マルシン ガスガン Five-seveN 6mm CO<sub>2</sub>

マルシン ガスガン Five-seveN 6mm CO2

レポート:戸井源太郎

FN Five-seveN
ベルギーのFN社の5.7×28mm弾(SS190)を使用するP90のサイドアームとして、1995年に開発されたのがFN Five-seveN(FN ファイブセブン)です。名称の由来は、この弾丸の口径からきています。ハンドガンでありながらライフル弾をそのまま小さくしたようなボトルネック形状で、その高初速により貫通力が高く、拳銃弾に比べて口径が小さいので装弾数は20発と装弾数も多いのですが、弾の全長があるためグリップはちょっと幅広となっています。

5.7×28mm弾当初はソフトアーマーのボディアーマーなら貫通する威力があるため、犯罪防止の観点から販売は軍、および法執行官に限られていました。しかし2005年からは貫通力を落としたスポーツ用弾薬とともに民間向けモデルUSGが発売されています。民間での販売は好調のようですが、対して軍、警察関係では、新たに5.7×28mm弾を調達し採用しなければならず、コストや使用銃が限定されるなどの問題からを制式採用しているのは非常に少ないみたいです。
ちなみに「Five-seveN」の綴りの最初と最後が大文字になっており、「FN」となります。


FN Five-seveN 6mmBB CO<sub>2</sub> Gas Blowback
2014年7月に発売されたマルシン FN Five-seveN 6mmBB CO2 Gas Blowback。パワーソースにフロンではなく、CO2を使用するマルシンの革命的な自信作です。
このマルシン FN Five-seveN 6mmBB CO2 Gas Blowbackのモデルアップにあたり、FN社と正式ライセンス契約を結ぶだけでなく、多くの特許取得済の新規メカを搭載しており、今までと一線を画すガスブローバックガンとなっています。

高圧力CO2によるブローバックのリコイルは鋭く重く、エンジンも真鍮削り出しの大口径2ピースピストンを採用しており、腕に“ガツン!”と手に衝撃がきます。銃が壊れるのではないか? と思うくらい元気がいいです。

命中精度に関してもマルシンではチャンバーパッキンに改良を加え、8mで6cmのプレートにヒットできます。20mでもヘッドショットが可能な精度があり、充分サバゲでも使用できるポテンシャルがあります。そしてなにより気温に影響されにくく、寒い時期でも問題なく快調に作動します。

マルシン ガスガン Finve-seveN スペック & 弾速データ
全長 208mm
重量 800g
銃身長 -mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 22発
定価 25,000円(税別)
発売日 2014年7月19日
最高 79.00m/s
平均 76.36m/s
最低 73.70m/s
ジュール 0.583J
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、22発での測定、気温約20度
パーツリスト

パッケージ
マット(つや消し)印刷された落ち着いたパッケージが渋いです。初回出荷分のみ、CO2ガスが3本付属します。またマガジンボトムスクリュー用の専用レンチにFN Herstalの刻印が施されています。

Five-seveN 左側面
本体は超高衝撃ポリマー採用を採用しており、その佇まいはリアルです。本商品は海外へも輸出されていますが、日本版はそれらとは異なり、一部刻印や加工(後述)が日本のみのリアル仕様となっています。

Five-seveN 右側面

マガジンマルシン「6mmBB CO2 Gas Blowback」と今までのフロン134aのガスブローバックとの一番の違いは、このマガジンです。マガジン内にCO2ガスカートリッジを挿入します。

CO<sub>2</sub>ガスカートリッジを挿入
マガジン底部の特許取得済みのマガジンスクリューを付属のレンチで外し、CO2ガスカートリッジを挿入し、このようにカートリッジをマガジンに装填します。レンチの締めすぎに注意してください。破損の元になります。またCO2ガスは途中で交換は基本できません。途中で抜くと生ガスが噴出し、凍傷の恐れがあるので注意してください。

マガジンの装弾数は6mmBB弾22発
マガジンの装弾数は6mmBB弾22発になります。既存のBBローダーでは、装填は難しく、1発ずつ手で込めるほうが早かったです。バルブ開放時に気密を保つための円形の新型パッキンを採用しています。その他バルブを含め、マガジンには特許取得の新機構が盛り込まれています。またバルブは安全上から分解できないよう配慮されています。

FN社の正式ライセンスを取得マルシンではFN社の正式ライセンスを取得していますのでグリップのFNのマークもリアル仕様となっています。グリップ上にあるグレーのレバーはボルトリリースレバーです。

セフティはアンビ仕様
セフティはアンビ仕様でトリガーの上にあります。赤い点がみえる状態で「FIRE」です。慣れればトリガーフィンガーで操作できます。チェンバー、スライドも実銃と同様の5.7×2.8の刻印が日本仕様のみ施されています。

リアサイトリアサイトも実銃と同様に、上下左右に調節可能となっています。

アウターバレルの先端が実銃と同じようにブルーイング処理
アウターバレルはアルミ製で、初回出荷分のみアウターバレルの先端が実銃と同じようにブルーイング処理がされています。こちらも日本発売モデルのみの加工です。

ピカティニー規格のアンダーレイル
現代のハンドガン必須のピカティニー規格のアンダーレイルも標準装備しています。シュアファイアなどのタクティカルライトが装着できます。

