東京マルイ ガスガン LCP
実銃のLCPは米国の銃器メーカー、STURM RUGER社が開発したコンパクトキャリーピストル。主にセルフディフェンス用途の小型軽量で携帯しやすいオートマチックピストルだ。
毎年多くのメーカーから新製品が発売され、米国市場でも人気のカテゴリであるコンパクトキャリーピストル。その近年の盛り上がりの火付け役ともなったのが、RUGER社のLightweight Compact Pistolの頭文字をとったLCPだ。
口径は.380ACPで、9mmショートの別名もあるように、9mmパラベラム弾と口径は同じだが薬莢長が2mmほど短い。銃本体をシンプルで小型に設計しやすいのでコンパクトキャリーピストルによく採用される弾薬だ。
なお、間違えやすいのだが、米国の銃器メーカー、STURM RUGER(スターム・ルガー)社は、9mmルガー弾やルガーP08などに代表されるLUGERとは関係ない。
以前カリフォルニアの永田市郎さんのお宅で撃った実銃コンパクトキャリーガンの動画。撃っているのはLEMサプライの矢田さん。実銃を撃ちなれた人でもLCPのダブルアクショントリガーは難しそうに見える。LCPにピッタリのポーチにも注目。↓
そのスターム・ルガーのベストセラーLCPをなんと東京マルイがガスガンでモデルアップ!!
マルイがスターム・ルガーの銃をモデルアップするなんて奇跡か! と驚いたものだ。しかもその機構は新規開発の固定スライドガスガンシリーズというのだから、これはもう注目しないわけがない。
最近カラーバリエーションや派生モデルが多かったマルイだけに、このシリーズは本当に心待ちにしていた。しかも発表当初、S&W社のBODYGUARD 380も同時発売とあったので、これまた驚いた。結局ボディガードは次作となったが、これも楽しみだ。
さっそく、マルイのガスガン、LCPをみていこう。
コンパクトな本体なのでパッケージも小さい! ガンケースをイメージしたようなブラック基調のデザイン。パッケージサイズは幅23.5cm x 高さ16cm x 厚み4.5cm。
パッケージ内容は本体、マガジン、保護キャップ、BB弾少々、取説類とシンプル。価格は8,778円とリーズナブルなのも良い。
全長131mmのコンパクトキャリーガン。手にしてみるとニヤリとするくらい小さく薄い!! 小さいながらも質感はよく、チープさを感じさせない。このクラスのエアガンは張り合わせのモナカ構造が多いなかで、マルイのLCPは一体パーツを多用して良く作りこまれている。
手にしてみるとふわっと軽い。実銃もトイガンのような重さなのでこれはこれでリアルといえる。スライドフレームともに樹脂製だが強く握りこんでもギシギシすることはなく、剛性の高さがうかがえる。コンパクトガン独特の塊感を感じられるのが嬉しい!!
樹脂製ながら半光沢のスライドとシボのあるポリマーフレームの質感の違いをうまく再現している。スライドは固定されていて動かない。トリガーは亜鉛ダイキャスト製。
実銃ではスライド後端にスパーレスハンマーがチラっと見えるのだが、マルイのLCPは凹みのみで省略されている。内部ユニットを収める都合か、チャンバー幅は実銃に比べて少しワイドな造形。
フロント、リアサイトともに最小限の作り。とっさに素早くバッグやポーチから取り出す際に引っかからないように突起をなくすようにしているコンパクトキャリーガン独自のデザインだ。
実際に使用するのは数ヤードというのがセルフディフェンスの想定交戦距離。サイトで狙って撃つ時間がないくらい切迫している状況で、とにかく襲ってくる相手に向けてトリガーを引くだけという設定なのだろう。
筆者は実銃のLCPを何度か撃つ機会があったが、LCPのダブルアクショントリガーは非常に重く長く、狙ったところに当てるのが難しかった。
マズルにはライフリングも再現されるが、真鍮製のインナーバレルのほうが主張している。ここは黒く染めてもらいたかったところだ。
グリップはマガジンバンパーがあっても小指が余るほどに小さいが、それが携帯性を高めている。コンシールドキャリーウエポン=CCWの醍醐味と言えるだろう。
グリップ中央とマガジンバンパー底部にメーカーのエンブレム刻印が入る。エンブレムはスターム・ルガーっぽい雰囲気のマルイオリジナル刻印。
実銃はマニュアルセフティがないダブルアクションオンリー(DAO)だが、マルイのLCPではスライドキャッチがマニュアルセフティになっている。上へスイッチするとセフティオン。カチッとした節度があるので不意に解除されるようなことはない。
セフティをオンにしてもハーフコックまではトリガーが引ける。※ハーフコック機能については実射で後述。また、マガジンを入れていない状態でトリガーを一度引くとそれ以降シアが掛からないセフティ機能もある。
中央部にある丸いパーツは実銃では分解用のピンだがマルイのはダミーだ。マガジンキャッチはグリップ左にあるプッシュボタン式。
