H&K VP9と自衛隊トライアル拳銃 実銃レポート撮って出し!
Photo by Takahiro Soyama / Text by Takeo Ishii
防衛省WEBサイトにて「自衛隊の新小銃・新拳銃の決定」についての発表があったのは2019年12月6日。新小銃はHOWA5.56(豊和工業製)、新拳銃はSFP9(ドイツ・HECHLER & KOCH製)と決定されたそうです。新拳銃SFP9は323挺の取得が予定されており、1挺あたりの調達価格は92,880円との事。そしてSFP9の米国民間モデルVP9をCQB GUAMでは2016年から所有しており、さらにナント! 自衛隊が最終トライアルの比較検討を行なったという他の2挺、「ベレッタ APX」と「グロック17 Gen5」もございますので、今回の「撮って出し」では一緒に並べてご紹介致します!
左から「ベレッタ APX」、「H&K VP9」、「グロック G17 Gen5」。自衛隊の新制式採用拳銃選考のため平成29年度予算で購入された3種類で、ナントCQB GUAMには全て揃っています♪
それぞれのスライドの比較。同じ9×19mmルガー弾を撃ち出すストライカー式オートマチックですが、特に角の落とし方や仕上げの差なのか、随分と印象が違います。VP9が一番細身に見えますね。
下から見たところです。ベレッタ APXとVP9のグリップは断面が楕円形ですが、グロックは四角張っています。トリガーガードの根元がVP9だけ末広がりになっているのも印象的です。
グロックはトリガーガード内側が3挺の中では一番狭く、その結果、トリガー自体も短くなっています。またGen4以降はかなり改善されましたがトリガーの引き味に独特のクセがあり、慣れが必要です。
ベレッタ APXはトリガーガード内部スペースが充分に確保され、トリガーも長いです。グロックよりクセのないトリガーではありますが、人によっては形状にやや違和感を覚えるかもしれません。
VP9のトリガーは長さといい曲がり具合といい絶妙です。もちろんこの判断も人によるのだろうとは思いますが、「3挺の中では最もクセがなく馴染みやすいし引き味も良い」と多くの人が思うハズです。
わずかな差ではありますが、3挺の中ではVP9が一番細身で小振りに見えませんか?
やはり「日本人=手が小さい」というイメージが一般的ですので、自衛隊の新制式拳銃としては相応しい、と思えます。
VP9はこの様な樹脂製のケースに収まって入荷しました。ちなみにこれはH&K社の多くの拳銃に共通のケースです。自衛隊に納入される軍・警察用バージョンの「SFP9」も恐らく同様でしょう。
内部はこんな感じ。予備マガジン1本、ローダー、交換用のグリップパネルとバックストラップが付いてきます。
グリップパネル、バックストラップ共に3サイズあります。ボトム部分のピンを抜き差しする事で交換が可能です。
ハンマー式の拳銃に比べ、ストライカー式の銃は砂や汚れに強いのだ、とされています。ちなみにCQB GUAMには分解・手入れ用の専用ブースも用意されていますので、ご興味のある方は銃の内部もじっくりご覧頂けますよ。
CQB GUAMに2016年からある最初のVP9です。スライド後部には引き易くするための樹脂製の出っ張りがあるのですが、左側のそれが脱落して無くなっています。ちなみにこのVP9にはトリガーセィフティしか付いていませんが、自衛隊が導入するSFP9には何らかのマニュアルセィフティが付加されるだろう、と予想されています。
こちらはお客様の注文で入荷した「プレミアムメンバーズ銃」です。最初からあるモデルとは仕様が異なります。
左側がメンバー様の銃で、背の高いリアサイトが付いています。
同じくリアサイトの比較です。左がノーマルで、右がメンバー様の銃です。
スライド中央部に赤く見えているのがコッキング・インジケーターで、ファイヤリングピンが発射状態にある事を射手に知らせます。
フロントサイトの比較。左がノーマルで右がメンバー様の銃です。
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制作協力:CQBグアム
石井 健夫(いしい たけお) CQB GUA/ジャパンサービス部 代表 1967年12月、東京都生まれ。 |
ソヤマ タカヒロ CQB GUAM/WEBマーケティング担当 兼 実弾射撃サブコーディネーター 1964年9月、神奈川県生まれ。 |