東京マルイ ガスガン カーヴ
レポート:石井健夫
ポケットに完全に収まってしまうほど小型、かつ携帯している事を悟られないように極力薄型。しかし身辺に危険が及び「いざ戦う!」となった時には必要充分な威力を発揮する.380ACP(=9mmショート)弾を発射可能。そんな、近年の実銃界でちょっとしたブームになっている「薄型.380口径オートマチック護身拳銃」の人気モデルを、HOP-UP機構を搭載した18歳以上用パワーの固定スライド式ガスガンとして続々とモデルアップし、すっかり定番のヒット商品シリーズとしての地位を確立した感もある東京マルイ「コンパクト・キャリー・ガスガン」シリーズ。その第4弾モデルが「CURVE」である。
パッケージは先行モデルLCPやボディガード380と同寸&同仕様でサイズは「幅23.5cm×縦16cm×厚さ4.5cm」。ガンケースを模したような艶消しブラック基調の箱にCURVEの写真とロゴ。これまでのシリーズと唯一違うのは写真が右向き(銃口が右側を向いている)な点だ。
パッケージ内容は本体、マガジン、保護キャップ、BB弾少々、取説類で、レイアウトや雰囲気に先行モデルとの統一感があるものの、中身の銃本体はパッケージの写真同様、右側面を上にして入っている。8,878円(税抜)のリーズナブル価格はシリーズ共通。
元になった銃はブラジルのタウルス社製。CURVEは2015年に発売されたモデルで、このユニークな形状はもちろん、ビルトイン・タイプのレーザーサイトとLEDライトを標準装備しながら価格は「400ドル以内」という驚くべきコストパフォーマンスでも当時は話題になった…のだが、現在は生産されていない。
CURVEの左側面は「ほぼ何もない」と言って良いほどにシンプル。確かにこっちの面が上で箱に入っていたらあまりにも地味で華がないかもしれない。しかし右利きの人がホルスター等で身体に帯びた場合、脇腹や腰骨に当たるのはこの面。携帯時の違和感や不快感に繋がる突起や角を極力省いたデザインなのだ。
対して右側面はじつに賑やかだ。シルバーの色味が微妙に異なっているエジェクションポートとエクストラクター、特徴的なクリップ、ビルトインされたレーザーエイミング&LEDライティング・デバイス(但し機能はオミットされたダミー表現)のスイッチ類、と、見どころ満載である。スライド上部にある装填インジケーターも印象的だ。
全体のシルエットが「角を丸めた四角形」で、携帯電話あるいはモバイルバッテリーのような感覚。「いつも肌身離さず持ち歩いてイザという時に備えて欲しい」と訴えかけて来るようなデザインだ。考えてみれば護身用ピストルというのは「実際に撃つ時」よりも「ただ持ち歩いている時間」の方が圧倒的に多いのが現実でもある。アウトラインに沿ってバレル先端までが面取りされているのは面白い。そしてライフリングのモールドが入っている位置が「本当の銃口」で、ここがやや奥まっているのは命中精度を維持する意味でも賢いデザインだ。
前から後ろからこの銃を見るといやはや本当に「カーブ」である。銃口から覗く真鍮製インナーバレルの金色は、アウターバレルがシルバーなのでそんなに悪目立ちしないのが良い。レーザーエイミング&LEDライティング・デバイスの電池室蓋や照射レンズ等はモールド表現によるダミーとは思えない程にリアルだ。
背面から見て一番の驚きは、交差する白い3本線とスライド上部にチョイと2つ見える装填インジケーターの頭がサイトである、という思い切りの良さと、これらが意外にも狙い易い事だ。一瞬の感覚で「バッ!」と構えるならこれで充分だし、実銃ならもっと狙い込むためのレーザーもあるし、けっこう合理的かも。
固定クリップはスティール製、しかも太いネジ2本で銃本体にガッチリ固定されており、頼もしい事この上ない。
「銃が常に身体上の定位置にある」事は、素早く確実にドロウするための最低条件だ。
CURVEはインサイドパンツでこのように携帯するわけだが、もし固定クリップがなかったら銃の重みと角がないツルツルデザインなのでパンツの中にどんどん潜ってしまい、イザという時にグリップを掴めなくなる可能性もある。
丸みのある面白いデザインのグリップだが構えてみると意外と手にフィットし、また銃身軸との角度も適正なのでターゲットを本能的に素早く捉えることができる。セルフディフェンス拳銃にとっては重要なポイントだ。
マガジンはベース部の右側がフック構造になっていてマガジンキャッチの機能を果たす。ベースを左右から指で挟む事でマガジンが抜けるわけだが、銃に詳しくない人が特に説明されなくても自然にできる操作になっていると思う。またシリーズ他モデル同様「マガジンがない状態でトリガーを引いてもスカスカ空作動するだけ」になるマガジンセフティ機能がある。
マガジン本体はシリーズ共通の熱効率の良い亜鉛ダイカスト製。薄型のシングルスタックながら1チャージのガスで30〜40発程度撃てるという性能もほぼシリーズ共通だ。装弾数は10発となっている。CURVEではマガジンベースがそのままマガジンキャッチの役割も果たす特殊な独自デザインなので、LCPやボディガード380との互換性はない。
マガジンを入れた状態での本体重量は290g。現在のシリーズ(4モデル)中で最も重いのだが、CURVEはやや厚みがあり大きく見えるので外見の割に軽く感じる。マガジンの単体重量は128.5gで、これも僅かだが現時点でシリーズ最重だ。
一見特殊で変わったものに見えるトリガーだが指の掛かる部分の幅や角度、丸みが絶妙で意外にも引き易くスムーズだ。トリガープルも2.7〜2.9kg程度とダブルアクションにしては軽い。トリガー上部にスライド蓋のような部分があり、これがマニュアルセフティ。開いている状態がON(=トリガーが引けない)で、閉じていればOFF(=撃てる)だ。
またシリーズ他モデル同様、セフティONの状態でもハーフコック位置まではトリガーが動きチェンバーにBB弾が送られてしまう点には注意したい。
スライドカバーを取り外すと、このシリーズ共通のシンプルかつ洗練された発射メカニズムを目視で確認することができる。トリガーを引き進めると、連動するサイドプレートがマガジン上部の給弾ノズルを前方に動かしBB弾をHOPチェンバーに装填する。
ガス放出ノズル兼ローディングノズルが銃の側でなくマガジンの上部に設置されているのがこのシリーズの特徴。左側に見える小さな丸い突起にサイドプレートが引っ掛かり、このパーツを前後にスライドさせるわけだ。表面がツルツルで綺麗なメッキ仕上げもスムーズ作動をアシストしているのだろう。
トリガーを引き切ると内臓式の小さなハンマーが倒れバルブを解放しガスを放出。板バネ式HOPアームの絶妙なテンションがチェンバーラバーを通して適正な回転をBB弾に与え、遠くまで正確に発射する。
東京マルイのコンパクトキャリーガスガン、シリーズ第四弾、CURVE (カーヴ)の動画レビューはこちら
前面のダミーのレーザーライトモールドはネジ一本で取り外せる。内部には大きな空洞があるので、レーザーやライトのユニットを搭載するカスタムができそうだ。
スペック
全長 | 132mm |
重量 | 292g |
銃身長 | 61mm(インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 10発 |
定価 | 7,980円(税別) |
発売日 | 2022年6月2日 |
初速 | 最高:59.92m/s 平均:59.04m/s 最低:58.37m/s ジュール:0.349J ※東京マルイ バイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ固定、5発、気温24.8℃、湿度65%、XCORTECH X3200 MK3にて計測。 |
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