開発されたものを日本製鋼所がライセンス生産している。

21門すべての火砲による100分の1秒単位での精度が求められる、二段山、三段山上空に富士山を描く同時弾着を披露した。毎年のことながらこの美しい光景には目を見張るものがある。

120mm迫撃砲 RTの射撃シーン。今年はなんとか発射直後の弾頭が写った。81mm迫撃砲 L16も射撃。

軽装甲機動車のルーフから01式軽対戦車誘導弾(軽MAT)を射撃。低伸弾道モードと一度高く飛翔してターゲットを真上から捉えるダイブモードで射撃可能。今年はダイブモードでの発射を披露した。軽MATはバックブラストが少ないのが特徴。

96式装輪装甲車に搭載された96式40mm自動てき弾銃を射撃。この96式40mm自動てき弾銃は車内から射撃することもできる。
96式装輪装甲車は乗員2名に加え、兵員8名を輸送でき、後部ハッチより兵員を展開させることが可能。全備重量約14.5t、全長6.84m、全幅2.48m、全高1.85m、最低地上高0.45m、登坂能力60%、最高速度100km/h、行動距離500km以上。

96式装輪装甲車の後部ハッチが開いて隊員たちが散開する。89式小銃で近接ターゲットに射撃。曳光弾を使用しているせいか、ターゲットは激しく燃え上がった。

後段演習では諸島防衛を前提に場内のオーロラビジョンに解説映像が流され、上空を海上自衛隊のP3C対潜哨戒機と、航空自衛隊のF2支援戦闘機が飛来した。

中距離多目的誘導弾。96式多目的誘導弾の高価で複雑なシステム構成を補うべく開発された。中MAT/重MATの後継ともいわれる。高機動車に6発搭載の発射機、追尾装置、自己評価装置を一体化した完結性の高いシステム。

中距離多目的誘導弾の発射シーン。今回は3発連続発射を行った。別々の目標に誘導弾が見事着弾。この1両で6発の誘導弾を搭載。訓練用のため弾体は青色なのがわかる。

88式地対艦誘導弾と96式多目的誘導弾も登場。射撃は行わなず射撃体勢のデモンストレーションのみ。

88式地対艦誘導弾の索敵レーダ装置。73式小型トラックに搭載されていて、隊員自らルーフに登ってレーダ装置を組み立てていた。

CH-47チヌーク輸送ヘリから隊員がロープで降下!!

CH-47のカーゴに搭載された高機動車が地上に降ろされるとすぐさま発進。荷台に乗り込んだ6名の隊員が89式小銃を構え周囲警戒する。

偵察教導隊の偵察バイクKLX250が華麗にジャンプ!!

実はこのジャンプ台の下にはアヒルのおもちゃがジンクスとしておいてある。
よくよく見ると「俺は飛べる!! 華麗に飛ぶ!!」「ビビったらアクセル開ければ何とかなる」とか、「お嫁さんへ。ジャンプが成功したらおこづかいを1000円アップしてください。」といった人間味あふれるリアルな願いが書かれていた。これで一気に偵教のファンになってしまった。

対人狙撃銃と、06式小銃てき弾を銃口部に装着した89式小銃。
対人狙撃銃はレミントンM24 SWSベースのボルトアクションライフルで、7.62mm×51ライフル弾を使用する。500mの狙撃デモを見せると観客席から感嘆の声が上がった。

84mm無反動砲と、110mm個人携帯対戦車弾を構えながら走る隊員。重そうなのにドーランまで塗って凄いなぁ。

89式装甲戦闘車に搭載のエリコン社の90口径35mm機関砲KDEの射撃。今年は重MATの射撃は行わなかった。

AH-64Dアパッチロングボウ攻撃ヘリコプターが登場。機首下のM230 30mmチェーンガンを射撃した。このチェーンガンは発射速度は毎分625発。1200発の30mm機関砲弾を搭載する。
また、翼下にセミアクティブレーザー誘導方式のAGM-114 ヘルファイア対戦車ミサイルと、70mmロケット弾ランチャーポッドを搭載することができる。