超小型のマガジンは亜鉛ダイキャスト製でリップ部分は樹脂製。シングルスタックで装弾数は10発。マガジン底部のバルブからガスをリキッドチャージする。
ノズルがマガジンリップに内蔵されている。トリガーに連動してノズルが動きBB弾をチャンバーに押し込む仕組み。まさに昔の固定ガスガンのような構造だ。ノズルはスプリングのテンションが効いてはおらず、不意に前進してしまったら横の突起で戻しておこう。
プレートキャリアやチェストリグの隙間、マグポーチにサクッと放り込めるので、サバゲーでの第三のウエポンとしてキャリーしておくのも容易。
実測重量は261g。数値だけ見ると軽いのだが、このクラスのコンパクトキャリーガンとしては重量感があるほうだと思う。
マガジン単体では125g。
マルイのガスブローバックガン最小クラスであるデトニクス45との比較。LCPがいかに小さいかがわかるだろう。LCPの流れるようなウエストラインは洗練されていて実に美しい。
さらにマルイの固定スライドガスガンといえばSOCOM Mk23。もはや同じハンドガンなのかというくらい大きさが違う。
東京マルイのガスガン、LCPを回してみました。#東京マルイ #LCP #コンパクトキャリー#ガスガン pic.twitter.com/2EJaC5wvj9
— ハイパー道楽 (@hyperdouraku) April 14, 2021
実射 & 総評
気になるLCPのダブルアクション(DA)トリガーだが、トリガープルは約2.8kg。ストロークは長いが引きにくいほどではない。特徴的なのが引き初めにカチッと感触があること。これはトリガーを途中で戻したとしても二重装填されないためのハーフコック機能ということだ。
グリップとサイトが小さく、DAトリガーもあって正確に狙うのは難しいが、ややホップ強めな弾道を見ながら室内8mの立射で15cmくらいにはまとめられる。パスン、パスンと軽快な発射音で楽しい。
屋外20mではマンターゲットセンターの25cmサークルに、30mでもマンターゲット上半身は楽に狙える。この日は雨風の強い日だったが、そのコンディションでもまっすぐな伸びのある弾道でBB弾が飛んでいく。弾は0.2g弾がベスト。固定ホップなので0.25g弾だと20mでもドロップしはじめて、ボディセンター狙いで裾に当たる感じだ。
平均初速は0.2g弾で56m/sと、このサイズとしてはパワー、弾道ともに驚きの高性能ぶりだ。
燃費が良いのもLCPの良いところ。マガジンにガスをフルチャージして1秒間隔で射撃したところ43発も撃てた。この容量の小さいマガジンとしては良好な燃費だ。
気になる点としては細かいが、せっかく外観が良いのでマズルのインナーバレルは黒染めしてほしかった。
また、ガスブロのように弾がなくなったらホールドオープンで止まるわけではないので、気づかずに撃ち続けてしまうところか。スライドがダミーでも引けてチャンバーに可変ホップのダイヤルでもあったら最高だったが、この価格を考えると固定ホップでも十分だろう。
いやしかし、このシリーズは実に良い。コンパクトキャリーピストルはコレクションしてもかさばらないし、気軽に部屋撃ちできて楽しい。
ガスブローバック全盛の現在、固定スライドガスガンをラインアップするというのはかなり勇気が必要だったと思う。なかには「ブローバックしないなんて面白くない!」なんて声もあるかもしれないが、発射音が静かで燃費が良く、初速が安定しやすいという固定スライドガスガンのメリットもある。
高価格化しつつあるガスブローバックハンドガンとは対照的に、新たなニーズを生むリーズナブルな本シリーズはエントリー層の拡大にもつながる、いまこそ必要なエアガンなのだと思う。これを実現した東京マルイの英断に感謝したい。
第二弾のボディガード380、そして今後のラインアップ充実と共に、カスタムショップのカラフルなペイントカスタムなども期待したいところ。
結局のところマルイのLCPは買いなのか? はっきり言おう、確実に買いの一丁!! おススメだ。
スペック & 初速
全長 | 131mm |
重量 | 255g (空マガジン含む) |
銃身長 | 66mm(インナーバレル長) |
装弾数 | 10発 |
価格 | 8,778円(10%税込) 7,980円(税別) |
発売日 | 2021年4月14日 |
動力源 | リキッドチャージ式ガス ※射撃テストではHFC134aを使用 |
初速 | 最高:56.95m/s 平均:56.28m/s 最低:54.99m/s ジュール:0.317J |
※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、室内10発での測定、気温22.2度、湿度36%、XCORTECH X3200 Mk3にて測定。
協力:東京マルイ
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