WELL ガスガン AK74M (G74B) CO2 GBB
レポート:戸井源太郎
中国のWELL製CO2ガスブローバックのAK74M (メーカー名:G74B)の日本の法規制に対応したジャパンバージョンがGunSmith BATONより2017年末に発売されました。
もちろん、フルメタルで重量感たっぷり、外観、手にした感触、フルストロークするボルトと、とてもリアルな作りです。なんといっても、このクオリティで驚くべき低価格を実現している点も見逃せません。
そして一番気になるWELL AK74Mの実射性能はどうでしょうか? 早速レビューしたいと思います。
AK-74MはAK-74の近代化バージョンで、1991年からソ連軍に配備が開始されました。「M」は『Модернизированный』の頭文字でロシア語で近代型を意味しています。AK-74Mの特徴はフレームに光学機器用のマウントの標準装備、プラスチック製のストックが折りたたみの採用が挙げられます。標準でストックが折りたためるため、車輌、輸送機の搭乗時にも邪魔にならず、戦車や装甲車の車載装備として使用でき、歩兵から戦車兵、空挺部隊などをAK-74Mの1機種に統一できるという利点があります。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップ固定、10発での測定、気温13.2度、湿度41.0%、XCORTECH X3200にて計測。 |
パッケージは無地の段ボールにステッカーを貼ったシンプルなものになります。本体は発泡スチロールに収められています。パッケージサイズは990 X 250 X 80mmです。
取説にマガジン使用の注意事項、チラシ、六角レンチ、スリング、クリニーングロッド、フロントサイトアジャスター、BBローダー、BB弾が同梱されています。
レシーバー、レシーバーカバー共にスチール製でその作りは堅牢です。レシーバー左側にある突起はスコープ搭載用のマウントベースです。
セレクターレバーはカスタム仕様でトリガーフィンガーで操作できるようになっています。セレクター自体の動きも非常に滑らかです。
セレクターでボルトをホールドすることもできます。フルストロークのボルトだからこそ可能な機能でしょう。
エジェクションポート内にドラム式の可変ホップアップダイヤルがあります。
トリガーもスチール製で丈夫そのもの。実銃の構造に近いガスブローバックなので、シアが落ちる感触がよいですね。トリガーも軽くスムーズです。
レバー式のマガジンキャッチです。
グリップは樹脂製です。リアルサイズなので、電動ガンに慣れていると非常に細く感じます。
アウターバレル、ガスチューブ、フロントサイトベースはアルミ製のようですが、フラッシュハイダーはスチール製です。
ハンドガードは樹脂製です。実銃同様、レバーを上にあげロックを解除すればハンドガードが外せます。
ストックは折り畳み式です。素材は樹脂製で非常に軽くできています。中央の凹みはレシーバーにあるマウントベースに干渉しないためのものです。
レシーバー左側にあるボタンを押せば、ストックを折り畳むことができます。
ストックを折り畳めば、非常にコンパクトになり、運搬時に重宝します。
レシーバー前部にカギ爪があり、これで折り畳んだストックにロックがかかるので、バタつくことはありません。バットプレートにあるボタンを押せば、ロック解除となります。
フロントサイトは付属のアジャスターを使用して上下に調整可能です。リアサイトはタンジェントタイプでこちらも上下の調節が可能です。距離に応じた数字の刻印はありません。
通常分解
レシーバーカバー後端にあるロックを外し、アッパーレシーバーを外します。
シンプルなトリガーメカです。このシンプルさがAKの信頼性の高さといえるでしょう。
リコイルスプリングを抜きます。前に少し縮め、下部にあるガイドレールから出してから取り出します。
そしてリコイルスプリングを固定しているガイドレールの樹脂製ブロックを取り出します。
ボルトを後端まで後退させ、取り出します。
道具も必要なく、簡単にここまで通常分解することができます。
ボルトの裏側です。シリンダーサイズはボルトの半分程度で容量はあまり大きくないですね。材質は亜鉛だと思われます。ボルト重量は281gです。
マガジンは実銃同様に外側はプラ製となっています。重量はCO2カートリッジなしで707gと結構ずっしりときます。 マガジン上部にあるレバーで空撃ちモードとの切り替えができます。また射撃後バルブ横にあるレバーを押し下げないと作動しないようになっています。底部のカバーはスライド式になっています。CO2カートリッジは底部から装填します。
マガジン底部のカバーを外すとキャップがみえます。ここを付属の六角レンチで外します。