実銃同様「FN HERSTAL BELGIUM」の刻印
スライドにも実銃同様「FN HERSTAL BELGIUM」の刻印が入るリアル仕様です。セフティの前にあるグレーのレバーを後に引くとスライドが外せます。

フィールドストリップ
なんの工具も使わず、簡単にフィールドストリップができます。

可変ホップアップのダイヤル
チェンバー下部にあるシルバーの円盤状のモノが可変ホップアップのダイヤルです。またスライドストップが掛かる箇所には金属のプレートで補強がしてあります。

ホップアップの調整
ホップアップの調整はバレルを押し、調整ダイヤルをスライドの切り欠きに合わせると調節しやすいです。

冷蔵庫で1時間以上冷やしても問題なく連射CO2ガスの利点は外気温に左右されにくいことにあります。冷蔵庫で1時間以上冷やしても問題なく連射ができます。

冬でも快調作動
冬でも快調作動です。気温12℃程度でも問題なく射撃ができます。1マガジンを連射してもなんなく撃ち切れます。

CO<sub>2</sub>ガスカートリッジ1本で100~120発くらい撃てますCO2ガスカートリッジ1本で100~120発くらい撃てますので、経済的です。マルシンからは5本セット/600円(税別)で発売中です。
このCDXカートリッジと呼ばれるCO2カートリッジは、ガス質量12g型の台湾製です。NETは10.4~10.8gとロットによって記載が異なってました。

気温に左右されにくい
パワーソースであるCO2ガスはフロンと違い気温に左右されにくいということは、ガス圧が安定するということです。つまり初速が安定し、弾のバラ付きが少なくなり、集弾精度がよくなるということになります。

参考までに真夏の室内では、0.2gBB弾で平均約80m/sと電動ガン並の初速でした。
冬の室内(約20℃)で初速の平均は76m/s。マガジンを冷蔵庫で1時間以上冷やしてからの平均68m/s。1マガジン連射での初速の最高と最低値のバラつきは約3~5m/sとかなり優秀です。



命中精度もマルシン独自に開発を進めており、以前に比べてかなり向上しており、サバゲでは充分なポテンシャルを有していると感じました。

現在ガスガンに主に使用される代替フロンのHFC134aはかつて使用されていたフロンガス(CFC類)に比べてオゾン層の破壊係数は減りましたが、地球温暖化係数についてはCO2の1300倍もあるのです。
近い将来、これらの温室効果ガスが大幅に削減、あるいは全廃になる予定で、ガスガン用のHFC134aは年々値上がりしています。
代替フロンは冷媒としてエアコンや冷蔵庫にも使用されていて廃棄時に回収義務があり、産業界全体ではこれに代わる代替ガスを現在模索中です。

一方、CO2(液化二酸化炭素)は化学工業や製鉄時に本来大気中に放出されるCO2を回収して製造しており、地球温暖化に殆ど影響していないクリーンでエコな次世代のパワーソースで、次世代のガスブローバックといっても過言ではないと思います。

しかしながら国内トイガン業界ではCO2ガスをパワーソースとするガスガンに否定的な意見も少なくありません。その理由は簡単にいうと3点あります。

いくら改造防止策が施されていても、HFC134aより高圧ガスを使用するため、法規制以上のジュールの違法改造をする輩がいるかもしれないということが、まず1点目です。

次に、海外製のCO2を使用するガスガンには、0.98ジュール以上のパワーがあるものが多いことから国内に入ってきた場合は、即、準空気銃となり、法律に触れることから、業界に多大な影響を及ぼす可能性(さらに規制が厳しくなる)があるということです。

3点目は低圧フロン用のガスガンにCO2をダイレクトチャージするとマガジンが爆発する危険性があるということです。
しかし、これは「CO2が危険である」ということとは、まったく別の次元の話です。例えていえば、石油ストーブに灯油ではなく、ガソリンを入れるようなものです。

対して、マルシンおよび業界団体であるSTGA(全日本トイガン安全協会)のホームページによると第3者試験検査機関で高圧でも改造できない安全策を施された構造で初速等を検査し、合格した製品のみを「STGA」マークを付し、製品箱には安全シールを貼付して製造・販売しているとのことで、問題ないという見解です。もちろん警察庁、経済通産省との綿密な協議をしているそうです。

将来、代替フロンが削減・全廃される予定であることから、今後、ブローバックのパワーソースはCO2や新たな代替ガスに成らざるを得ないと個人的には考えています。

トイガンはこれまでに何度も法規制された歴史があり、危機的状況がありましたが、すぐに、今まで以上のトイガンを開発し、発展してきました。きっと日本のトイガン業界なら、何年かしたら誰もが納得できるガスガンを作り上げるに違いないと思っています。このマルシンのFN Five-seveN、およびCO2 Gas Blowbackは、次世代のガスブローバックガンの先駆けとなる歴史的な1挺だと感じました。

2014/12/11


■関連リンク

[参考外部リンク] 環境省: 「地球温暖化対策の推進に関する法律の施行期日を定める政令」及び「地球温暖化対策の推進に関する法律施行令」の閣議決定について

[参考外部リンク] 環境省: オゾン層破壊物質と温室効果ガスの関係(PDF)

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