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S&T 電動ガン スターリング
レポート:戸井源太郎
スターリングと聞けば、40代以上の方には、思い出深いSMGではないでしょうか?
エアソフトガンとサバゲが日本で大ブームになった80年代後半、まだまだエアコッキングが主流だったところに、JACからBV式のフルオートガスガンとしてスターリング L2A3が発売されました。
この当時、長モノのガスガンは外部パワーソース式がほとんどで、ガスボンベやエアタンクなど必要なモノが多く、それらと銃がホースで繋がっていました。しかしフルオート射撃が可能なガンがまだ少なかった時代でしたし、当時19,800円と比較的手が届きやすい価格でもあり、結構人気がありました。
思い出話しが長くなってしまいましたが、そのスターリングが香港のS&Tから電動ガンで2013年12月に発売されました。
筒と横からマガジンが伸びているというシンプルかつ、独特なスタイルです。この細い筒によく電動メカボックスが入ったと感心します。
ボディはスチールプレスでガッチリした造りとなっており、バレルジャケットには放熱孔が多数あり、これがまたカッコイイのです。複雑な構造の折り畳み式ストックも完全再現されており、スチール製でグラグラ感はまったくありません。実銃の雰囲気を余すところなく忠実に再現しています。
スターリングは第2次世界大戦中にイギリス軍のステン系サブマシンガンの発展型として開発され、大戦中にその原型は完成していました。しかし当時はより生産性の高いステンの生産を優先され、戦後の1953年にイギリス軍でL2A1という名称で採用されました。使用弾は9mm×19です。
円筒形の本体に右側に突き出たマガジンとステンのスタイルを継承しています。円筒形本体の外径はステンと同じだそうです。
実銃の構造はプレスを多用し、オープンボルトのシンプル・ブローバックの単純な構造となっています。
シンプルだけに信頼性・メンテナンス性に優れており生産性も高いようです。セミオートオンリーのFALの英軍版ともいえるL1A1を補完する意味からイギリス軍で幅広く使われていました。
1985年にL85が採用されたことになり、順次退役してきましたが、1990年初頭まで現役であったようです。イギリス軍以外にもカナダやインドなど、英連邦圏ではライセンス生産も行われ、アフリカ・南米諸国も含めて実に90ヵ国以上で採用され、一部では現在でも現役だそうです。
S&T 電動ガン スターリング スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
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上からみるとカタカナの「ト」、横からみると、サプレッサー付きの拳銃にみえなくもないという独特なスタイル。個人的には映画『ワイルド・ギース』のサンディ曹長と『ザブングル』というイメージが強いです(笑)。
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後述しますが、折り畳んだストックはバレルジャケットの放熱孔にロックできるようになっています。

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本体チューブ内にバッテリーを収納します。後端下部のレバーを押しながら、エンドキャップの切り欠き部を押し込みます。本体に後端にあるモールドに沿って、エンドキャップを45度ほど回転されば、キャップが外せます。


コッキングハンドルは可動しますが、エジョクションポートからメカボックスが見えるだけです。でも可動するほうが気分がよいですよね。
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マガジンハウジング上部にマガジンキャッチボタンがあります。大きくて使いやすいですね。
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マガジンの外装はスチール製です。マガジンはスプリング給弾式で装弾数は110発となります。スペアマガジンは3,240円(税別)で発売されています。


ストックの展開方法。ストックを折り畳んだ状態のバレルジャケット側のアップです。
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まず始めに、ストックエンド(バット部)を引き起こします。ストックパイプにあるカギ状のパーツが後退し、鍵爪状のロックが外れます。


伸ばしたストックエンドを展開します。丸いパイプのほうを下にスライドさせていきます。
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
横突き出しマガジンの利点は射撃姿勢を極限まで低くすることができるということです。匍匐前進で密かに侵攻する方や、アンブッシュ向きの銃ではないでしょうか?
撃ってみたところ初速は平均93m/sと思ったより出ていました。もう少し余裕をみた初速設定でもよいのではないかと思います。残念ながら射撃精度はあまり良くなく、サバイバルゲームであれば20~30m以内での戦闘に限定されるのではないかと思います。
しかしながら往年のサバイバルゲーマーには懐かしのモデルと言うこともあり、さらにはスチール製の剛性感の高いボディですので、コレクション用途やチューニングベースとしては魅力的なモデルと言えるのではないかと思います。イギリス軍の特殊部隊SAS気分に浸るのにも最適な一丁です。
協力:ビレッジ2、中田商店
■関連リンク
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