こちらはOH-1観測ヘリ。AH-64Dをサポートするかのように飛んでいた。

87式自走高射機関砲が双連のスイスのエリコン社製35mm対空機関砲を撃つ。愛称は「スカイシューター」。ガンタンクとか87AWとも呼ばれる。1987年に制式化。高射特科部隊に装備され、主として機動的に運用される部隊の対空掩護に使用される。

87式偵察警戒車。今年は25mm機関砲は撃たず、74式車載7.62mm機関銃を撃つのみに終わった。

90式戦車の120mm滑腔砲による走行間射撃。走りながら突然撃つので初めて見る人はその轟音にびっくりするはずだ。

その後、機敏に転身して前進しながらの射撃。90式戦車の存在感は大御所クラス。

昨年に続き、もちろん今年も10式戦車が射撃した。これは10式戦車の点検射のワンシーンで、演習早朝は6:30より点検射と呼ばれる各車両のテスト射撃が行われる。

実際の演習では4両の10式戦車が列をなして入場。今年の総火演は試作車ではなく量産車が参加した。

10式戦車のスラローム走行射撃。90式戦車よりは軽いとはいえ、44トンの巨体を軽やかに翻して120mm滑腔砲を放つその姿に会場からも歓声が上がる。

射撃が終わると凄まじいほどの機動力で後進、方向転換。しなやかなサスペンションが砂埃を巻上げフルブーキング!!

2013年、今年の総火演では4台のC4Iシステムネットワークによる同時射撃がお披露目された。
10式戦車は車両間で相互に戦場の情報を交換し指揮統制を行えるC4Iシステムが導入されている。
これは発砲炎が4台同時に映った貴重な瞬間をとらえた写真。

こちらは別角度からとらえた4台同時射撃の瞬間。

射撃を終えると砲身をダウンレンジに向けたまま素早く会場から退去する10式戦車。

こちらも10式戦車、点検射のワンシーン。発砲炎はタイミングによって、形、色が様々な一面を見せる。この瞬間は弾が発射された直後、真円の大華を咲かせている。

74式戦車もまだまだ現役で頑張っている。柔軟な姿勢制御で稜線射撃はお手の物。

演習最後の定番である煙幕が鮮やかに炸裂すると演習もフィナーレを迎える。

煙幕って本当に目の前が真っ白になって見えなくなるんだなぁ。

そして上空をヘリコプターが通り過ぎていき、状況終了!! 隊員の皆様お疲れ様でした。
新装備 初登場! 12式地対艦誘導弾システム
男の子ならば誰しも「新兵器」という言葉にぐっとくるものがあるだろう。もっとも自衛隊の場合は新装備と呼んでいるのだが。今回の総火演の装備展示では初登場となる12式地対艦誘導弾システムがお披露目された。

12式地対艦誘導弾システムは88式地対艦誘導弾の後継として開発された。このシステムは索敵評定レーダ装置、指揮統制装置、射撃統制装置、中継装置、発射機の複数の車両からなる構成で、これはその発射機にあたる。

弾体が収められたキャニスターが88式では円筒形だったが、12式では角型断面となり、03式中距離地対空誘導弾にもシルエットが似ている。しかしながらキャニスターが意外にも細く、華奢なイメージでもある。

キャニスターを立てた状態。88式よりも上向きの角度がつき、より遮蔽物に隠れての発射が可能になった。

土曜の夜には夜間演習も行われた。霧の中、幻想的な光景が展開される。

集中砲火を放ち、曳光弾がターゲットに弾かれて四方に散る様はまさに夏の花火のよう。一度は見ておきたい光景だ。
写真提供:岡崎雄昌
映像制作:ZERO CORPORATION
2013/08/29
■関連レビュー