CO2カートリッジはボトルネック側を先に入れ、キャップを締め込めば、装填完了です。
実射テスト
テストでの使用BB弾は、いつもと同様、東京マルイのベアリングバイオBB弾 0.2gと0.25gを用意。距離は30mと40mで行いました。
ターゲットは直径18cmの丸プレートとA3サイズ(29.7cmx42cm)のスチールプレートとマンターゲットになります。
テスト時は2月下旬で気温約13度で、CO2の性能を試すにはいい時期でしょう。
まずは30mで試射を行いました。0.2g弾、0.25g弾ともホップの調整はドラム式なので操作は容易です。しかしA3サイズ(29.7cmx42cm)に命中させるのはなかなか大変でした。0.2g弾、0.25g弾のどちらとも、A3サイズにまとまりそうなグルーピングはある様ですが、ギリギリでターゲットから逸れる感じで実に惜しいものばかりでした。
距離40mでも飛距離は充分あり、有効射程範囲ですが、どちらのBB弾でもこの距離でも惜しい感じで逸れるという同じようなテスト結果でした。
風と強いリコイルも多少影響があるかと思いますが、いまいち、弾道が安定してないように感じました。
セミでの速射、フルオートで撃ってもサイクルや飛距離が落ちたり、閉鎖不良が起こることはなく、作動に関しては寒くても全く問題なくCO2のメリットが発揮されていると思います。
2月の寒い時期でもリコイルは鋭く強烈です。ストックから頬にリコイルが伝わり、脳みそに“ガツン!”ときます。
今回の射撃テストでは、JAWS SADDLE 東北製作所(NORTHEAST AIRSOFT)を使用し、レストした状態で行いましたが、それでもフルオート射撃は、銃が激しく暴れコントロールできません。
いつも電動ガンに慣れているので、予想外のリコイルにビビってしまって、かなり弾道がチラばってしまいました(笑)。
唯一の欠点は非常に燃費がよくないことです。CO2カートリッジ1本でマガジン2本分弱程度しか撃てません。ボルトがフルストロークでブローバックするため、ガスの消費がどうしても多くなってしまうようです。
総評
WELL AK74M CO2 GBBは外観、材質とも非常に完成度は高く、質感、重量感とも無骨な実銃を余すところなく忠実に再現しています。
そしてパワーソースがCO2ということでフルストロークブローバックと強烈なリコイルを実現し、見た目も手にした感触も射撃感も素晴らしいものがあります。
バリエーションとしてショートモデルのAKS74U クリンコフがあるのも良いですね。
しかし、過去にCO2をトイガンのパワーソースとすることの安全性めぐって、トイガン業界を分裂させるほどの大論争があり、未だ業界内での統一見解には至っていません。
その結果、現在では国内に3つあるトイガン業界団体のうち、STGA(全日本トイガン安全協会)のみがCO2を推進している状況です。
また、CO2をパワーソースとした強力な改造エアガンによる発砲事件は、その後の改正銃刀法が施行されるきっかけともなりました。
そのような経緯があるからこそ、CO2ガスガンを輸入販売する業者には、日本国内で安全に楽しめるよう強固な改造防止策や、業界団体と連携した試験評価・認定を経たうえで、商品を流通して欲しいと考えます。
Gunsmith BATONではメーカーのWELLと協力して、日本の法規制に対応した"ジャパンバージョン"の全挺を初速、ガス漏れ、動作チェックしているとのことで、それ自体の初速・作動に関しては問題ありません。ただ、改造防止策や、マガジン互換性の問題点、そしてその客観性には不安が残ります。
もしユーザーが悪用してなんらかの事件が発生した場合、その責任の所在を問われることはもちろん、ひいては業界に多大な悪影響を及ぼすかもしれません。
環境問題から温暖化係数の高い代替フロンガスが今後市場から無くなると言われている現在、世界的に見てもCO2はトイガンの有望なパワーソースの一つだと考えます。ですので、これら国内販売用のCO2ガスガン全てがSTGA(全日本トイガン安全協会)の認定を受けてくれるとユーザーも安心して遊べるのでは思います。また、STGAにおいても、新規参入業者のサポート態勢を整えてもらえるよう要望します。
このWELL AK74Mはよくできてますし、射撃しても爽快です。そしてフルメタルの長物のガスブローバックで3万円を切る価格なら充分納得できます。LCTやE&Lなどの外観がリアルな電動AKシリーズとは違う、リアルな外観プラス構造、アクションのWELL AK74M CO2 GBBはAK好きには堪らないでしょう。
これに業界団体のお墨付きがあれば、ガスブロAK74の決定版となるのではないかと思います。
協力 ビレッジ2、Gunsmith BATON
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