S&T ガスガン PGM Mini-Hecate.338
レポート:戸井 源太郎
S&Tから.338ラプア弾を使用した大口径スナイパーライフルPGM Mini-Hecate.338が登場です。このモデルはガス式ボルトアクションで、ボルトアクションは非常に軽く、よりリアルに近い操作が可能となっています。
海外製のガス式ボルトアクションの性能はどうか、早速レビューしていきましょう。
実銃のPGM Hecateは、フランスのPGM PRECISION社が開発、製造している大口径ライフル シリーズです。1993年に.50口径(12.7×99mm)のPGM Hecate(へカート)2が登場し、PGM Hecate 2はフランス陸軍に採用されており、2000年代にはアフガニスタンでも活躍しました。
このPGM Hecate 2をベースとして、さらに長距離射撃に適した .338ラプア弾を使用したのがこの「PGM Mini-Hecate .338」です。.50口径より全長で約15cmほど短くなったので、「ミニ」なのです。ちなみにHecateとはギリシア神話の女神ヘカテーのことだそうです。
全長1mオーバーの大口径ボルトアクションライフルです。フルメタルボディの完成度の高さと質感とそのサイズから、もう雰囲気は実銃そのものです。バイポッドが標準装備、ストックは折り畳み機構他、身体に合わせた調整が可能となっています。
専用のハードガンケースでの販売なので、サバゲーにもこのまま持って行けます。
内部はこのPGM Mini-Hecate.338用にスポンジが切り抜かれています。付属品は取説のみでした。ハードガンケースのサイズは1,250 x 310 x 130mmになります。
飾り気などないシンプルかつ剛健なボディです。レシーバーには「PGM PRECISION」の刻印が入っています。
大型のボルトハンドルと、.338口径の大きなエジェクションポートが迫力あります。右側には「PGM .338」と刻印が入っています。
トリガーの上にあるのがクロスボルト式のセフティです。この状態で「FIRE」です。トリガーガードにあるのはマガジンキャッチになります。グリップ側に引いて解除します。グリップはエルゴ風のM4用が装着されています。グリップは実銃、GBB規格なので、好みのものに交換もできます。
長めで大型の球状のボルトハンドルでコッキングしやすいです。
ボルトストロークは約90mmで、ガス式ボルトアクションなので、ボルト操作は軽くスムーズに行えます。ボルトを戻す最後のみ軽い抵抗があるのも実銃っぽくてよいです。
ボルトを引いてコッキングするとボルト後部にファイアリングピンに模したコッキングインジケーターが出てきます。トリガーを引くと引っ込みます。トリガープルは結構重めで、個人的には実銃のようなガッチリとした感覚が好きです。ただ最初はエアソフトガンという先入観があったため、セフティに入っているかと思いました。
トップレールの前部に可変ホップアップ調節用の穴があります。1.5mmの六角レンチで調節します。ただこの位置だとスコープを搭載すると隠れてしまいがちです。
まるで戦車のようなマズルブレーキです。またアウターバレルは軽量化、放熱のためフルート仕様になっています。
バイポッドが標準装備されています。折り畳み可能で、脚の長さも調節できます。
フルメタルでがっしりしたストックです。実銃同様にストック長は約60mm、チークパッドは約15mm、モノポッドは約65mmの範囲で無段階伸縮可能です。
ストックは折り畳むことも可能です。ロック付きでしっかり固定できます。
左側後部にあるボタンを押せば簡単にボルトを引き抜けます。ただし、ボルトがチークパッドと干渉するため、ストックを折り畳まないと取り出せません。
ガスブローバックガンではないので、ボルトにシリンダーやピストンはないシンプルな構造です。ボルトもメタル製で重量は302gです。
マガジン装弾数は19発でガス注入口やバルブなどすべて上面に配置されています。海外製なので、相変わらずガスが注入できているかわかりにくいですが、ガスはしっかりと入ってくれてます。マガジン重量は666gです。
実射テスト
実射テストはいつもと同様、距離30、40mで行いました。BB弾は東京マルイのベアリングバイオBB0.2g弾と0.25g弾を使用しましたが…。
かなりホップアップの調整が超シビアでした。飛距離は充分あり、弾道も左右のブレはあまりなく素性はよさそうなのですが、ホップアップが安定しません。
ようやくフラットの弾道が得られたとしても次弾は鬼ホップになったりします。ただまっすぐ飛ぶ時は狙ったところに“ビシッ”と当たります。が、全体的に弾道の上下が安定しません。ほんの少しホップアップを弱めると今度はドロップ気味で40mでは仰角をつけないと届きません。個体差なのか、新品でまだホップパッキンなどが馴染んでないのかもしれませんが…。
最近徐々に増えてきた海外製のガス式ボルトアクションのスナイパーライフル。以前からすれば、かなり性能は向上したと思いますが、ホップアップが安定しないというのは惜しいところです。ホップアップを少し弱めてなら、30mでヒットは可能ですが、.338ラプア弾モデルなので、もっと有効射程距離は欲しいと思うのが正直なところです。
また、夏場の30℃を超える環境でも射撃していくと初速が1m/sずつ低下していく感じでした。
チャンバー周りの構造改良や、日本仕様に適した高効率バルブなど、まだまだ発展の余地はありそうです。
総評
フルメタルでリアルな質感でPGM Mini-Hecate.338を完璧に再現しているだけでなく、ストックなども実銃同様に折り畳みや各部が調整が可能となっており、エアソフトガンとして外観の完成度は高いと思います。
実射性能も確実な作動と充分な飛距離もあります。エアコッキングと違い力も入らずボルトアクションができる操作感も楽しいですね。試射で100発は撃ちましたがトラブルも発生せず、信頼性もあります。
それだけにホップアップが安定しないのは非常に残念です。素性は悪くないので、おそらくチェンバーパッキンをカスタム品に交換するか調整すれば、化けそうな気がします。腕に自信がある上級者はカスタムに挑戦してみるとよいかもしれませんね。
なんといっても大口径スナイパーライフルというロマンは何物にも代えがたいと思います。
スペック
全長 | 1,230/980mm (ストック折畳時) |
重量 | 6,800g |
銃身長 | -mm(インナーバレル長) |
装弾数 | 19発 |
価格 | 68,000円(税別) |
発売日 | 2019年1月 |
動力源 | リキッドチャージ式ガス |
初速 | 最高:87.77m/s 平均:85.22m/s 最低:83.45m/s ジュール:0.726J |
※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ固定、屋外10発での測定、気温31.1度、湿度43%、XCORTECH X3200 Mk3にて測定。
協力:UFC、ビレッジ2
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